第51話 結果
「『――高回復――』『――解毒――』」
アナビス様に回復魔法と解毒魔法をかける。
ふー、これで一安心。
まぁ、寝たままだけどね。
「さて……」
気絶している敵を冷たく見下ろす。
死なれたら困るから、腹の傷を『回復』で癒す。
その代わり、暴れたり自害されると困るから手足の骨を全て折る。
よし、これでオッケーー!
アナビス様をお姫様抱っこする。
敵は~、どうやって運ぼうか?
死んでる人達は置いていくとして……あっ! いいこと思いついた!
敵の持っていた鋼糸を奪い、敵に括り付けて引きずるようにして学園へ戻る。
まぁ、鋼糸で多少痛みが伴うだろうけど、友達を傷つけたんだから、このくらいして当然だよね?
――ザワザワ
普通に帰ったら、学生みんなが私を見て青い顔をする。
あ、やっべ!
お貴族様には、手足がありえない方向に曲がっている人は目に毒だったかも……
せっかくアナビス様が汚名を拭ってくれたのに、また悪い噂が流れちゃうよ!
「パープちゃん⁉ 早く裏に来て!」
シーちゃんが私を見て、急いで人気のないところに連れていく。
「パープちゃん、血まみれな格好で学園に来るなんてっ⁉」
「あ……」
そういえば返り血でベトベトだし、スカートを切り裂いたせいで足が太ももまで見えてしまっている。
やってしまいましたね……
「パープちゃんは、人目に気を付けて寮に一旦戻って体を清めてきて! アナビス様は私が保健室へ連れて行くから」
「ありがと。 アナビス様をしっかり守ってね」
「分かったわ」
シーちゃんに任せればきっと暗殺者が来ても大丈夫だね。
よし、寮に戻ってお風呂に入りますか!
♢♢♢
アナビス様が攫われた事件から3日後、選挙の結果が張り出された。
選挙は延期ではなく中止となったのだ。
結果は惨敗。
票はたったの6票しかもらえなかった……
批判のメッセージ多数。
『学園を率いる者として相応しくない』
『残酷すぎる』
『はしたない』
などなどのコメントが……
私なんかした? したわ!
でも、人命救助したのにそれはないよねぇ……
目覚めたアナビス様が私に感謝の手紙を送ってくれて、その噂が広まってなんとか私への批判がおさまった。
人命救助したのに批判された私に同情した学園長のコヨウさんが、アナビス様を救った功績として副会長に私を就任させた。
うーん、嬉しいんだけど……なんか悲しい。
私とは裏腹に、シーちゃんには称賛のコメントばかり。
何やら事件の時、シーちゃんは学生の避難を迅速に対応して、それに惚れた学生たちから“ルーナの天使”と言われているらしい。
その姿は気高く、美しかったと……
私もその姿を見たかったな。
でもさ、私は命かけて戦ったのに、それはないよね?
シーちゃんは本当に私の味方なの?
はっ! 私ったら友達を疑うなんて!
友達失格だよぅ……
アナビス様を攫ったのは闇エルフの女性だった。
コヨウさんが問い詰めたら、あっさり話したんだって。
依頼したのは魔族の過激派のお偉いさんらしい。
戦争で帝国を混乱させて有利になるために攫ったんだって。
そんなくだらないことで私の友達を傷つけるなんて……
過激派の魔族、死すべし。 慈悲はない。




