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君の気持ちは絵のなかに  作者: 兎刀丸
6/6

複雑な日常

今日、春樹は日直で先に行ってしまい、流間はひとりで登校した。

教室のドアの前まできた。一度深呼吸をしてゆっくりドアを開けた。


(あれ……?景斗と河口くんがいない……?)


リュックはちゃんとある。靴もあった。

「……まさかっ!」

流間は自分の机にリュックを置き、教室をでた。

先生に「廊下は走るな」と言われた気がする。だが、それどころではない。

流間が向かったところはー……

トイレだった。

流間はいきよいよく、ドアを開けた。

「……!」


景斗と景斗の友達、月島光星、山本高太と……瑠衣がいた。

「おはよっ!流間!お前もこれやるかー?」

「……っ」 

瑠衣は景斗に水をかけられていて、苦しそうに下を向いていた。

「これはな、トイレのきたなーい汚れが染み込んだモップの水なんだぜっ!」

高太がバケツを持ちながら言った。

「これはさすがに……遊びじゃ……。」

「ん?逆に遊びじゃないのか?」

光星は、瑠衣に汚い水をかけながらいった。

この前景斗にも言われた気がする……。

「ほら、楽しいから、流間もやろーぜっ!」

そう言って、景斗は流間にバケツを渡した。

『トイレの汚い水が染み込んだモップの水』……とても臭かった。しかもその水は濁っていて、ホコリやゴミなどがついていた。離れていても臭うこの臭い。瑠衣はつらそうな顔をしている。当たり前だ。

「早くやれよ?朝の会が始まっちまうからさ」

景斗に言われたが、やる気が出ない。瑠衣が可哀想だからだ。

「やらねーなら俺がやる!…えいっ!」

いきよいよく瑠衣に水をかけた光星。その後に高太もかけた。

3人は楽しそうに笑っている。なぜ笑えるのか、流間には分からなかった。





結局、瑠衣を助けられずに時間だけが過ぎていった。 

心の中でずっとモヤモヤがのこっていて、勉強に集中できなかった。

放課はずっと瑠衣はいじめられていて、瑠衣の体はボロボロだ。

今日は掃除当番で、流間はゴミ袋をもってゴミ捨て場まで持って行った。

「……ん?」

ゴミ捨て場の近くのベンチに瑠衣が座っていた。

スケッチブックを持っている。絵を描いているのだろう。

流間は瑠衣に声をかけるか迷っていた。

(いじめられてるのに助けなかった。気安く話しかけるなんてダメだ。でも黙って前を通る訳にもいかない…)

ゴミ捨て場に行くならば、瑠衣の前を通らなければならない。

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