表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の余生  作者: メガネ侍
1/2

前日譚1

「さっさと出ろ。釈放だ」

牢兵はそう言うと乱暴に俺を押して、強引に前へ歩かせる。釈放だと言うのにまだ足枷は付けられたままなのは、正式に最高裁判長から釈放の令が出てからでなければ外してはならないのか、それとも俺がただ恐れられているのか、このどちらかだろう。

牢獄は明かりこそあるがとても薄暗く、その上天井から漏れ出している地下水のせいでずっと湿っぽい。牢の扉もそのせいで錆びついてしまっていて、人を収容するにはあまりにも衛生的に良くない場所であった。だから長いことここにいた俺としては、地上に出る階段を登るたび増していく日の光はかなり辛い。

地上に出ると景色を見る暇さえ当たれられず、早速馬車に詰め込まれて、最高裁判所に連れて行かれる。ここに来た時は道はかなり凸凹していたはずだが、車輪ごしに伝わる衝撃から察するに今はそうではないようだ。

やがて馬車が止まると、牢兵によってまたも強引に裁判所内に連れて行かれた。入り口に入って正面の巨大な扉を開けると、完全武装の騎士が道の両側にずらっと並んでおり、その先には裁判長が死体を見るかのような目でこちらを睨んでいた。

裁判長の前に膝をつき、頭を地面に つくほど下げると、心の底では拒絶したい気持ちでいっぱいだというような声音でこう言い放った。

「ギフト・アルデンテ、本日をもって貴様に課せられていた刑、禁錮200年を解く」

足枷は外され、体の自由がきくようになった。するとまるで付け加えるかのように、こう続けた。

「二度と戻ってくるなよ、化け物」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ