太陽が沈む帰り道
「はぁ~終わったぁ~!!」
帰る時間になり、美術室を出た流間は、大きな声をだして言った。
「お疲れー!じゃ、帰ろっか!」
「だなっ!早く帰ってポテチ食お」
春樹が流間を追いかけながら言った。
下駄箱で靴を履き替えてる流間に、春樹は聞いた。
「そういや転校生くんはー?」
「名前そろそろ覚えなよ、河口くんのことか?……河口くんなら先に帰ったよ。」
「一緒に帰ればよかったのに」
「確かに…!」
「今日はありがとね…さようなら…!」と言って、瑠衣は独りで帰った。
あの時に「一緒に帰ろ」とか言えば良かったと思った流間。小さくため息をついた。
「流間ってそういうとこダメだよね~」
「うっせぇなぁ~!」
「あははっ!早く帰ろ!」
「おい、逃げるなぁ~!!」
もし…この時瑠衣がいたら…きっと笑っていただろう。もっと仲良くなれただろう。
そう思いながら、流間は春樹を追いかけた。
「……!!」
「邪魔。」
瑠衣は帰り道、クラスが同じ人に会った。名前は井口景斗だ。
景斗は、塾の帰り道だったらしく、瑠衣に会った。
瑠衣が挨拶をしようとしたその時、突然景斗に押されて転んでしまった。
(え…?)
瑠衣は転んだ痛さより、おされたことが気になった。
「お前……流間と話してたよな…離れろ。汚れる。」
「な…なんで……?」
心臓が触らなくても分かるくらいドクドクしている。
「知ってるぜ…?お前、前の学校でいじめられてたんだって?」
「どうしてそれを……!」
「塾の友達に聞いた。その友達、お前をいじめてたグループのリーダーなんだってさ。いじめの理由は地味だからだってよ、だっせぇ~」
震えがとまらない。地面に座ったまま立てない瑠衣に、景斗の鋭い視線と言葉が心に突き刺さる。
「逃げても無駄だぜ?ちなみに流間は俺のいとこでもある。さっきも言ったが、流間が汚れる。ゴミは離れろ!」
「っ!!」
瑠衣は震えた手を使い、いきよいよく立ち上がり、逃げ出した。
泣きながらひとりで……
明日からどうなってしまうのか……瑠衣は不安で仕方なかった。