第2話 はじめての魔法
生き延びると決意したはいいけれど、どうすればいいのだろうか?
私は馬車で森の奥深くまで連れていかれ、捨てられた。
人里に行こうにも、3歳児の足で遠くまで歩けるはずがない。
詰んだ……?
嫌、まだだ!!私は一生懸命がんばると決めたんだ!
諦めないぞっ!
3歳児で生き延びるには、やっぱり……
「まひょう……」
……3歳児の発音はこの程度か。
とまあ、"魔法"を使うしかない……!!
とりあえず、まずは水が欲しい。
イメージが大事なはずだから、えーと、綺麗な水、綺麗な水が手から零れ落ちるイメージ。魔力が体を巡るイメージ。
あれ? なんだか目が熱い。
『――うぉーたぁーぼぉーる――』
!! 出た! 私にも魔法使えた!
目が熱くなったけど、これが魔力なのかな?
やったーー!! じゃなくて、飲まなきゃ!
――ゴクッ
おいしい……
あれ? おかしいな。涙が急に出てきちゃった。
そりゃあそうか。体は3歳児だもん。
泣きもしたらお漏らしもする。
……ん? お漏らし?
わぁーー! 私28歳(精神年齢)にしてお漏らしをしてしまったー!!
なんとも言えない生温かい股間……
一生の恥だ……
とりあえず、水は確保できるとわかったから、次は食料。
幸い、緑豊かな森に捨てられたから、果物とかベリーとか沢山あるから大丈夫かな。
毒とかなければの話だけど……
こういう時って異世界だと『鑑定』とかして調べるんだっけ?
このベリーで調べてみよう。
『――きゃんてぃ――』
【名前】黒ベリー
――ただのベリー。酸味が強く、好んで食べる者はいない。
栄養価は高い。
発音が悪いからできないかと思ったけど、何とかできた!
酸っぱいのかー。それは嫌だけど栄養価は、高いし、次はいつ食べれるか分かんないから、食べなきゃね……
「〜〜〜っっ!?」
酸っぱいっ! びっくりするくらい酸っぱい!
うぅ……食べたくないよぅ。
そうだ! 気晴らしに自分に『鑑定』してみよう!
『――きゃんてぃ――』
【名前】パープ
【種族】獣人
【レベル】1
【年齢】3歳(28歳)
【魔力値】26/33 【体力値】13/16
【スキル】
鑑定Lv1 NEW 水魔法Lv1 NEW
【称号】
転生した者 王族の隠し子 捨て子 神童
【総合戦闘力】13
うーん? 微妙なのかな?
神童って称号は良いことなんだろうけど、総合戦闘力が
13って、すごく微妙。
これって強いのかな……?
私には明らかに"知識"が足りていない。
メイドさんから少しはこの世界について教えてもらったけれど、それじゃあ足りない。
それを転生者としての"知識"で補うしかない!
私には、前世で見てきたありとあらゆる最強魔法があるから!
なんかいける気がしてきた!
――ガサッ
何!? なんの音?
「グルルルゥゥ」
狼……? とりあえず『鑑定』しなきゃ
『――きゃんてぃ――』
【種族】狼
――モンスターではないただの狼。好物は赤子。
非常に鋭い爪を持つ。
やばい…… 絶対やばい……
好物が赤子!?
私美味しくないよー!
油断してた…… 緑豊かな森なら当然動物もいる。
このままじゃ食べられちゃう!?
次回、狼との戦闘です!
パープは勝てるのかなー?