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俺が彼女に告る理由  作者: 本間 甲介
プロローグ
1/39

衝撃発言

結構前に書いたやつです。推敲しながら少しずつ載せていきます

 ランチタイムを少しばかり過ぎた時間帯に、皆見一将は待ち合わせ場所のファミレスに到着した。


「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」


 店員がやってきて、一将に確認する。


「あ、連れがもう待っているんで」


 一将はそう断り、席を見回す。


「ここだよ」


 窓際の後ろから二番目の席からにゅっと手が上がった。


「おう、悪い待たせて」


 一将は謝りながら、親友である仲間夏彦の元へと向かう。


「そちら、どうぞ」


 夏彦は自分の向かい側の席を指さす。一将はどっさりと腰を下ろした。


「ふわぁ……ねみい」


 大あくびをし、一将はだらんと足を伸ばす。夏彦のすねにこつんと当たった。


「眠そうだね」


 夏彦は座っている位置をずらさず、正面から一将を見つめながら言った。


「ここ最近の睡眠時間はかなり短いんだよ。……ま、それも今日までだけどな」


「……そっか。それで話っていうのは」


単刀直入に、夏彦は本題に入った。


「そうそう、まさにそれ!」


 いきなり一将は元気な声を出す。一将は伸ばした足を戻し、姿勢を正す。そしてきょろきょろと周りを見出した。


「ど、どうしたの、大丈夫?」


 夏彦は心配そうな顔をして、一将に声をかける。


「お、おう。大丈夫だ!」


 一将は夏彦の方に顔を戻す。夏彦はほっと息をついた。


「なにかあったの?」


 ぼそぼそと内緒話をするように、夏彦は一将に訊く。


「まずいってわけじゃねえけど…………まあ、単刀直入に言うとだな」


 同じく夏彦もぼそぼそと小さな声でそう言うと、ごほんと咳払いをし、こう言った。


「俺さ……」


「うん」


「朝桐さんに」


「……ん?」



「告ろうと思うんだ」


「ぶぼっ!」


 ほとんど条件反射のように、夏彦は飲んでいたジュースを吐き出した。


「ちょっ、お前大丈夫かよ?」


「ごほごほっ……だ、大丈夫、気管支に入っただけだから……!」


 大慌てで、夏彦はテーブルに飛散したジュースをペーパーで拭き取る。


「あ、あのさ……」


 綺麗になったところで、夏彦は一将をじっと見た。


「その、確認のためにもう一度言ってもらえる?」


「ん? だから朝桐さんに告ろうと思うんだって話だよ」


 二度目は照れず、一将ははっきり告げた。


「…………」


 夏彦は無言となった。二度も言って自信がついてきたのか、一将は芝居がかった口調になった。


「で、だ。この俺が彼女に告ろうと思った理由なんだが、これがまた――」


「ま、待った!」


 続けて喋ろうとする一将を、夏彦は制止した。その顔はかなり切羽詰ったものだった。


「な、なんだよ……?」


「いやその……も、もう少し声のボリュームを下げようよ。他のお客に迷惑だからさ!」


 両手を前に出し、夏彦は一将を落ち着かせる。だが一将は首をかしげた。


「いやそこまで大声じゃない――」


「とにかく!」


 夏彦は人差し指を口に当て、強引に一将の口を閉ざす。


「僕はちゃんと『最後まで聞く』から、ゆっくり話してみてよ。『最後まで聞いて、返事する』から!」


 不自然なほど、夏彦はそう強調した。


「……そうだな、悪かったよ」


 たしかに夏彦の言うとおり、自覚がないだけで、大声になっていたのかもしれない。一将は謝り、目を閉じ深呼吸した。


「大丈夫? 落ち着いた?」


「ああ、完璧だ」


 頭に上っていた血が、身体全体に戻る感じだった。一将はリラックスした表情になっていた。


「……水、注いで来たら?」


「むっ、それもそうだな。じゃ、ちょっと待っててくれ」


 長い話になることは間違いない。一将は空になった水を注ぎに行った



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