第113話 パレード
今日はなんと、魔王を倒した英雄たちを讃えるパレードをやる。 英雄は私達♪
でも、私は英雄と言われるほどえらいことをしていない。 だって魔王は倒したけど、魔王を裏で操っていた黒幕がまだいるから。 いつ黒幕が人を襲うか分からない。 もしかしたら私たちの警戒が和らぐようなパレード中に襲ってくるかもしれない。
だから警戒を怠らないでパレードに参加する。
え? 皇帝に言って討伐隊やら近衛兵に討伐・守護してもらう?
はは、あのクラスだと誰も歯が立たないし、むしろ邪魔。 守らなくてはいけない人が増えるだけだね。
きっと、皆に言っても混乱を招くだけだよ。 知らない方が幸せなこともある。
黒幕は魔王より強いはず。 まぁ弱い可能性もあるけど、多分ないな。 魔王より強いとなると……シーちゃんがいないと私たちですら歯が立たないくらいだよ!
だから、みんなを守れるくらい強くならなくちゃ!
「パプたーん? 何ボーっとしているの? 早く行くよ~?」
ウィンが不思議そうな顔をして顔を覗き込んでくる。
「あ、うん」
ウィンは……弱くなちゃったから、戦力外かな。 でも、絶対守ってみせるからね。 ウィンはただ守られていればいいんだよ(かっこつけている)
「で……パレードで何するの?」
ズコッ!
みんな苦笑する。
「ウィンったら……。 ここが今どこにいるか分かる?」
「お城でしょ?」
ウィンがドヤーッとした顔で答える。 うん、自分の足で来たんだから知ってて当たり前でしょ?
「お城からパレード専用の馬車を使って城下町を通るのよ。 その後に城に戻ってパーティーをするのよ」
「ほへぇー」
ウィンは頭に何も入っていないみたな相槌を打つ。 その姿にリバーまでもが苦笑している。
「よ、よし。 時間だし行こうか」
「「う、うん」」
「うむ」
一人、ウィンリーだけが渋い顔して黄昏ていた。 おーい、何してんの?
……本当に変人ばっかりだな。 真面目なの私しかいないよっ! こうなったら私がみんなを引っ張るしかないね!
♢♢♢
――ワアアァァァ
「ナイト様ーこっち見てくださいー!」
「リバー様……! 可愛い……!」
「「「「聖女様‼」」」」
「氷槍の女王様!」
みんな人気だぁ!
私はというと……
「もしかして、あれって金髪の悪魔!?」
「魔王を串刺しにして、返り血で血塗れになりながら大笑いしたらしいわ」
「可愛い見た目して怖いねぇ」
私なんかこれだよっ!
なんでよっ!
何で『魔王を串刺しにして、返り血で血塗れになりながら大笑いした』って噂が流れているの!?
しかもさ、誰もみてないのになんでこんなのが広まってるの!? しかもデマだし!
実際の私はボロボロになりながらシーちゃんのこと待ってただけなんだけど。
「聖女様とは大違いだよな~。 聖女様はあの魔王にも慈悲をかけたらしいぜ」
誰よ! そんな噂流したのっ!
シーちゃんはまぁ優しいけど、魔王に慈悲なんかかけてないよ!? なんなら魔王を倒した張本人ですが!?
くっそ~。 はじめのイメージがここまで引きずるなんて。 冒険者ギルドで暴れなきゃよかったよぉ。
「――‼」
突然、民衆に手を振っていたシーちゃんが路地裏の方に目を向ける。
バッと向いた感じからして、何かあったんだろう。
「シーちゃん、どうしたの?」
「……なんでもないわ」
シーちゃんは何事もなかったかのように笑顔を張り付けてそう答える。
絶対何かあったな。
「シーちゃん、私は弱くて頼りないかもしれないけど、、、それでも頼って欲しいの。 私にも背負わせて? 友達じゃんか!」
いつも一人で抱え込んでいるそれを……一緒に背負わせて。 私じゃ理解できないかもしれないけど……。 でも、力になりたいんだもん、しょーがないでしょ!
「パープちゃん、ありがとう。 でも、気のせいだったみたい。 大丈夫よ」
シーちゃん、シーちゃんの気のせいが本当の気のせいだった試しがないのだが……。
多分、何かいるのだろう。 私も感覚を研ぎ澄ますけど何も感じない。 くっそ~! うさぎの耳じゃどうにもならなかったか。
まぁ、シーちゃんも分からないんだから、私が分からないのも仕方ないよね。
でも、絶対何かいることに確信した。 うさぎの本能がそう告げているから。
絶対パレード中かパーティーで仕掛けてくるね。
警戒を一段階引き上げよう。
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