表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

93/93

18.歩み寄り

 やたら恥ずかしがるケイを問いただしたサヤカ。

 追い詰められて出た言葉に、サヤカの反応は?

「だ、だからよ! お前のことを認めるって言ってんだよ! こ、このぐらい分かれってんだ!!」

 赤面させながらケイは私へ言葉をぶつける。

「…………」

 その勢いに圧されて咄嗟に声を出せなかったけど、はっきりと言いたいことは伝わった。

(つまり……)

「沙恵の護衛をしても、良いの……?」

 一応声を落として確認してみる。

「そうだよ! まぁ、まだ鍛えないといけないからすぐにってわけではないけどよ……」

(そっかー……、私……)

「沙恵の護衛になれるんだぁ……」

 嬉しさよりもほっとした感情の方が上回ってた。

「そんな明るい仕事じゃねえけどな。裏方だし、何かあった時は俺らが守らないといけねぇから大変だぞ?」

 そんなことは分かっている。でも――。

「ケイは、私のことを必要だって認めてくれたってことだよね?」

「な、あ、あぁ……」

 少しにこやかに言ったら、何故かケイは少し目を逸らしてしまう。

 そこまでは言ってねぇけどな、と小声で言ったのを聞き逃しはしないけどね。何気に見せた可愛い所がまたおかしくて口元を緩ませていると――。

「入るよー!」

 扉の向こうから聴き馴染みのある元気な声が聞こえてきた。

「いいよー」

「じゃあ入るねー!」

 予想通り、いの一番に部屋へ入ってきたのはマックスだった。その後ろからイチ、湊さん、そして何故か暗い表情の沙恵が続く。

「あっ、元気になったんだ―。よかったー」

「遠くから見ていたよ。突然倒れるから何事かと思ったが、まさか操力切れとはなぁ」

 マックスとイチがそれぞれにしゃべりだし、更に場がほぐれてきた。

「二人にも心配させちゃったみたいだね。絶対に勝たなきゃ! って思って戦ってたけど、最後まで持たなかったよ」

「あんまり無茶はだめだよ~? 大変なことになるのはサヤカなんだからね」

 マックスの眦が下がり、かなり心配していたことが分かる。

「うん、ごめんね」

「女の子が無理に力を使うものじゃないのは確かだ。しかし、戦いは見事だったと思うよ」

 反対にイチは、何でか上から目線で私の戦いを論評している。けど、褒められたことは少し嬉しかった。

「はいよ、ちょっとどいて」

 そこを割って入るかのようにして、湊さんが私に近づく。

「異常がないか見てみるからね。ほら、窓布まどぬのを閉めるし覗かれても困るから、男どもは一旦出ていきな」

 手を振ってケイ達を部屋から出した後、窓布と呼んでいた布をカーテンのように閉めて、私の服を全部脱がせた。

 それから手首を軽く握り、目を見つめ、身体を眺めた。

 身体を眺める目が、ちょっぴりくすぐったい。

「脈も大丈夫、目も正常、傷はあざはあるけど骨は折れてないみたいね。あと、どこかひどく痛んだり、気持ち悪かったりしない?」

「はい、大丈夫です」

 しっかり声に力を乗せて言ったんだけど、湊さんは少しだけ瞼を落とす。

「今のところは大丈夫かもしれないけど、何かあったら絶対に医者の所に行きなよ」

 そう言うと湊さんは私の頭をポンポンと叩き、覗き込むようにして言葉を繋いだ。

「命より大事なものはないんだからね」

「えっ?」

 悲しむかのような湿った言葉に、私は上手く返事が出来なかった。

 その言葉の重さを、私は今でも推し量ることができない。

 でも、その言葉が「おもい」ということだけは理解できた。

「さぁ、暗い顔してないで着替えた着替えた!」

「わっ!」

 急にニカッと笑ったと思ったら、湊さんは私に服を放り投げてくる。

「ま、そこまで気にはしていないから安心しなって」

 高笑いする湊さんに違和感を覚えつつも詮索はしないでおき、私はいそいそと着替えることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ