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ごっちゃん・うおーず

作者: のの

いつものように、晴れた気持ちのよい日だった

たった一時間前までは


街は巨大化した 昆虫が暴れていた

人よりひとまわり 大きいもの、巨大な虫の中には 

二階建てビル程のものもいた


ぼーぜんと見つめる、オフィスの机に隠れる

ぼろぼろになったサラリーマン二人、OL一人


「私 モスラ好きだったです」「僕はゴジラ派かな」


「課長はキングギドラじゃなかったかしら?」


「いや 僕はみさきちゃんと同じモスラかな」


「かわいいですよね モスラ」


「ふふふ」「ははははは」

壊れたような笑い声にひかれ、じっと見つめる

3メートル以上あるの巨大なが

三人を見つめるが蛾はパタパタと羽根を動かす


蛾の燐分にサラリーマン達はむせかえり、むせながらもOLさんは

金色に光る燐分のキラキラのその輝きに「綺麗」と一言


巨大化した蛾は迫り繰る。

ずんずんずん

三人は悲鳴を上げる。


事のはじまりは、とある中学校の科学実験室

時間はお昼休み


ここに最初から壊れた

いや、最近の世の中の流れにちょっと疲れた先生と

それにつきあう、こちらもちょっと疲れた生徒達がいた。


「ふふ 見て御覧 ビーカーで作るラーメンは美味そうだあああ

まるで、ちょっと遠目から見るとめん麺て言うのは

標本の『腸』か『脳みそ』ようだねええええ ハハハ」


と眼鏡をキラリさせ壊れたような狂った笑い声


「・・・・・」「先生 今度は誰に振られたですか」と一言ぽつりと生徒

「俺の事はほっとおいてくれ」と先生


生徒の一人が隣りの生徒にぽつり

「今日の夕方、先生の片思いの相手が、恋人に会いに韓国に行くらしいよ 」

「相手 韓国の人?」


「らしいね

なんでも某韓国ドラマの俳優に似た金持ちの実業家らしいぜ」


「そこ!!授業中なのに、騒がしい 黙れ」先生の眼鏡に涙がにじんでる。


「先生、まだ昼休みでええす」

「くそおおお 何が なにが韓国の王子様?だよおおお」とわめく

失恋でハートブレイクな先生


傍で、タロットカードをめくる眼鏡の女子生徒がいる

「あら!!」「どうしたの!」

「占いでね 変な結果が出たの「魔法の瓶を投げる時、大トラブルが始まる


それは、日没まで続く」ですって」

「ふうん」

隣に座る巻き毛のポニーテールのちょっと勝ち気そうな女の子が

不安そうな顔をする。


勝ち気そうな少女の両方の手首には、

綺麗な飾りと不思議な文字の書れた細い金の腕輪


「大トラブル? 茉莉花まつりかちゃんの占いは当るもの 大丈夫かしら」

「先生が振られるのは 占いをしなくてもわかるわよ

沙月さつきちゃん」ふふふと笑う。


「沙月ちゃん 頑張ってね 学校の皆の命は貴方にかかってるわよ」


「えっ?茉莉花ちゃん?」(汗がたらりと流れるサツキ)


その間にも先生は、ラーメンを作りながら 今度は横で怪し気な薬を作っている。


三角フラスコに、毒々しい、いかにも毒の入っていそうな液体に

なにやら得体の知れない物を、まぜまぜまぜ、、、腐った卵の臭いをただよわせ

薄た笑いを浮かべ、一心不乱に液体の中身を混ぜてる。

「先生 何を作っているのですか?」

「まさか 爆発物か毒薬!! 空港に撒いて、飛行機を止めるつもり!!」


「それもいいかもな ふふふ,とりあえず韓国から帰国した みゆきちゃん?に、

この薬を一服盛る予定なのさ? 癒し系の美人女優に 似た可愛くて、

ぜひその豊かでナイスな胸に、顔をうずめたいプリリイイな「みゆきちゃん?」

とりあえず、昨日インターネットで調べた フェロモン入りの究極の惚れ薬

のはずだが、、、、何か違う気がするなあ


おい 「さつき沙月」くん 来てくれ!!」「何ですか? 先生?」

「君はクラスでもなかなかの美人で学級委員長だ

ぜひ、

この惚れ薬の実験に協力してくれ!」

「実験?」

「そう」

「何をするんですか?」


「この偉大な化学者である私をそばで、じっと見ながら

この究極の惚れ薬を飲んで 私に恋をするかどうか実験するだよ」


「実験体になれと?」


「そう」

「このとっても怪し気な薬を飲み、先生にLoveしろと」


「、、、、このロリコン! 純真、無垢でか弱い女子生徒になんてこと

言うわけ!!」


「仮にも先生様に向かって何をするのだあああ」

先生を羽交い締め「さつきちゃん 空手の段 持っていあなかった?」

「さあ?瓦なら10枚 割れるらしいよお」

「まあ、あの金の腕輪をはずさなければ、軽い怪我程度で済むわよ」

と茉莉花ちゃん


「金の腕輪? 軽い怪我て?」

 

「まあ、入院三ヶ月程度の骨折ぐらいかな」と茉莉花ちゃん


「先生らしく尊敬される事をなさい」と四字固めをかける、沙月ちゃん


「そうそう、教育者としての自覚を持って、他者に対する思いやりと人権に

配慮すべきでしょうね。」


ため息とともに、悟ったような、眼鏡の小柄の男の子。


「悪い魔法使いは魔法の小瓶を投げる」ぽつりとタロットカードをめくり、

女子生徒の茉莉花は呟く。


「うおおお」プロレス技をかけられた化学の先生に、

さらにプロレス技をかけようと、怪力の沙月ちゃんは手首を、にぎる。

先生のその手を離れ、ぽろりと怪し気な三角フラスコの薬瓶が宙に浮いた


その時、教室の床を小さな黒いゴキブリが、

先生の弁当の食べ散らかせたカスを食べていた。


不幸にも、怪し気な薬の入った三角フラスコが、

ゴキブリの上に降って来た。


しゅうごごご、、、もおおおあ、、、と部屋一杯のすさまじい煙が立ち上る。

まるで、深夜NH○で見た、悪夢の原爆投下のようなキノコ型の煙が

立ちのぼり 煙りが引いた時, 現れたのは 人程に巨大化したゴキブリが一匹


生徒達から悲鳴が上がる。

「きょ、巨大化した「ゴッちゃん」ことゴキブリいいいい!!」

ゴッちゃんこと巨大なゴキブリは、忘れ去られていたビーカーの延びきった

ラーメンをひと飲みすると、触覚をピクピクさせ、ゆっっくりとこちらを向く。


「いやあああ」「うわああ」と悲鳴がとどろきわたる。


「なんだ!!」近くの教室から人々が集まり

その黒光りする巨大なゴキブリの身体に、悲鳴が上がる。


「く、来るなあああ」

まずは薬を作った張本人である

科学の先生をそのぐぁごわした脚で、踏み倒し生徒達に迫ってくる。


巻き毛で、可愛くて賢く、スポーツ万能の女子中生徒(沙月、本人談)の

沙月は、近くにあったモップを手にして、迫り来る敵である巨大なゴッちゃん

(ゴキブリ)に構えた。


ゴッちゃん(ゴキブリ)は無気味なうなり声を上げ、メキメキという

にぶい音をたて、さらに巨大化して、天井の壁を破る。


科学実験教室の上の教室にいた 生徒を一人くわえて、振り回し投げる。

幸い、制服は破れ、体液(?よだれ?)まみれになり

ひどいショックで呆然となってはいたが

振り回された生徒は軽い打ち身程度で済んだようだった。


「狂暴化してるみたいね」と沙月ちゃん


あせ汗がほほ頬を伝い、モップを握るその手が、汗と震えで滑りそうだった

が、、しかし ここで引くわけには、いかない


「日没までよ さつき沙月ちゃん!!頑張って」とタロットカードの茉莉花ちゃん

後ろには、おび脅える同じクラスの同級生達


学級委員長としては

そして、他の先生達が来るまでは今は引くわけにはいかなかった


かけ声とともにモップをかまえ、ゴッちゃん(ゴキブリ)に向かう沙月ちゃん


まずはモップによる 一撃 続けざまに、もう一撃 返すモップでアゴを突き上げ

モップをくるんと回転させ、さらに腹に向かって突く。

今度は沙月ちゃんにゴッちゃん(ゴキブリ)の攻撃、

その攻撃をしのいだゴキブリは沙月ちゃんに向う

前足で振払い、別の足で沙月ちゃんを踏みつぶそうとする。

その足が届く前に、寸前でよける沙月ちゃん

いきおい、踏みつぶそうとしたゴッちゃんの真ん中の足(中脚)は、

教室の床を割り砕く。「身体の力が増してるうう」

今度は別の足が沙月ちゃんを襲う!!

沙月ちゃんに噛み付こうとゴッちゃん(ゴキブリ)の顔がアップで

迫り来る。

「いやああ」悲鳴にも似たかけ声を上げ、げしいい!!にぶい音とともに 

沙月ちゃんのスポーツ靴がゴッちゃんの顔に食い込む

「すごいわ!」

ゴキの顔は普通、キチンクチクラの硬い物質に

おおわれてるのに、沙月ちゃんの足が食い込んでる、、すごい破壊力」

そして 今度は沙月ちゃんのその同じ足が、ゴッちゃんの顔を蹴り上げる


「ああ ピンクの水玉だああ」うっとりと顔を赤らめ同級生の眼鏡の男の子

その男の子の顔に教科書が飛んで来た。


もちろんヒット!

「人の下着をのぞ覗くなあああ」

真っ赤になりながら叫び、その間にもゴッちゃん(ゴキブリ)と戦う沙月ちゃん


「教科書は大切に扱いましょう・・ふうう」鼻血を押さえつつ眼鏡の男の子

「誰か応援を呼んでおおおお」と沙月ちゃん


騒ぎをよそに、床にのびていた男がパチリと目を覚ます

問題を起こした張本人である科学の先生。


巨大なゴキブリをぼおおお?と見ながら、ぼんやり考える。

どうやら あの薬は超強力な惚れ薬ではなく、昆虫を巨大化させて

しまったようだ、、、、、すぐ近くに 少し溢れていたが、

その薬が三角フラスコの中に大量に残っていた


薬を作っていた時の生徒達との会話を思い出す


『「先生 何を作っているのですか?」


「まさか 爆発物か毒薬!! 空港に撒いて、飛行機を止めるつもり!!」』

『空港に撒いて、飛行機を止めるつもり!!』


「でへへ?」にやりとほくそ笑む教師が一人

すぐ傍では 学級委員長の女の子が一人戦っているというのに


立ち上がり、騒ぎの中 彼は自らの欲望の為、

一人、そっと科学実験室の教室から出てゆく。

「『ちほ』ちゃん たしか貴方のお父さんて、理科の先生で

昆虫の本を出してる先生だったわよね!!!」

「う、うん たしかにそう、、、」

「なにか退治するいい方法はない!?」モップを持つ手と足(?)は休まず 

戦いつつ、 同級生に聞いてみる

「本来、昆虫て、外骨格で、相応の筋肉もないのに

自重に耐えられないから巨大化、出来ない身体なのに!! 今は普通の害虫駆除で、倒せるのかな?とりあえず身体の側面にある気門

((呼吸をする所)洗剤等でふさいで「ちっ息」させる)めがけて、

中性洗剤かけるのは? 殺虫剤は?」

そして、教室に筋肉質のジャージ姿の大男が、現れる。

「なんじゃこりああ!?」と体育の三良先生

「原因は、先生のお兄さんの科学の三良先生です」

(ちょっと、生徒達の額に「怒りマーク」)

生徒達の押し殺した冷淡な声が、怒りの大きさを物語る。

「兄貴、また何かやったのか?(汗)」顔をひきつらせ、やっと出た一言だった


はい!と生徒の一人が手を上げ


「御近所の美人OLへのストーカー行為にあきたらず、

怪し気な薬を作り、ゴキブリを巨大化させました」


はい!とまた別の生徒が手を上げ


「その巨大化したゴッちゃん(ゴキブリ)と学級委員長の沙月ちゃんが

戦ってます」


ちほちゃんをはじめ、茉莉花ちゃん達、同級生は、

教室である科学実験室の、

数個の「たらい」やバケツに、水を入れ、さらに大量の中性洗剤を入れる。


その横でも、戦いは続いていた。


沙月ちゃんは軽々とジャンプして ゴッちゃんの前足の攻撃を避ける


「危ない!!沙月くん!」 


体育の三良先生は、沙月ちゃんを助けようと実験室にあった

大鍋で後ろからゴッちゃんを叩く。


薬で強化されたゴッちゃんの身体は、堅く、金属のような

いい音が響く かきいいいんん 黒光りする羽がきらりいいん

鋼鉄の身体(のような強度)を持ってしまった、、ゴッちゃん(ゴキブリ)


騒ぎを聞き付け 別校舎の他の生徒や先生達も来てくる。


「どうしたんですか!?」「なんだ!?」「何事かねえ」


「歴史の一ノ瀬先生いい、隣の校舎の生徒達に、

今年90歳になる校長先生まで

ああ他の先生もおお」


落ち着いた様子で、茉莉花ちゃんとちほちゃんは

「歴史の一ノ瀬先生、図書管理の紫城先生 生徒達を避難させて下さい。」


「貴方達はどうするの?貴方達も避難しなくていけないわ!!」


巨大ゴキブリが大騒ぎしている・・下の教室での騒ぎを

まだ知らない・・上の教室での出来事・・




今日のお弁当は すごいご馳走なの!  すき焼きに 

明太子と刻んだ・ほうれん草やワカメの入った卵焼  西京焼きのお魚に 

ゆで卵をミントなどのハーブの葉を刻み混ぜた挽き肉で

包み上げて油で上げたスコッチエッグ・・


変わりダネのイカのキムチも少々・・。


ご飯にかかった「いくらの卵」に刻んだ梅干も少々 

ほうれん草のサラダ・・ブロッコリー  


デザートは・・

桃に蜜柑の入ったカボス(かんきつ系)で

酸味を少しきかせてた寒天ゼリーに・・と

嬉しそうな生徒のユキさん・・


だが・・突然に悲劇は訪れた・・・。



沙月ちゃんの攻撃を跳ね返し! 


巨大ごきぶり・・こと巨大ごっちゃんは

 今度は生徒のれっちんちゃんや爛火ちゃん達に向かう!


きやああああwwww! 


爛火ちゃん、れっちんちゃんの生徒達の悲鳴!


突然! ごき・・ごっちゃんは動きを止め その身を震わす! 「え!」


どくん!


なんと!ごっちゃんは更に巨大化した!  

触角部分が伸びて! 伸びた触角は天井に突き刺さり! 

上の教室の床を砕く!


机に座り・・いただきます と手を合わせ ハシを手に取り 

力作のお弁当に・・手をのばし・・口に含み・・

至福の瞬間が訪れるはずだった・・ユキさん。


ゴスツ!鈍い音がして・・


机に穴が開いたと思うと・・お弁当は触角に突き刺さり 

そのまま下の教室へ・・


「へ・・?」と呆然とする生徒のユキさん・・。「何・・??」 


見ると足元 机の下に大きな穴・・机にも・・。 「私のお弁当・・」


どうしたの?と声をかける隣の席の同級生・・


「abuちゃんんん!私のお弁当っが消えた・・」 



下の教室では・・

触角に刺さったお弁当(ユキさんのお弁当)を箱ごと飲み込むと 


元気にパワーアップしたのか 

羽がなんだか 艶やかな黒光りしたゴッちゃんがいた・・。


そして・・


先程の弁当に味をしめて

攻撃され戦ってる最中だというのにゴッちゃんは

それに無視をして

机の中やらカバンの中に皆のお弁当をねらう


「ふ・・許されなくてよ!ゴッちゃん」

沙月ちゃんのニッと不敵な笑い顔

更にかかと落としが決まる!


「沙月ちゃん!」

茉莉花ちゃんや 蘭ちゃん、レイちゃんはじめの同級生の歓声!


足でゴッちゃんを押さえながら

後ろ向きのまま呼びかける


「誰か・・他にも私のぱんちらを・・見たわねええええ・・・」

ふ・・ふふ


「それから ねえ・・ れいちゃん


今日のお弁当の中身は


べーコン三色巻きに ポテトサラダ、プチトマト

五目稲荷に こんにゃくの胡麻油で炒めたもの・・

七味つき だったわね」

にやあありと・・不気味な笑みを浮かべた沙月・・

「ふふふ 」


「レイちゃんは料理上手だから好きよ

更に・・同級生の蘭ちゃんのお弁当は・・・・」



何故に未開封モードのお弁当の中身を知ってるだ?

恐るべし学校委員長・沙月・・


「私達は、戦っている学級委員長の沙月ちゃんを

応援とバックアップをします!!」

「俺の事も応援してくれえええ」と

ゴッちゃん(ゴキブリ)に踏まれている体育の三良先生

「ああ校長先生、危ない」うっかり近ずきすぎた校長をかば庇う沙月ちゃん

「弱者とお年寄りは、大切になさいっっ」

(と、、、ゴキブリに言われても、、、)

「さああ、洗剤液をかけるわよ 沙月ちゃんん!!」ばしゃあああ

しかし、しかしいいい、一瞬の沈黙、ふるふっっるんと顔を左右に回し

羽を震わせたのみで、あまり効いていない。

「く、効かない」歯ぎしりする沙月ちゃん

「一ノ瀬先生、殺虫剤は?

ああそうだわ!有効な武器になりそうな物!!消火器はありませんか?」

と、ちほちゃん

「えつ?この部屋にはないの?担当の科学の三良先生は?」


「えっ?・・どこ?」



舞台は変わって、ゴキブリを巨大化させた犯人、科学の三良先生が

風に吹かれながら、街のまん中にあるビルの屋上に立っていた。

「ひやああははは」と高笑い


「この街、九州、福岡県福岡市は街の中に国際空港があり

(中心地天神、空港まで地下鉄で約15分、博多駅からは約七分前後)

中心街からは約2、5キロ程しか離れてない


韓国へはわずか、約一時間前後程のアジアの玄関口と呼ばれる海の傍の都市

そして街の中心地の傍には、今晩の試合を見る大勢の人々が

集まる野球のドームもある、ふふふ・・・」


「まるで『世界征服を目指す悪の帝王』にでもなった気分だなあああ」


「まあ、目的は『飛行場を混乱させ、飛行機を欠航させる事だ』がなあ!


『悪の帝王さま』なら、逃げまどい、

このビルの高み から悲鳴を上げる市民の皆様を見下ろすのも

いつきょう一饗かああ ふぁあああはっ」と壊れた高笑い


左手にはビニール袋

袋には、沢山、蜘蛛に蝶、蟻、青虫等の

大量の虫、そして、薬瓶を天に高々と向けポーズをとる。


気持ち悪く笑いながら、ビニール袋に薬を降りかける。


煙りとともに、現れる巨大な蛾や蟻たち。


「ふえええへへへへへ、ゆけええ、ゆけ、私のしもべ達いいいいいい」

蟻の巨大な前足が先生に向かい、ふり降ろされる。

『ぺぎゅううう』という音とともに 踏みつぶされる三良先生

こちらは学校の科学実験室で 

ゴッちゃん(ゴキブリ)が暴れる中、タロットカードをめくる茉莉花ちゃん

「何か、退治するいい方法は占いで、出てないのおおおお」

とモップを噛み砕かれ、

今度は、松葉ほうきで、戦う沙月ちゃん 


「いいえ!!ただ『日没まで』としか出てないの!」


加勢として加わった空手部、柔道部、

他の生徒の為、勇敢にも、ゴッちゃん(ゴキブリ)の体液に

まみれるのをいとわず、肉弾戦に討って出たラグビー部の面々さえも

全て、なぎ倒され、踏み倒され 倒されて敗れてしまった。


「身体を覆う、ねちょりした油分が保護膜となって、

中性洗剤も殺虫剤も消火器もきかない、なんて・・・


バレー部のアタック攻撃も例の薬のせいで、

ゴッちゃん(ゴキブリ)の身体が金属質に変化してしまい

まるで、受け付けないわ」沙月ちゃんの応援団である同級生たちはつぶやく


「ああああ、しかもだんだんと巨大化しているうううう」

生徒達は のびてる運動部の生徒達や先生を引っ張り、一人、一人

数人ずつでかかえて、安全な場所に連れてゆく。


ゴッちゃんは部屋に入りきれない程大きくなりそうな気配


廊下に追い出され、気がつけば校庭での一騎討ちとなっていた

春、大陸からの黄砂が舞う季節 広い校庭

砂埃がゴッちゃん(巨大なゴキブリ)と沙月ちゃんの足下を舞う


沙月ちゃんは自分の両方の手首から細い金の腕輪をはずす


「預かっててくれる?」

ちほちゃんに手渡された金の腕輪を茉莉花ちゃんは見て

「こ、これは?」


「どうしたの?茉莉花ちゃん」


「噂の沙月ちゃんの怪力封じの金の腕輪!!」


「なんでも、派手なアクセサリーを持ち込んだとして

一度、学校が取り上げたらしいけれど、外した途端

学校の床をすべて踏み壊し、黒板に文字を書こうと触れただけで黒板はおろか、

隣の教室の壁まで砕いてしまったという

その怪力パワーを封じた伝説の金の腕輪」


ごくんと唾を飲み込む茉莉花ちゃんと応援団である同級生一同さま


「はああああ」とそのゴッちゃんの前足を握り、軽々と

今はザトウクジラ並みの大きさとなったゴッちゃん(ゴキブリ)を持ち上げ

背負い投げした。


ずおおおんんんと大地を揺るがし、ゴキブリは仰向けに倒され、

地響きがとどろく。


歓声が上がる

そんな中、生徒が一人駆けて来た。


「大変だよお!!医務室に薬を取りに行っただけど、医務室にあった

この小型TV見てよ!」


「何?何があったの?」TVを見る、同級生達はじめ学校の皆様


「緊急ニュース? 『福岡の町で今!!』て何?」

「あああああ 町にまで巨大化した虫達が、、、、」


「あのが蛾は『ヤガ』、『スズメガ』、 『アリンコさんは『アミメアリ』だね?

そしてビル程の大きさの蝶は、皆も知ってる『モンシロチョウ』」

昆虫学者を父に持つ ちほちゃんのコメント


「この季節、校庭やその辺の近くの野原いるけどなんで?

蛾や蝶がなぜ あのゴッちゃん(ゴキブリ)のように巨大化してるの?」


頑丈で巨大なゴッちゃんにとどめを刺す為、背負い投げをくり返し、

何度も地響きをとどろかす。


「三良先生はどこに行ったのかしら?そういえばあの薬・・・」


「たぶん、『愛しのみゆきちゃん?』の韓国行きの飛行機を止める為

街を混乱のうずに巻き込んでいる・・そんな所じゃない?」


とタロットカードを手の持ち、呟く茉莉花ちゃんの言葉に

無気味な沈黙が漂う。


そんな中、沙月ちゃんのキックが、パンチが、背負い投げが、ゴッちゃんに

地響きと共に炸裂していた。


「今日は、部活の帰りに博多ラーメン食べるつもりだったのに」

泣きわめき、怒りをぶつける沙月ちゃん


「あああ、、ピンクの水玉?

」ほおおとため息をつき頬を赤く染める男子生徒


大きな石が飛んでくる


「だから、人の下着を覗くなあああ」


そうして学校では沙月ちゃんが奮闘していた頃、


街では騒ぎが広がっていた。


福岡市の中心の街のひとつ、天神の愛光石油のガソリンスタンドでは

巨大なモンシロチョウと格闘が始まっていた。


「危ない!先輩!!!」襲われる仲間をかばい、

水道のホースで、巨大なモンシロチョウに、水を浴びせるスタンドの店員

水攻撃に驚き、チョウは空高く逃げ去る。


「ありがとう 助かったよ 寺崎くん」

白い歯の煌めきが似合う二十歳前後の好青年(寺崎くん)。


「ぼっちゃっまああ」

スタンドの影で見守る

執事スタイルの50才前後の男が一人とその傍にもう一人

身体にぴっつちりとフィットした高級そうなスーツの

30代から40才前後の女性


「ぼっちゃま、御立派ですわ アルバイト先のガソリンスタンドを

しっかり、お守りになられた。


あああ、それにしても

私の特注のクリスチャンデイオールのスーツが

水びたし染みにならないかしら?」


「ふう、それにしてもひどい騒ぎですね 先輩」


「そうだな寺崎くん」


すぐガソリンスタンドの横の道路を

大型バスのサイズ程の青虫がゆっくりと

通りすぎる。


その青虫は、近くに止まっていた高級車、銀色のロールスロイスに噛み付き、

まるで、八百屋のキャベツを食い荒らすように、

ぼりぼりと音をたてて食べていた。


「ああああ!!!大変! お借りした会長の車がああああ」

慌てて車に駆け寄る

先程の怪し気な執事と高級スーツの女性のコンビ


「おい!大変だ!今、電話で、連絡があった

 光藍石油の本社がに襲われてる!」


それを聞き、ダッシュで駆け出す、白い歯が輝く、好青年の寺崎 隆次くん

近くの駐車場に停めていたフェラーリに飛び乗り 車で30分程の距離にある

本社を目指す。


街は混乱の極みにあった さまざまな大小、巨大な虫が暴れ


天神福岡駅は半壊、そばのショピング街、新天神も崩壊。

近くの赤坂門、大濠公園にも巨大なアリが闊歩していた


「松さん、今日の赤坂門で、開催予定の絵の個展『百物語』

中止?」


「寺崎まゆさん、ドームのイベントの打ち合わせ済んだら、

こっちにスタートレックの絵の展示に来るはずだったけど、

ドームも大変らしいよお?」


海の近く、福岡タワーの近くにあるシーホークホークホテルの隣


野球の試合が始まる予定の福岡ドームにその蜘蛛よりも、ひと回り

巨大な青虫が、こちらも自分のまわりに糸をはいている 

「きっと、『さなぎ』になって、羽化するんだ」


「抵抗は無意味だ・・我々も『さなぎ』に同化されるんだあああ」と泣く

「寺崎くん、落ち着け」

「村野ロビン提督?!!権ノ藤艦長!!間野司令官!!!

 副艦長おお!!!キラさあああんん、 皆あああ」


「彼女、大丈夫か?」 


「かなり動揺してますね」と技術主任の佐々岡さん


寺崎と呼ばれた娘は、うっかり逃げ遅れ、

青虫の吐く糸に巻き込まれてしまい、全身をねばねばした青虫の糸で覆われ、

地上十メートル以上の高さの所にいた。


実は、彼女はちょっと変わったコスチュームを着ていた

「た、高いよおお、こ、恐いよおおお、でも、でも一番ショックなのは

一番のお気に入りの服、私のスタートレックの?艦隊のスーツが

ボロボロ? 


『スタートレック』、とっても有名なアメリカのSF映画


(24世紀の未来の宇宙が舞台、さまざまな宇宙人と出逢い

宇宙連邦から派遣された探査を目的とした宇宙船が活躍する話)


そのスタートレックの映画104作目の記念イベントの応募プレゼント

はがきで応募して当てた大事な映画の衣装なのに

トレッキー(スタートレックのファンの事)としては悲しすぎるううう」


うん、うんとうなずく、彼等もまた、全員、

映画スタートレックのコスチュームを着用していた。


「明日のスタートレックファンのイベントの準備とリハーサルをかねて、

福岡ドームに来ていたんだが、大変な事になったね


しかも、寺崎さん、巻き込まれてしまって、」


「どうしよう」


「あいかわらず、とろい、とろいぞ、彼女」


「うわ?ん、誰か助けてええええ、、お兄ちゃんん」


「寺崎さんのお兄さん?」


「なんでも、天神のガソリンスタンドでアルバイトしてる

白い歯と爽やかな汗が似合う、背の高いかっこいいい兄さん?」


「おにいちゃンン」  


が、しかし、迫りくる青虫の大軍をよけながら

フェラーリを華麗に、たくみな運転で、飛ばす 

好青年『寺崎』くん、こと彼女の兄は・・・


まったく、きれいさっぱり、妹の事などを忘れ果てていた。


「綾香ちゃん」

脳裏をよぎる、まだ、幼さが残る面だちの

どこかはかなげ儚気な、かれん可憐なOL


好青年『寺崎』くんのフェラーリを追い掛ける

青虫に半分程食べられた、銀色のロールスロイス


「ぼちゃままああ?!!」

「執事の五丈原さん!大丈夫ですかああ?」


「わ、私はぼっちゃまの為なら、たとえ火の中、水の中

会長の第一秘書の貴方とともに、ぼっちゃまをお守りいたしますううう」


車は、街中を暴れる巨大な虫達の暴走に巻き込まれそうになりながら

光藍石油の本社に辿り着く


そして本社の中では・・・

ところで、みなさんは覚えてるだろうか?最初の1Pに出てきた

机の下に隠れ、『モスラ』巨大な蛾に襲われていた

一人のOLと年配のサラリーマンと若いサラリーマンの事を


三人は、人よりちょっと大きめのサイズの『モスラ』

いえ、巨大な蛾に襲われ、燐粉まみれとなっていた。

「きやああああ ゲホン、ゲホ」

「大丈夫かあああ、、、みさきちゃ?んんんんゲホゲホゲホ」

「ゲエホゲホゲホホホホ」よほど、三人が気にいったのか、なついて

三人の傍を離れようとしない 『モスラ』、、、こと、、、巨大な


『モスラ』または、その巨大なに、後ろから消火器の噴射攻撃

そして、すかさず、消火器本体で殴り倒す。


「あああ、君は!?」 


そして、続けて『みさき』ちゃんは叫んだ

「貴方は!!本社、近くのガソリンスタンドのアルバイト!


でも、その実は、この光藍石油をはじめとする、

寺崎財閥の総統で、会長の息子の一人、なぜかヨーロッパ留学を断り、

お忍びで、ガソリンスタンドのアルバイトをしてる方!!!


そして、その事はにぶい!にぶにぶのガソリンスタンドの先輩以外、みんな知っている!!」


「・・・・・」 その手を

本社の看板娘である『みさき』ちゃんに差しのべたまま

顔をひきつらせ、凍りつく、爽やか好青年『寺崎 隆次』くん


「だめだよ、みさきちゃ?ん(汗)」とため息をつく

若きサラリーマンと課長


「あ、あの、す、すみません、ちょっとお聞きしたいのですが

こちらの課にいる『水守 綾香』さんは御無事ですか?


今、どこに?」


「て、寺崎くん?」部屋の奥から、弱々しいかすれた声


「あ、綾香ちゃん」


「寺崎くん」


部屋のすみから、ゆっくりと『寺崎』くんの方に

歩いてくる長い髪の娘、彼女は巨大な蛾に襲われ、燐粉まみれになり

その服は蛾に、ひっぱられて、噛まれて、かなり破れて痛々しかった。


「あれは!!会社でも1、2を争う、と評判の美女、『水守 綾香ちゃん』


そのまるでロードオブリングやお伽話にでも出て来そうな

お姫さまのような風情と穏やかな性格は、

会社の男子だけでなく、女子、掃除のおばちゃまにまでモテモテ」

コメントする、みさきちゃん


近ずこうとしてよろける。

妖精のような、すんなりとした華奢な身体を、受け止める。


「綾香ちゃん」

「寺崎くん」見つめあう二人


そして二人にとって・・

お茶目でラヴリーな看板娘のOL、みさきちゃんと

ゴジラが好きな若いサラリーマンと課長の事は忘れ去られた存在


彼は静かに、彼女を見つめて、こう聞いた

「どうして、ずっと携帯に出てくれない?

メールの返事もくれない、僕の事、嫌いになった?」


「・・・・」悲し気に目を臥せる


「・・寺崎くん、あの話、覚えてる? 私の父の話」


「お父さんの話

君の本当のお父さんは、どこかのお金持ちの学生だった・・と?」


「一ケ月前、母が話してくれたの」


「そう、学生だった父、その金持ちのメイドだった 私の母」


「身分違いと結婚を反対され、母は私をお腹に宿したまま

父にその事を話さず、姿を隠した


しばらく遠い街で暮らしていたけれど

忘れられず、この街に帰って来た


母がメイドとして、働いていた金持ちの家、それは貴方の家!!『寺崎家』」


「じゃあ、僕達は・・・」


「・・・姉弟なのか?」


「・・・・・」


寺崎くんを見つめ、泣きじゃくる綾香


抱き合う二人を横目に、

そっと『みさき』ちゃんは自分の机の引き出しから

小袋ポーチを取り出す、その極彩色のポーチの中から、マイクを取り出す。


マイクの名前は『どこでも一人でも「カラオケちゃん」だ!』


小型のコンピュータが内蔵されて

マイクの下に取り付けられた小さなスピーカーからの自動伴奏付き!


記憶チップには200曲入っており、

インターネットでの新しい曲のダウンロードも可能!!

スイッチを入れ、歌うのはもちろん!!!あの韓国TVの悲しい恋の物語

日本語バージョン!!!


目に涙を浮かべつつ、課長も自分の机の引き出しの中から、

なぜか小さなハーモニカを取り出す


そのハーモニカを口元にあて みさきちゃんの甘く切ない歌に伴奏を添える。


燐粉のかかったテイシュ箱からテイシュを取り出し、涙と鼻水を取る

ちょっと純な若いサラリーマン。


それを部屋の外の廊下から伺う二人組


「くううう?可哀想なぼっちゃまあああ・・・」

と高級なスーツがぼろぼろの会長の第一秘書


「はて・・?」 「どうしたんです、執事の五丈原さん?」


「変じゃのうう

たしかに、メイドと恋に落ちた、学生という話があったのじゃが

それは、会長の一つ下の弟君のはずじゃが・・・」


「・・・・」「・・・彼女の勘違い?」


「じゃあ、姉弟ではなく従姉いとこ


「今、あの状態の皆さんに、声をかけるのも、なんですし」


「まあ、、あのOL嬢の歌が終わって、教えてあげましょう」


「うむ、ううう」


「今度はどうしたんです?執事の五丈原さん?」


「何か大切な事を忘れている気がするのじゃが・・」


「おにいちゃんは、きっと私の事を忘れてる・・」

くすん、くすんと泣きじゃくる


福岡ドームの巨大な蝶のさなぎの糸に捕まってしまった

SFスタートレック(未来の宇宙連邦の宇宙船の話)のコスチュームを着た娘。

もう一人の寺崎ちゃん


「パパもママも、今、海外の子会社に出張、


一番上のおにいちゃんは、休暇を取ってハワイでサーフィン、

二番目のおにいちゃんも、休暇を取ってヨーロッパの美術館巡り

いつも面倒見てくれる、第二秘書の赤壁さんは失恋で、失踪中

執事の五丈原さんも、第一秘書のノノヤマ ユナも来ない」


ちょっと孤独を感じている寺崎ちゃんに

「がんばるんだあああ!!寺崎くん!

スタートレックファンクラブ連邦は君を見捨てはしない!!」


「みんなああ」涙を浮かべる寺崎ちゃん

そうだ、そうだと叫ぶ沢山の人々


それは騒ぎを聞きつけて、集まった人々(野次馬)やらTV局やらだった

消防士の皆さんは、どうやって助けるかと相談中

「私達も手伝わせてください!!」と消防士に声をかける大工の集団


「樹高工務店の者です!!

丁度、福岡ドームの病んだ箇所の修理に呼ばれていたんです!!

何か出来ませんか?」 


「助かります!!

あのドームの球体のすべりやすい曲線部分に 被害者が引っかかているです

しかも この頑丈な『巨大さなぎの糸』から、助けださないと」


「では 我々が登って、バナーや電動ノコで、『糸』から被害者の娘さんを

助けだしましょう!!」


消防士達と大工集団のチームは、瞬く間に、『糸』を登り、

被害者の寺崎ちゃんを救い出す為、バナーや電動ノコで『糸』を斬り出した。


そんな時、小さな揺れが数回

慌てて、作業の手を止める。


「なんだ?」 


メキメキとキノコ型の繭の中から

上の方から『糸』がちぎれはじめる。


『羽化』がはじまったのだ

羽は美しいるり色、午後の夕暮れ近くの光を浴び、その羽を金色に染める


まるで、巨大なドームが開いてその中から蝶が現れたかのような光景

その美しい情景に、人々は一瞬、我を忘れる。

福岡ドームのすぐ傍の海の波の音が聞こえる。


海からやってきた、美の女神ヴイーナス(アフロデイテ)・・

だれかがそっとつぶやく


ヴイーナスと呼ばれた、その巨大な瑠璃色の蝶は、

海風に吹かれその濡れたような羽を乾かして

光の中を

天空に向かって、飛んでいった。


※ここでちょっと、昆虫学者のパパがいる、ちほちゃんから一言


本来、朝方が蝶の羽化の時間です。 蝶の種類ですがアオスジアゲハか

ルリシジミと思われます

昆虫に詳しい友人によると、羽が乾くのには30分かかるそうです

すみませんと作者

福岡ドームの近くの公園の野次馬の中に


高級レストラン、温水プール等が完備された

名門の超お嬢様学校の九州女子高等学校の生徒が一人


「すごいわあああ、もう美奈子、感動しちゃった」

デジタルビデオにも、しっかり納めちゃったし、

今月の美奈子のホームページの特集は、これに決まりね?」


「さな沙那ちゃん、帰ろうね。 ああそうだ!アイスのお店によって

きなこアイスか明太子アイスを食べちゃおう?」


優しく自分の肩に乗せた白い猫に話しかける。


そんな彼女の横でTV局の取材スタッフが大騒ぎしていた。

「聞いたかあ?近くの私立の中学校で、一人の女子中学生が

ザトウクジラ並みの大きさの巨大なゴキブリと戦っているらしいぜ戦っとんしゃあゼ!!」


「ほええ!!すげええ!!なんばしようと

はよう、取材に、いかな!」

(※博多弁 すごい!!何をしているんだか、早く取材に行かないと)

と地元スタッフアルバイトA


「すげええ怪力の「娘さん」やとの話や」と地元スタッフアルバイトB

((すごい怪力の「娘さん」だとの話だ)


「怪力の女子中学生?・・まさか、沙月ちゃん?」


「すみません!!今の話を聞いちゃったですけど

その女子中学生! 4つ年下の私の従姉妹なんです!!私も同行させてください!」

 いいよ、乗りなさい「よかよ!乗りんしゃい」


「で・・?」息がかなり上がっている、沙月ちゃん

 

巨大ゴッちゃん(ゴキブリ)と戦う、怪力だけど、美少女の中学生


「やあねえ、応援しに来たのよ沙月ちゃん?」と従姉妹の美奈子ちゃん


「うりゃああああ」と24回目の背負い投げをゴッちゃん(ゴキブリ)に

かける沙月ちゃん。


「じゃあ、ちょっと聞くけど、そのデジタルビデオカメラは何?」

キックとパンチを交互にゴッちゃんにかける。


「えっ、今、沙月ちゃんの勇姿をビデオに納めてるんじゃない?」


「で、私の勇姿が美奈子ちゃんのホームページに載るわけね・・」


そして今度は回し蹴り「沙月ちゃんがいやなら載せないから?

でもめったにない機会だから、記録だけでもだめ?


それに、この間、空手の試合の記録を頼んだの 沙月ちゃんだよ

 それに、隣でTV局さんも取材してるよ」


「そうじゃないの、そのデジビデオ、私のデジタルビデオでしょう?」

沙月パンチが炸裂の中の一言


「いつも言ってるでしょう!!!人様の物は、

無断で断りもなしに持ち出したり、

使っちゃいけません!!!


将来、悪い泥棒さんになってしまうでしょおう!!!!」


「この間も、私のノートパソコンを勝手に持ち出して 

壊したのは誰ですか!!」そして、連続膝蹴り攻撃中


「さすが、精励潔白な学級委員長の沙月ちゃんね」


と感心する同級生、ちほちゃんと茉莉花ちゃん達 同級生一同さま


思いきり顔をしかめて、すねる美奈子ちゃんと白猫の沙那ちゃん

「ひどい 今回ちゃんと一言、沙月ちゃんに断りを入れてますう」


「えっ(汗)」


「あら、卒業生の美奈子さん、応援に来てたの?」と図書管理担当の紫城先生


「あ、ねえ紫城先生、覚えてます?先週の話」


「え、ああ、本の整理、分類を美奈子ちゃんが手伝ってくれたという話ね。

沙月ちゃんと三人で、美奈子ちゃんの手作りケーキを食べながら、

デジタルビデオで本のタイトルを記録してたのよね」


「しばらく、使わないから無期限で貸してくれるて、

言ってたの沙月ちゃんよ」


「ごめん、そうでした・・」立ち尽くす沙月ちゃん、そこにすかさず

ゴッちゃんが襲いかかる。振り返りもせず、むんずと

(とてつもなく頑丈な)触角をつかみ、25回目の背負い投げ


「ねえ沙月ちゃん、今度、警固公園である

福岡とんこつ三大らーめん祭りに行かない?」と美奈子ちゃん


「仲良くね また遊びに 行こうよ」


「それとも長住、平尾、高宮の住宅街にある

美味しい、ドイツ、オーストリア菓子の店が

いっぱいあるから、食べ歩き」


「御菓子なら教会がある、赤坂門のあたりも美味しい喫茶店やケーキのお店が

あったよね。 」「そうそう、平尾の一蘭のラーメンも味が最高だし、


ちょっと離れた所では油山、宝満山のハイキング


それとも、ちょっと遠出して市外の

太宰府で、学問の神様、太宰府天満宮でお参りして、

近くの禅寺を廻って、帰りに、寺他屋さんの梅ヶ餅を食べて、

電車に乗って、柳川の川下り」


「市外なら 足をのばして佐賀の唐津か、呼子の海のイカずくし、もいいなあ」


「私達も連れってよ」と同級生


「そうよね 遠出なら、長崎の街やハウステンボス


大分、熊本の菊池渓谷、阿蘇、鹿児島にも行きたいな

連休、みんなで行こうか」


「九州一周ですか?いいですねよええ」と紫城先生


「九州、九州は湯布院をはじめ

雲仙霧島、人吉、いぶすき宿南いい温泉がいっぱいだああ・・ふうう」

と、なぜか頬を赤く染める同級生ちょっと世の中につかれた、小柄な眼鏡の男の子


夜のとばりが近ずく、夕暮れの中


「あれ!?何か変?」とちほちゃん


「少し、ゴッちゃん(ゴキブリ)の身体が小さくなってる!!」


「そう言えばもうすぐ日没!」と茉莉花ちゃん


「茉莉花ちゃんのタロット占いでは「大トラブルは日没まで」よね」

とちほちゃん


28回目の背負い投げの最中、ゴッちゃん(ゴキブリ)の身体から

怪し気な、煙りが出始める


「あれえ?」掴んだ触角が小さくなる 

そして、ゴッちゃん(ゴキブリ)の身体が急に、軽くなる。

背負い投げして、地響きとともに巨大な身体が、

地上にふり降ろされるはずだった・・・

ぱさ! とても小さな物が、地面に落ちる音


ぱさ、小さな小さなゴキブリが、かさかさと音をたて、

沙月ちゃんから、逃げようとする。プチッ!! 踏みつぶす


「・・・・」深いため息とともに思わず、へたり、と座りこむ。


「・・・・勝った・・のね・・」目頭が熱くなり、涙が浮かぶ


「夕焼けがとっても、綺麗」夕日を浴びる、沙月ちゃんをはじめとする

同級生、先生、TV局、、学校の一同さま・・・


最終章 それぞれのエピローグ


街で暴れていた、巨大な虫達は夕暮れと、ともに姿を消し

人々は壊れた街の中、呆然と立ち尽くしていた。


光藍石油の本社では・・

まだまだ、歌のエンドレスは続いていた。

廊下で覗く二人組


「14回目ですよ 執事の五丈原さん」


「・・・困ったのううう」


抱き合う二人、寺崎くんと綾香ちゃん


その横で、目もとを潤ませながら、歌うOLみさきちゃんとハーモニカの課長。

いつの間にか、怪し気な、バレエらしき踊りを踊ってる 

入社二年目の若きサラリーマン。


「困った・・」と廊下で、ため息をつく、執事と第一秘書


ドームでは・・

「た、高い、気が遠くなりそう」ドームの窓にしがみつく

寺崎ちゃん


「頑張るんだ寺崎くん!!」

すぐ傍の樹高工務店の大工さん達と消防署の混成チームの一人が

声をかける。


「へっ?」


「僕だよ僕!!」混成チームの一人が自分を指差す。


「誰・・・?」「ほら、小さい頃、一緒に遊んだ・・、」


「?」「高宮カトリック幼稚園で、一緒だった子?」


ぶんぶんと笑って顔を振る。


「高宮の条光寺の階段で遊んだ近所の子?」

ぶんぶんとまた、笑って顔を振る。


「博多の海の近くの海弦寺であった、親戚の法要

そこで、歳の同じくらい遠い親戚の子達と遊んだ」


「大工さん達、樹高工務店・・・て・・」


「あっ、遠い親戚の人に樹高工務店の人がいたああ!?」


「やっと思いだしてくれたね。」「で、でもよく私の事覚えていたね!?」


「そりゃ、忘れられないさ!」  「?」


「あのお寺さん、海のすぐ傍だったろう!?

僕達、その頃まだ小さい子供だったから、子供達でボール遊びしてて、

海に落ちたボールを 僕が、蝉を取る『虫取りアミ』で取ろうとしたら、


「大丈夫? 樹高くん」て近ずいて、そのまま 君、小石につまずいて

そのいきおいで、僕を海に突き落としたんだ・・」

そう言った彼の顔は優しい笑顔を浮かべてる。


「私の事、怒ってる?」 「そんな昔の事、怒ってないさ、

まあ、、それが原因で肺炎を起こして一週間入院したけど

嫌いな授業と苦手な教科のテストさぼれた からネ。」とアハハハと笑う


しかし、このわすか30秒後、歴史はくり返す・・のであった

地上まで、あと数メートルの位置まで近ずく寺崎ちゃんと

その寺崎ちゃんを救助中の混成チーム。 


風に吹かれ、バランスを崩す寺崎ちゃん 

そして風でワイヤーの留め金が外れてしまう

「危ない」と手を差し伸べる木高くん 


バランスを崩した彼女が、捕まろうとして、

偶然、木高くんのワイヤーの留め金を外してしまった・・


「ひょええええええええええ」「うわあああああああ」


ピイポ、ピイポ、と気がつくと救急車が迎えに来ていた


「人生二度めの入院かああ・・」寂しくポツリと呟く樹高くん


「樹高くんんん ごめんなさい」泣いている寺崎ちゃん


幸い、軽い骨折程度で、済んだ樹高くん


寺崎ちゃんは樹高くんを

下敷きにしたので、奇跡的に軽い打ち身のみ


「ああ、気にしないで・・明日、文句といやみな受注先の会社の社長に会わずに済む

理由が出来たから、解放されたよ


これでやっと兄貴に交代してもらえる


喧嘩中の恋人を呼び出す理由も出来た それが一番嬉しい,


まあ、見舞いがてら、遊びに来てね?


それにそのコスチューム あのスタートレックだね

いいな?未来の宇宙でさまざまな始めて会う、宇宙人とお友達になったり、

冒険をする話、僕もファンなんだ、今度、お話聞かせてね」


ちょっと嬉し気な樹高くん  


「・・・・」救急車を見送る 寺崎ちゃん達であった・・


ピイポオ、ピイポオ救急車のサイレンが響く・・・・


「ええ、ビルの屋上で、例の巨大な虫に踏まれたらしく

かなりの重傷です。


えええ、はい、分かりました。 

ああ、それからこの患者ですが、頭を強く強打したようです。

何か意味不明な事を叫んでおります。」と救急車の隊員


ビルの屋上、そこには巨大なアリさんに踏みつぶされた

虫を巨大化した張本人、自称、悪の帝王 科学の三良先生がいた。


「愛しの夢子さんは、去年、名古屋にお嫁に行ってしまいました・・


そして、三ヶ月前、通勤のバスで偶然、出逢い、

この僕のハートに火をつけた『みゆき』ちゃん


今日、僕を置いて韓国へ恋人に会いに行こうとした みゆきちゃん」


「すみませ?んん、ねえ救急車の隊員さん」


「君!あまりしゃべってはいけない 怪我によくない!!」


「でへへへ、、、空港、どうなってますううう?」


「空港なら、例の巨大な虫達のせいで、今、閉鎖中だが?」

「でへでへ、へへへっへ・・みゆきちゃんんん」


そして、その頃・・・

韓国の海、金海の港では、福岡の博多湾

博多埠頭からのフェリーが到着していた。


赤いドレスを身にまといはちきれそうなナイスで

豊かな胸元には、綺麗なペンダントが揺れていた。


これは恋人からのプレゼント

港の税関を通りぬけ、彼の元へ黒塗りのベンツ、運転手が扉をあける


そこから優しそうな風貌の青年が現れる。


青年に向かい、赤いドレスの娘は彼の腕の中に飛び込む

「みゆきさん、待ってたよ、この指輪、受け取ってくれる」

「うれしいわ、リーさん」


福岡では、救急車の中で 何も知らない三良先生が

愛しの『みゆきちゃん?』を夢の中で思い、頬を赤く染めていた。


そして、偶然にも救急車は、弟の体育の三良先生の入院先へ

弟の三良先生は、巨大化したゴッちゃん(ゴキブリ)との戦いで、重傷を負い

エジプトのミイラのごとく、身体中に包帯をまかれ、ふるふると

静かに、怒りに震えていた。


「兄貴いいいい」


そして、、、同じくミイラのように包帯を巻かれたゴッちゃんとの戦いで、

体育系の部活の面々


ピク、ピク・・・校庭の踏みつぶされた小さなゴキブリは思っていた・・

「なぜ、なぜ、なぜなんだ、ぼくが何をした?悲しいぞおおお」と・・・・


                Fin 









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