悩み
「クソッ!」
学校から帰って来た流間はリュックを投げ捨て自分の部屋のベッドに寝転がった。
(景斗……河口くん……どうすればいいんだ!)
流間は今日の放課、景斗が瑠衣をいじめられているのをずっと見ていた。
(助けられなかった……けど…河口くんを助けたら景斗はどう思うか……。
景斗はいとこだし、瑠衣を助けて景斗に嫌われたら……。
でも景斗がやっていることはいじめだ。遊びなんかじゃない。だけど……嗚呼もうっ!)
流間はうつぶせのまま、赤ちゃんのように腕と足をバタバタさせた。
「おーい、うるさいよー?何かあったの?」
突然、部屋のドアが開き、高校三年生の流間の姉、榊原夏実が入ってきた。
「勝手に入ってくんなよ…」
「どうしたの?いつもなら帰ってきてすぐに録画したアニメとか見るのに…」
「ただ疲れただけ…。」
流間は嘘をついた。いくら姉でも相談しにくいからだ。
「そうなの?でも、何かあったら、おねいちゃんに言ってよ?おねいちゃんが解決してあげるから~!」
「はいはい。解決出来るかな……?」
「できるとも!今まで、おねいちゃんが解決出来なかったことなんて、ないっしょ?」
確かに、今まで解決出来なかったことなんてない。けど、今回はレベルが違う。
(クラスでいじめがあったなんて言えねぇ……。しかもねぇちゃんと仲がいい景斗がいじめっ子だなんて、簡単に言えるわけがない。いじめっ子だって言ったら、どう思うか……信じててくれないかもしれない。)
景斗とはいとこだし、夏実も景斗と仲がいい。
「まぁ、疲れただけなんだよね?、」ゆっくり休みなよ~。今日のおやつは流間が好きな、ママの手作りドーナツだからね~♪
「分かった。…後で食べるよ。」
「……やっぱりなにか変?」と思いながら、夏実は流間の部屋をでた。
(明日学校いきたくねぇな…)
そう思い、一人になった流間はため息をついた。そしてゆっくり目を閉じた。
……いじめられている瑠衣の姿がうかぶ。
そしてそれを笑っている景斗と景斗の友達二人。
クラスの皆はみて見ぬふりをして、誰も助けない。
(そうか……明日学校へ行かなければ、河口くんが苦しむ。景斗のいじめは止まらない。景斗を止められるのは、俺しかいない。俺がなんとかしねぇと。)
景斗とは、クラスの誰よりも仲がいい。もし、クラスの誰かが瑠衣をかばったとしても、かばった子もいじめられるかもしれない。でも流間は違う。いとこなら、いじめられる可能性は低い。
流間は手を強く握りしめた。
(いじめを…なくす。景斗を納得させる……!)