衝撃発言
結構前に書いたやつです。推敲しながら少しずつ載せていきます
ランチタイムを少しばかり過ぎた時間帯に、皆見一将は待ち合わせ場所のファミレスに到着した。
「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」
店員がやってきて、一将に確認する。
「あ、連れがもう待っているんで」
一将はそう断り、席を見回す。
「ここだよ」
窓際の後ろから二番目の席からにゅっと手が上がった。
「おう、悪い待たせて」
一将は謝りながら、親友である仲間夏彦の元へと向かう。
「そちら、どうぞ」
夏彦は自分の向かい側の席を指さす。一将はどっさりと腰を下ろした。
「ふわぁ……ねみい」
大あくびをし、一将はだらんと足を伸ばす。夏彦のすねにこつんと当たった。
「眠そうだね」
夏彦は座っている位置をずらさず、正面から一将を見つめながら言った。
「ここ最近の睡眠時間はかなり短いんだよ。……ま、それも今日までだけどな」
「……そっか。それで話っていうのは」
単刀直入に、夏彦は本題に入った。
「そうそう、まさにそれ!」
いきなり一将は元気な声を出す。一将は伸ばした足を戻し、姿勢を正す。そしてきょろきょろと周りを見出した。
「ど、どうしたの、大丈夫?」
夏彦は心配そうな顔をして、一将に声をかける。
「お、おう。大丈夫だ!」
一将は夏彦の方に顔を戻す。夏彦はほっと息をついた。
「なにかあったの?」
ぼそぼそと内緒話をするように、夏彦は一将に訊く。
「まずいってわけじゃねえけど…………まあ、単刀直入に言うとだな」
同じく夏彦もぼそぼそと小さな声でそう言うと、ごほんと咳払いをし、こう言った。
「俺さ……」
「うん」
「朝桐さんに」
「……ん?」
「告ろうと思うんだ」
「ぶぼっ!」
ほとんど条件反射のように、夏彦は飲んでいたジュースを吐き出した。
「ちょっ、お前大丈夫かよ?」
「ごほごほっ……だ、大丈夫、気管支に入っただけだから……!」
大慌てで、夏彦はテーブルに飛散したジュースをペーパーで拭き取る。
「あ、あのさ……」
綺麗になったところで、夏彦は一将をじっと見た。
「その、確認のためにもう一度言ってもらえる?」
「ん? だから朝桐さんに告ろうと思うんだって話だよ」
二度目は照れず、一将ははっきり告げた。
「…………」
夏彦は無言となった。二度も言って自信がついてきたのか、一将は芝居がかった口調になった。
「で、だ。この俺が彼女に告ろうと思った理由なんだが、これがまた――」
「ま、待った!」
続けて喋ろうとする一将を、夏彦は制止した。その顔はかなり切羽詰ったものだった。
「な、なんだよ……?」
「いやその……も、もう少し声のボリュームを下げようよ。他のお客に迷惑だからさ!」
両手を前に出し、夏彦は一将を落ち着かせる。だが一将は首をかしげた。
「いやそこまで大声じゃない――」
「とにかく!」
夏彦は人差し指を口に当て、強引に一将の口を閉ざす。
「僕はちゃんと『最後まで聞く』から、ゆっくり話してみてよ。『最後まで聞いて、返事する』から!」
不自然なほど、夏彦はそう強調した。
「……そうだな、悪かったよ」
たしかに夏彦の言うとおり、自覚がないだけで、大声になっていたのかもしれない。一将は謝り、目を閉じ深呼吸した。
「大丈夫? 落ち着いた?」
「ああ、完璧だ」
頭に上っていた血が、身体全体に戻る感じだった。一将はリラックスした表情になっていた。
「……水、注いで来たら?」
「むっ、それもそうだな。じゃ、ちょっと待っててくれ」
長い話になることは間違いない。一将は空になった水を注ぎに行った