第54話 城下町
ついに城下町にきたー!
うわ~! 屋台とかたくさんある!
「ちょっとパープ! 私よりはしゃいでどうするのかしら?」
「あ、ごめんなさい」
そうだ、うっかりしていた。
おそらく今日、アナビスを狙った不届き者が襲撃してくる。
それに備えて警戒しておかなければ!
かといって警戒しているのを悟られてはいけないから、顔に出してはいけない。
だから今日はあえて、護衛を連れてきていない……そうに見せかける。
護衛は離れたところで待機している。
友達とお忍びで遊びに来ているように見せる。
世間知らずなお嬢様に見えるように、ローブを着て高価な服を隠す。
無邪気な笑顔を貼り付け、裏では襲撃に備えて警戒する。
意外と難しい。
「アビス! この蒸しキャロッティおいしそうだよっ!」
アナビスと言っては目立つので偽名を使う。
アビスってかわいいな。
ちなみに、私の名前は知名度もなくバレても問題ないのでそのまま。
なんか悲しい。
「本当?」
どう? この名演技は?(意外と演技ではなく本心だったりする)
♢♢♢
結構時間が経ったけど、未だに襲撃が起こらない。
「人気のないところの方がいいんじゃない?」
「たしかにそうね…… 移動しましょう」
アナビスが護衛に合図を送り、人気のない裏路地へ進む。
薄暗くて、なんだか怖いとこだな……
――ガサ
僅かな物音がする。
おそらく襲撃者かな?
「……アビス」
小声でアナビスに伝える。
――ガキィィン
襲撃者の刃と私の短剣がぶつかり、火花を散らす。
格好はこの前の人攫いと同じで外套を深くかぶり、口を布で隠している。
「あなた、どこの手の者?」
「……」
前みたいなおしゃべりさんな変人ではないね。
少し安心したわ。
強さは……前より強いわね。
でも、今の私をお前ごときの強さで止めることはできないよ。
こんなツンデレでかわいいアナビスを害するなら、、、たとえ首だけになってでもお前の喉を食いちぎってやる。
「――!」
鋭い殺気を放ち、襲撃者を委縮させる。
手を殴り武器を落とさせ、首をトンと叩き気絶される。
骨折させるとゴキッて音鳴っちゃってアナビスの気分を害してしまう。
ナイフで攻撃すると血がでてアナビスの気分を害してしまう。
だから、仕方なく気絶で済ませる。
他に人はいなさそうだね。
「アビス、終わったよ。 他に襲撃者はいなさそう」
「……ありがとうね……じゃぁ、もう少し遊んでから帰る?」
「――! アナビスぅ!」
「あー! 偽名使って呼ばないと、帰るよ!」
「アビス!」
「よろしい。 行くわよ」
あ、襲撃犯は護衛に任せればいいか!
そんなことより、アナビスとのデート?を全身全霊で楽しむぞ!
アナビスはキャロッティが嫌いです。
だけど、パープのために頑張って食べてあげました!




