第49話 人攫いとの戦闘①
アナビス様が攫われ、急いで追うと敵は王都から離れたスラム街にいた。
危なかった、見失うところだった。
アナビス様は、、、おそらく生きている。 本当に良かった!
つまり敵は暗殺者ではない。
アナビス様はピクリとも動かないから、麻痺毒でも盛られたのかも。
あれ、本当に生きているよね?
そうであってくれ!
気配を消しながら近づき、スカートの中に隠していた投擲ナイフを敵に放つ。
「――っ‼」
まぁ、当たり前のように避けられるけどね。
「誰、あなた?」
「……。 あなた、その方が誰だか分かっていてこんなことをしたの?」
知ったことだけど、敵の情報を探るためにわざと聞く。
「そうね、このカワイ子ちゃんが皇女様だってことくらい分かっているわ」
声からして女性だ。
外套を着ていて、体系がよくわからない。
フードを深くかぶり、口に布を巻いていて、種族が分からない。
『鑑定』はある程度体が見えていないと使えない。
だから今回は『鑑定』が使えない。
厄介な……
暗部を生きる者はエトワール大武道大会なんか出ないから、大三賢者より強い人は意外とたくさんいる。
『鑑定』できないから詳しくは分からないけど、この人は強者だ。
私のうさぎとしての本脳がそう言っている。
「そこの君もなかなかカワイイわね。 お名前は?」
うん。やっぱり変人だ。
黙っていると、敵はおどけたように肩をすくませる。
「まあいいわ。 時間があったら君も私のコレクションに加えたかったけど、今は忙しいから大人しく死んでね」
「アナビス様を攫った目的は何?」
「んー? 教えるわけないでしょ」
うん、知ってた。
――ヒュン
風を切る音が聞こえ、嫌な予感がしたので飛び跳ねるようにして後ろに下がる。
何かが私の頬を浅く切り裂いた。
「おおー、今のを避けるか!」
今の何?
何も見えなかったし、敵は動いていない。
かといって、周りに人の気配はしない。
もしかして……
「……糸?」
「正解は鋼糸よ」
敵はそう言い、鋼糸をプラプラと揺らす。
光を反射してキラキラと光る。
遠くでよく見えないけど、材質がギザギザしていて人の皮膚なんかは簡単に切り裂けそう。
見えないから勘で避けないといけない。
厄介だな。
どうやって戦おうか?
私の光魔法、『聖槍』でなら倒せそうだけど、アナビス様を巻き込んでしまう。
私は今、投擲ナイフしか武器を持っていない。
魔法だとアナビス様を巻き込んでしまうから、残されたのは格闘しかない。
勝てるかな……?
「そぉーれ♪」
唯一の救いは相手が油断していること。
油断しているうちに仕留めなくては!
もしかしたらアナビス様に死に至るような毒を盛ったかもしれないから、急がないと!
風を切る音が聞こえ、飛び跳ねて鋼糸を避ける。
――ヒュン
「――っ‼」
着地と同時にナイフが飛んきて私の肩を薄く切り裂いた。
「あれぁー? 心臓狙ったのに避けられちゃったなー」
「……」
この人、ふざけているように見せかけて隙がない。
なんで私の周りには強い奴がうじゃうじゃいるのよ‼
これは、近距離戦の方がいかもね。




