23:最後の挨拶
「これからバカンスシーズンが始まります。七人の女性が現在、どんな状態なのか確認し、謝罪行脚されることをおすすめいたしますわ。それをする、しないも勿論、あなた次第です。しなかったことで何が起きても……私は関知しません。ただ、ここ、魔王城にいることは、あなたにとって、とても危険な状態であるということです。一刻も早く、魔王城を去り、謝罪行脚された方が、身のためと思います」
オーマン公爵令嬢からそう言われたソラス伯爵令嬢は、ついに観念したのでしょう。こめかみを押さえ、こう言いました。
「……ミキさまの言う通りです。わたくしは……魔王城を出て、7名のご令嬢の皆さまにコンタクトをとります。そして……ちゃんと謝罪をしますわ」
「そうなさるといいですわ。たた、この交霊会のことはお話になってはダメですわよ。これは秘密の儀式ですから。余計なことをすると、七人の生霊とは別の何かから呪われる心配もありますから」
オーマン公爵令嬢の言葉に、ソラス伯爵令嬢は「分かりました」と力強く頷きます。その様子を見たオーマン公爵令嬢は、アル男爵令嬢に、気絶しているエル伯爵令嬢を起こすように伝えました。
アル男爵令嬢が体を数回ゆすり、エル伯爵令嬢は目を開け、一瞬キョトンとした顔になりました。でもすぐに周囲の状況を見て、自身が気絶する以前の状態と同じと分かり、悲鳴をあげます。
そんなエル伯爵令嬢を宥めるのには、骨が折れました。それでもなんとかエル伯爵令嬢が落ち着くと、オーマン公爵令嬢は、おもむろに口を開きました。
「交霊会を終える必要があります。この部屋に来てくれた七人の生霊に、最後の挨拶をします」
こうしてウイジャ盤の「グッド・バイ」で合図を送り、無事、生霊たちと別れることができました。もう席から立っても大丈夫ということで、ひとまずカーテンを開けることにします。絨毯には、拳ぐらいの石が転がっており、窓ガラスが割れています。散乱したガラスも絨毯に散らばっていました。そこでソラス伯爵令嬢が、自身の専属メイドであるデラを呼ぼうとしたのですが……。
「ソラス伯爵令嬢、少し、お待ちください」
オーマン公爵令嬢がそう言って、メイドを部屋に呼ぶのを待つように告げました。そしてソラス伯爵令嬢に尋ねました。
「霊の正体は生霊であると分かりました。そしてその目的も。これを殿下に話せば、水晶宮に案内してくださると思います。でも殿下に話すということは、ソラス伯爵令嬢、エル伯爵令嬢、お二人が七人のご令嬢に何をしたのかも、話す必要がありますよね。どうされますか?」
この問いかけに、ソラス伯爵令嬢は苦悩の表情になります。アーガイルに対し、嘘をつくことはできないでしょう。嘘をつけば生霊から何をされるか分からないですし、何より七人の令嬢に、アーガイルが真実を確認することもできるわけですから。
すべてがバレたら、きっとソラス伯爵令嬢は、二度と魔王城へ来ることはできないでしょう。もう一生アーガイルに顔見せできないと、ソラス伯爵令嬢本人が思う、そう感じました。
一度の水晶宮を選び、七人の令嬢へ嫌がらせをした悪女であるとアーガイルに知られ、一生会えないことになるか。水晶宮を諦め、魔王城を去るか。答えは……明白でした。
ソラス伯爵令嬢は、諦めの表情で話し始めました。
「オーマン公爵令嬢、魔王城に出没している霊……七人の生霊は、わたくしが去れば、消えると思います。そうなれば霊騒動は、集結するでしょう。ですから、霊の名前やこの魔王城に現れた理由は、内密にしていただけないでしょうか」
「それはつまり、水晶宮は諦めるということですね。そして七人の令嬢の生霊の件、これを内密にして欲しい、ということであっていますか?」
問われたソラス伯爵令嬢は「はい」と頷きます。
「分かりました。当事者であるソラス伯爵令嬢、エル伯爵令嬢をのぞき、今回の交霊会の件は、他言無用ということで、よろしいですか?」
オーマン公爵令嬢が、私とアル男爵令嬢を順番に見ました。私は「はい(みゃん)」と返事をし、アル男爵令嬢も頷いています。
「妃殿下とアル男爵令嬢は、同意されました。でも、わたくしは条件があります」
エル伯爵令嬢は、オーマン公爵令嬢の言葉に、明らかに不安そうになっています。一方のソラス伯爵令嬢は、何を言われるのかと構えているように見えました。
「七人もの令嬢に、迷惑をかけたのですよね? 一人に対してでも、驚きですのに。謝罪して済むものと思わないことですわね。わたくしは覚えていますよ、一生。もし、今後、生霊を生み出すようなことをするのであれば。あってはならないと思いますが、その時は、殿下に報告します」
ソラス伯爵令嬢は、何か言いかけましたが、反論の余地がないことをすぐ悟ったようです。大きくため息をつくと、「分かりました」と返事をしました。
「それではメイドや警備の騎士は、呼んでいただいて大丈夫ですわよ」
オーマン公爵令嬢が、ニッコリ笑顔で告げました。
【断罪終了後シリーズについて~その1~】
本作はこのシリーズの第四弾ということで、他の3作品についてちょこっとご紹介。
第一弾は本ページの下部にイラストバナー(2個目)があり、クリックORタップで飛ぶことができます。
『断罪終了後に悪役令嬢だったと気付きました!
既に詰んだ後ですが、これ以上どうしろと……!?』
https://ncode.syosetu.com/n8030ib/
断罪終了後シリーズの原点で本家本元。
まさにジェットコースター展開。
読み始めると止まらないので、寝る前に読まない方がいい!?
修道院送りになり、馬車に乗る瞬間に自分が転生者だと気づいた主人公。断罪回避行動は一切とれず、既に詰んだ後でそのまま修道院へ。そこから1年が経ったある日、とんでもない出来事が起こり……。
日間恋愛異世界転ランキング(2023/5/16)に22位。
本作だけアルファポリス様に転載してみたところ、女性向けhotランキング2位(2023/05/16)でした。
詰んだ後でこれ以上何があるのですか!? あるのです!沢山!
ということでまずは試しにプロローグを読んでみてください~


















































