第24話 母と子
「ウィン、私たちやり遂げたね!」
「うん! やり遂げたぞっ!」
こんな命を懸けた戦い、初めてだったけど、勝ててよかった……
むふふ…… 帰ってからの『鑑定』が楽しみだな……!
「ウィン、回復するからこっち来て」
「はぁ~い!」
『――回復――』
よく見たら酷い怪我だ……
触ってみて分かったけど、内臓がぐちゃぐちゃになっている。
良く生きていたな…
「――っ!」
治療していたら突然ウィンが後ろを見る。
「……どうしたのウィ――っ!」
なんとコヨウさんが立ち上がっている。
なんという生命力……!
それに……コヨウさんのあの鋭い目!
威圧や殺気はないけれど、すごく鋭い目だ……
もしかして、まだ戦う気? 私の浄化が効かなかったのか⁉
コヨウさんはよろよろとしながらこちらに歩いてくる。
ウィンも治療しきっていない体を引きずるようにしてコヨウさんの所へ歩いていく。
「……」
「……」
「ウィン……」
沈黙がはしる。
ウィンとコヨウさんの距離はおよそ3メートルほど……
お互い、その距離だと攻撃は避けられない。
それに、あの怪我だと一撃で戦闘不能になってしまうだろう。
「……ウィン、すまなかった……」
「へ?」
「許してくれとは言わない…… これだけは言わせてくれ。私は……お前のことを、"愛"している……」
ど、どうしたんだ、急に……?
もしかして、、、浄化が効いたのかな?
「もうこんな事はしない。……私は寂しかったんだ。とにかくウィンと一緒にいたいと思っていたらこんなことをしてしまった……」
「…………」
「……代わりと言ってあれだが、ブロッサム一族に代々伝わる家宝、『雪の極大魔法』が打てるようになると言われているネックレスをやる。かの雪の女王、ウィンリー様が愛用していたらしい。だが、私も試してみたが使えなかった…… もしかしたら雪の精霊であるお前なら使えるかもな…」
あの雪の女王が、使っていたものだと!?
なんで桜の精霊の一族が持っているのだ!?
でも、凄いもの貰っていいな!
ん……? でも使えないなら嬉しくないかも……?
「…………」
ウィンは黙ったまま……
コヨウさんぎこちない手つきでウィンにネックレスを握らせた。
コヨウさんは少し悲しそうに俯く。
「……それでは。もう会うこともないだろう……」
コヨウさんは後ろを向き、足を引きずりながら歩いていく。
「……ま、待ってっ!」
ウィンがそれを止め、コヨウさんの所へ走っていく。
そんな体力無いだろうに……
「そ、その……ありがとっ! お、お母さんっ!」
「―――っ!!」
コヨウさんは涙を浮かべながら震える手でウィンの頭に手を置く。
まるでガラス細工を触っているかのように壊さないよう、丁寧にゆっくりウィンの頭を撫でる。
「えへへっ」
ウィン、なんだか嬉しそう。
そうだよね!
親との感動的な再開はこうでなくっちゃ!
本当に、ウィンを救えてよかった……!
あの時もし『隕石』を使ってたら、、、この未来はなかったと思う。
本当に良かった!
「みんな〜! 大丈夫〜!」
シーちゃんが走ってこちらに向かってくる。
やっと来たぁ〜!
遅いよ!もぅ……
「……!シーちゃんだ! おぉぉ〜〜〜い!」
ウィンが手をぶんぶん振る。
いつの間にかコヨウさんはいなくなっていた。
恥ずかしくて逃げたなぁ〜!
今度大三賢者の会議があったら、いじってやろっ!
「シーちゃーーん!」
私も大きな声で返事をして手を振る。
やっと戻ってきた……
日常が……! 思い返すと会議から色々バタバタしてたなぁ。
鬼との戦争やらウィンのことやらで……
やっとゆっくりできそうだな……
私の呪いのことや、魔族との戦争のこともあるけど、今はゆっくりしてもいいよね……?
お疲れ様、私たちっ!




