第68話 異様②
「ウィン……?」
雰囲気がいつもと全然違う!
誰……?
「ふわ~、やっと転生できたのぅ! ん……? なんじゃこの体は! もう成長してるじゃないか⁉」
急に何かしゃべりだした。
声や見た目はウィンと同じなのに、雰囲気やしゃべり方は別人だ……
「なんなの……」
パプリカさんも混乱している。
「あ、おぬし! さっき我に攻撃したじゃろ! こんなにも魔族がたくさん! こんなにか弱く、いたいけない少女を囲むなんて……恥を知れ!」
口調は違くても、性格が少し似てる……?
魔族のみんなもポカーンとしてるよ……
ウィン(?)が振り返り、目が合う。
「ん? おぬし、リバーか‼」
「へ⁉」
顔をパーっと輝かせながらこちらに走ってくる。
手を掴み、ぶんぶんと上下にふってくる。
ウィンの顔でそんな笑顔されると……恥ずかしいよ……
「この前は助けられなくてすまなかった。 でも今度こそおぬしを守るから、だからっ」
「この前……?」
「そーじゃよ! 前世のことだ!」
前世? なんのこと?
僕が何もしゃべらないでいると、ウィン(?)も何か察したようで顔を険しくする。
「まさか……覚えてないのか……?」
「ごめんなさい……」
ウィン(?)は目を大きく見開き体を震わせる。
「我にはもう、リバーしかいないのに…… 我が何をしたと言うんだっ‼」
ウィン(?)が声を荒げ、冷気が放たれる。
「毎回大事な人に裏切られ、殺されるっ! こんな世界いらない! 全て壊れてしまえばいい!」
ウィン(?)が泣き叫び、さっきよりも凄まじい冷気を放ち、周りにいた魔族達を氷漬けにする。
「な、なんなの⁉」
冷気が強まると同時に僕の体がムズムズしてくる。
僕の力が強まっている……?
力が、抑えられないっ!
――この世界の全てを壊せ!
「うっ!」
頭に何かが響いて頭が割れそうっ‼
――この世界の全てを壊せ‼
ウィン(?)の意思が頭に流れ込んでくる。
凄まじい憎悪が僕の体を支配していく。
あれは、ウィンじゃない。 何百万年前に死んだとされている伝説の雪の女王だ。
なんでウィンの体にいるの⁉
僕のしっぽは3本に増え、爪も伸び、牙が生え、雪の女王の憎悪で覆いつくされてしまった。
体はもう僕の意思で動かない。
ウィン――……
♢♢♢
あれから5日経って、今は魔王がいる魔王城に侵入している。
ここまで来れたのはナイトのおかげだ。
ノッテ魔国家に入るとき、ナイトの不思議な魔法のおかげで普通に入ってこれた。
でもここ広すぎて、ウィン達がどこにいるか分からないよ!
ウィン、無事かな?
『ビービー! 脱獄者発見! 脱獄者発見!』
「「「――‼」」」
一瞬自分たちが見つかったのかと思ってびっくりした~!
脱獄者がいるの?
「地下だ! 捕まえた精霊が脱獄したらしい! 急げ!」
魔族の兵士たちが慌ててどこかへ走っていく。
脱獄者ってウィンかな?
そうだよね、ウィンは大人しく捕まっている子じゃないもん!
「……! ……!」
シーちゃんが手で魔族達を指さして何かを伝えようとしている。
もしかして、ついていくってこと?
そうか! たしかに魔族の兵士についていけば精霊が囚われている場所まで行けるってことね!
頭いい!
よし、ついていこー!
なんとかバレないように地下の牢獄までこれた!
けれど、ウィンとリバーの様子がおかしい。
ウィンは俯きながら何かぶつぶつ言っているし、リバーの目からは光が失われ、しっぽが増えている。
リバーは周りにいる魔族達を虐殺し始めた。
何かがおかしい。
「シーちゃん、どうなって――」
シーちゃんはゆらりとウィンの方へ歩き出した。
シーちゃんならなんとかしてくれるかもという期待をしていたのに、シーちゃんまでおかしくなっちゃった⁉
「ウィンリー様、この日を待ちわびておりました」
シーちゃんはウィンの前にいくと、突然膝をつき頭を下げ、変なことを言い出した。
リバーは暴れ、ナイトはそれを止めるために戦い、ウィンはぶつぶつと言っててシーちゃんはこの通り。
周りにはパプリカや魔族達がたくさんいるし……
とにかくカオスッ‼
「私は過去、ウィンリー様に狼から守っていただいた最弱精霊です」
ん? 今聞き捨てられない言葉が聞こえましたが?
ウィンリーって唯一無二の名前。 ウィンリーという名前は雪の女王を指す。
それに、なんでシーちゃんは雪の女王と会ったことがあるの?
雪の女王は何百万年前に死んだのに……
もう、、、カオス‼
次回、シーちゃんの過去!
来週(明日)も見てくれよな!
なーんちゃって!




