第16話 混沌②
どれくらい走ったのだろうか?
日が高く上がっていたはずの空はもう日が沈みかけている。
――ドサッ
あれ?
私今、倒れた…?
方向感覚がよくわからない。
早く、シーちゃんの家に向かわなければいけないのに!
意識が消えそうになる。
シーちゃん…ウィンを助けて…!
――ブウォン
大量の凄まじい魔力と奇妙な音がなる。
今のは何…?
「ウィン⁉ パープちゃん⁉」
シーちゃんの声が聞こえる。
何でだろ?
ついに幻聴が聞こえるようになってしまったのか?
意識が…
♢♢♢
「ハッ!」
ここはどこだ?
確かウィンを抱えてシーちゃんの家へ向かっていたはず!
「ウィン! どこ⁉」
体中の痛みに顔を顰めながらあたりを見渡す。
良かった。 ウィンもいた。
ウィンは魔力暴走がおさまったようで、すやすやと眠っている。
本当によかった。
どうやらここはシーちゃんの家みたい。
お泊りした時と同じ豪華なベットに寝かせられていたみたい。
シーちゃんはどうやって私たちの場所と状況を知っていたんだろう?
まあきっと海の精霊が教えてくれたんだろうな…
でも、あの倒れた位置からシーちゃんの家まで1日ほど全力で走らないとたどり着けない。
なのに何でシーちゃんはあそこにいた? どうやってたどり着いた?
それに意識を失う前に聞こえた奇妙な音と膨大な量の魔力…
ましかしてあれは…伝説の大魔法、、、『転移』?
「パープちゃん! 起きたの⁉」
シーちゃんが音もなく部屋へ入ってきた。
「シーちゃん、まずはありがとう。 だけどどうやって私たちのところへ来たの…? それに、どうやって魔力暴走を治したの…?」
「…パープちゃんが思っている通り、『転移』を使ったの 魔力暴走は普通にウィンに私の魔力を流し込んで治したわ」
⁉ まじか…
それで魔力暴走を治せんの⁉
それに、、、『転移』は約1万年前に失われた禁忌の魔法の一つ…
今生きているものが使えば、魔力が足りず、不発に終わる。
成功させるには何百人もの人の命を捧げなければいけない。
それを防ぐために、『転移』は禁忌魔法となった。
それなのに使えるってことは、、、神しかいない。
神は五神いる。
唯一無二の創造神メルローズ様。 決して死ぬことはなく代替わりはしない。
他四神は人間の神、獣人の神、精霊の神、魔族の神がいる。
この四神は寿命が存在し、死ぬこともある。 そして、代替わりする。
旧神が死ぬとその種族のうち、神の器を持つものが次の神になる。
神になったものには体のどこかに星の形をした痣が現れ、絶大な力を得る。
大三賢者すら、軽くあしらうことが出来る力も持つ。
『転移』を使えるのは…神くらいしかいない…
「もしかして、シーちゃんはか――」
「ふわああ~ みんな、おはよ~ ご飯まだぁ?」
ウィンが目を覚まし、腑抜けた声を出す。
ちなみに、ウィンの瞳の中の桜の花の模様は治っていない。
「パープちゃん、この話はまた今度ね♪」
「うん…」
「ウィン、今おかゆを作るから待っててね!」
「え~ 肉がいい~!」
「文句言わないのっ!」
…。
なんかうじうじ考えていた私がバカみたい。
そうだよ、シーちゃんはシーちゃん!
うじうじ考えずに、私もおかゆ、、、食べよっ!




