第27話 まったり
ここは世界一寒いと言われる雪山の頂上。
凍てつく風に吹雪が混じり、踏み入れたものの生命を吸い取っていく……
今まで何人もの人がこの地に踏み入れ、帰ってこなかった。
ここはかつて、雪の精霊が殺されたと言われている地。
その悲しみと怒りが呪いとなり、山が凍りついたと言われている。
人々はこの雪山をこう呼んだ。『呪いの雪山』と……(そのまんま)
そんな雪山に私とシーちゃんは足を踏み込んだ。
私たちだって進んで踏み込みたくなどない!
なんなら一生来たくなかった場所だ!
だけどこなければいけない理由があった……
それは、、、友達のウィンに招待されたから!
私はワクワクしたよ?だけどこの雪山だと知っていたら来なかったよ!
帰ろうと思ったらシーちゃんに無理やり連れてこられ……今に至る。
なんかシーちゃんが寒がりもせず、訝しげにどこかを見る。
「ウィ……様…復…は……遂げ……ましたよ……。」
ん?今シーちゃんがボソボソ何か言っていなかった?
吹雪で何も聞こえないっ!
「さてパプたん、ウィンの家が見えてきたわよ」
本当だ!早く!温かい家へッ!
♢♢♢
「あったかぁ~い」
暖炉の火に手をかざし、温める。
何とか死なずにたどり着けた!
よく迷わずここまで来れたな……
これもすべてシーちゃんのおかげだね!
そういえば、あの戦闘から数日たったら、瞳も元に戻っちゃったんだよね……
なんでだよ⁉
それにしても……
まさかウィンがかまくらに住んでいるとは思わなかったよ……
さすがに雪ではないよ?形がかまくらなの……
そして家か分からないほど狭い。
一人住めるかぐらいの大きさ。
こんなところによく人を招待しようとしたな。
「ウィン、どうして私たちを呼んだの?」
そーだよ!わざわざこんな寒い所に呼ぶなんてっ!死んだらどーすんのよ⁉
「ふふふふ……それはね、みんなに私の家を紹介したかったからだよ!」
「……あ?」
「っていうのは冗談で……」
だよね~
もし冗談じゃなかったら殴ってたかも。
「今日はリバーが遊びに来るんだけど、みんなに紹介したくて呼んだんだ!」
「あのリバー?ウィンの大好きなあのリバー?」
「や、やめてよっっ!」
照れてる照れてる~!
――トントントン
家のドアが叩かれる。
「ウィンー!遊びに来たよー!」
噂をすれば来たようだ。
男にしては高く、かわいらしい声が聞こえる。
――ガチャ
「やっほーリバー!待ってたよ!」
「おじゃましま――」
家に入ってきたリバーと目が合う。
遠くでは見たことあるけど、近くで見るともの凄くかわいいな……
数秒間そのまま見つめていると急にリバーが目を見開く。
挨拶しないと失礼だよね?
「こんにちは――」
すると突然リバーが視界から消える。
「へ?」
びっくりしすぎて変な声が出てしまった……
探してみると、リバーは棚の後ろに隠れていた。
警戒するように私のことを見つめる。
なんで……?
「ウィ、ウィンッ!この人誰?」
「あーごめん。言い忘れてた!二人は私の友達だよっ!」
おい、言い忘れるなよ。
おかげで最悪な出会いになってしまったじゃんか‼
「私は海の精霊のシーです。リバー様、よろしくお願いします。」
なぜ様付け?
「……シーさん……会ったことあったっけ……?」
リバーが警戒を少し解いたようで棚の影から一歩出てくる。
「私はうさぎ獣人のパープです。よろしく!」
これは新たな友達を作るチャンスッ!
全力で取り掛かるぞ!
腰を90度に曲げ、お辞儀をする。
これで友達になれるはずっ‼
「ひっ」
また棚に隠れてしまった……
え?失敗⁉
怖がらせてしまった。なんでよっ!シーちゃんは大丈夫だったじゃんか!
「パプたん!リバーを怖がらせないでよ!」
私のせい⁉
♢♢♢
なんとか自分のいい所をプレゼンし、シーちゃんにもサポートしてもらって棚からは出てきてもらったけど、、、
距離感っ‼
ウィンの家の端から端までの距離感だよ!
シーちゃんとウィンは大丈夫なのに、なんで私はダメなの?
悲し……
でも、この距離でなら『鑑定』できるぜ!
『――鑑定――』
【名前】リバー
【種族】雪の?獣 ♂
【魔力値】540/540
【体力値】624/635
【スキル】
雪魔法 水魔法 光魔法 身体強化 体術 威圧 獣化 憤怒
【総合戦闘力】2850
はあぁぁ⁉
なにこの戦闘力は!コヨウさんやザクロさんより遥かに高くないですか?
それに種族の雪の?獣って何?
狼獣人じゃないの?
なんで雪がつくの?
それに、私の鑑定が真実の鑑定になったからか、相手のスキルまで見えるようになったみたい。
レベルはさすがに見えないみたいだけど。
そしてスキル憤怒って何?
見た目と違ってキレやすいの……?
リバーのこと、怒らせないよう気を付けないと……




