27:宝探し
サマーフェスティバルの食べ物を満喫したアーガイルと私は、宝探しに挑戦することにしました。一方のオーマン公爵令嬢とアル公爵令嬢は、つい先日、霊騒動を経験したばかりなのに。肝試しへと向かって行きました。
「さあ、ミア、ついたよ」
「みゃー(はい!)」
「魔王アーガイルさま! 王妃ミアさま!」
宝探しエリアの入口にいたのは、宰相のグレイです。彼も宝探しに挑戦するのかと思ったら。
「サマーフェスティバルは貴族、平民関係なく、皆で楽しむものというコンセプトですよね。今年は私がスタッフの役割を担うことになりまして……。それでお二人は宝探しに参加されるのですね。ルールを説明します」
宝探しはピンクのリボンで木が結ばれているところまでが対象エリアになっており、そのエリア内には2種類の宝が隠されているそうです。一つは、見つけたらその場で自分の宝となり、持ち帰ることができるもの。もう一つは、番号が書かれた札です。制限時間になったら、入口に戻り、その札を見せれば、森の中に隠せないような豪華の景品をもらえるとのこと。
「今の時間は皆さん、飲食店にいるので、空いています。制限時間は10分です。こちらの懐中時計は残り3分になると自動的に蓋が開きますから、もし遠くまで行っていたら、入口に向け移動を開始してください」
グレイは慣れた様子で説明をすると、アーガイルに懐中時計を渡しました。私を抱えたまま、宝探しエリアを歩き始めたアーガイルは私に尋ねます。
「ミアは地面に降りて自分で探すかい?」
「みゃぁ(勿論!)」
アーガイルに地面へおろしてもらうと、私はやる気満々で歩き出します。私の予想では、宝は目線の高さには隠されていないと思うのです。もし隠されていても、既に見つけられた後。そうなると目線より下か上の場所に、お宝がある気がします。
ということでテクテク歩いて行くと、太い幹の木がありました。これはあちこちに木のうろがあります。怪しい。ここに何かある気がしました。
根元から二本足立ちして見える範囲で探していると……。
「!」
私は後ろを振り返り、懸命に鳴き声をあげ、アーガイルを呼びます。
アーガイルはすぐにこちらへ来てくれました。その後ろをギルと護衛の騎士もついてきています。
「みゃあ、みゃあ(ここを見てください!)」
後ろ足で立ち上がり、視界がギリギリ届く木のうろを指し示します。それは絶妙な高さで、大人ではまず見逃してしまう位置。アーガイルはかがんで中をのぞきこみ、そして……。
「ミア、すごいね。あったよ」
アーガイルがうろから取り出した紙の包みを開けると、そこには……。
「これは可愛らしい。ミアの瞳と同じ、ブルーグリーンの宝石……翡翠で作られた飾りボタンだ」
キラキラした飾りボタンが7個包まれていました。
「ドレスや鞄をオーダーメイドした時に、使えそうだね」
笑顔のアーガイルは、優しく私の頭を撫でてくれます。一気にテンションがあがり、私は宝探しを再開しました。アーガイルも木の上の方の枝を見て、そこに宝が隠されていないか、熱心に探しています。
「あ、魔王アーガイルさまだ!」
子供の声が聞こえ、少年と少女、あわせて五人ぐらいが、アーガイルを取り囲みました。街の子供達のようです。
一方の私は。
なんだか心惹かれる香りを感知しました。
このなんとも甘いような香りは……。
テクテクと香りの方へ近づくと、木の根元にブルーのポケットチーフが置かれています。これも宝なのかしら?と思いながら近づくと……。
なんだかとってもいい気持ちになりました。
思わずブルーのポケットチーフに全身を摺り寄せてしまいます。
「なんて可愛らしい! やはりマタタビの効果は絶大ですね」
声に振り返ると、そこにはアーガイルのいとこ、ザ・王子様の風貌のファウスがいます。アイスグリーンのシャツ、濃いグリーンのベストに同色のズボンと、カジュアルな装いですが、金髪にとてもよく合っています。
「みゃぁ、にゃあ(こんばんは、ファウスさま)」
ご機嫌の私はファウスに挨拶をします。
ふわふわ気分でファウスが言った言葉を思い出します。
マタタビ。
この良き香りはマタタビだったのですね。
とても良い香り~。
「ミア妃殿下。今日こそはあなたのこと、抱かせていただきますよ」
ファウスはニコニコ笑顔で両手を伸ばし、私を抱き上げようとしました。すでにマタタビにより、ふぬけに近い状態でしたが、なぜでしょうか。本能でしょうか。ファウスの手をパシッと猫パンチで払っていました。
「……! ミア妃殿下、なぜ!? マタタビが足りませんでしたか!?」
ファウスは一瞬悲しそうな顔をしましたが、ポケットから小さな巾着を取り出すと、自身の手に何か粉のようなものを乗せました。その瞬間、あのなんとも心揺さぶる香りを、上空から感知しました。
「ミア妃殿下、さあ、お好きなだけ、嗅いでいいのですよ」
跪いたファウスが、粉をのせた手を差し出しました。するともうあの香りが自分の周りいっぱいに、ぶわっと香ってきました。たまらず駆け寄り、匂いを思いっきり吸い込むと。
あ~。なんでしょうか。
世界がぐるぐる回っているように感じます。
もう千鳥足状態になり、コロンとその場に転がってしまいました。
こんな姿、さらしてはいけないと思うのです。
でも力が入らず、お腹を出して左右にゴロゴロしている状態。
「なんて愛らしい姿でしょう! これでもう、ミア妃殿下は僕の虜かな?」
笑顔のファウスが手のマタタビをはらい、両手を私の方へと伸ばしました。
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