表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が彼女に告る理由  作者: 本間 甲介
理由その2~ゴールデンウィーク~
6/39

心の友との出会い

 友達になったあの日から、俺がこうして朝桐さんに会うのは今日で二度目だった。


「あの、身体はもう大丈夫なんですか?」


 朝桐さんは、内緒話をするかのように、俺の耳元でささやく。クラスメイトたちの視線が一気に集まったような気がした。


「全然大丈夫だよ」


 そう答えると、朝桐さんはほっとした顔になった。


「あの、これから困ったことがあったら、なんでも言ってくださいね」


 朝桐さんは俺から離れ、ニコッと笑う。


「うん、ありがとう」


 友達……なはずだが、やはりまだ朝桐さんには「壁」があるように感じられた。そこでチャイムが鳴った。


「じゃあ、またあとで」


 彼女はそう言い残し、自分の席へと向かった。


「君、皆見くん?」


 担任教師が来るまでのわずかな間、後ろの席の奴が声をかけてきた。振り返ると、ひょろりとした背の高い男子だった。


「ああ。そうだよ」


「話は聞いたよ。大変だったね」


「はは、まあな」


 逆の立場なら俺もそうするだろうが、できれば同情はやめてほしい。


「で、彼女とはどういう関係なの?」


 と思ったら、いきなり男子は話題を変えてきた。そこにはいい意味で遠慮がなかった。


「友達かな」


 肩の力が抜ける。俺は正直に答えた。


「へえ、怪しいなあ」


 見た目に似合わず、どんどん攻めてくる。俺はここである疑問が浮かんだ。


「知らねえの?」


 俺はおそるおそる、ぼかした言い方で尋ねた。


「え、なにが?」


 きょとんとする男子。俺は確認を取った。


「俺のこと、なんて聞いてる?」


「自転車のチェーンが外れたとかなんとかで、壁にぶつかったんでしょ。……違うの?」


「……いや、そのとおりだよ。ったく、運が悪かったぜ」


 俺は笑って誤魔化す。男子も疑うことはなく、遠慮のない笑い声を上げた。


 どうやら話が曲解してみんなに伝わっているようだ。たぶん、他の者も俺と彼女の間にあった出来事(主に俺が悪い)を知らないようだ。


「ある意味よかったな……」


 俺は朝桐さんに変な疑いがかからないことが分かり、安心した。


「あ、自己紹介がまだだったね。僕は仲間夏彦。よろしく」


 男子がここで初めて自己紹介をした。


「おう、よろしく。皆見一将だ」


 俺は同じく自己紹介をする。……今になって分かったことだが、俺は仲間夏彦と、これから先もずっと親友で居続けられる、そんな感覚があった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ