14.くべる言葉
休憩も終わり決戦をしようとするサヤカとケイ。
だが、サヤカは半刻前と表情が違い、戦いをする気になっていなかった。
それを見たケイはどうするか?
突然小さくなったサヤカに、俺はどう反応していいか分からなくなった。
「そ、そんなことはよ、訓練していればあるんじゃねぇの?」
実際人を殺すことなんて、俺のいた世界では当たり前のように起こっている。
いつ死んでもおかしくないし、いつ殺してもおかしくない。
どんなことが起こっても不思議じゃないんだが……。
「そんな訳ないじゃない……!」
サヤカははっきりと否定した。
「私は今まで、死にそうな場所にはいたけど、人を殺す立場にいたことなんてなかった。それが急にやってきて、恐くなるなんて当たり前……」
声が消え入りそうになり、肩を両手でぎゅっと抱え震える姿を見ていると、思わず自分の過去を思い出す。
俺の世界では殺すことは当たり前だった。
だから幼い頃、人を殺すことにためらいはなかった。
だが、大きくなるにつれて段々と思い始める。
〈何で、人を殺さなきゃいけないんだ?〉
自分のやっていることに疑問を持ち、その世界から手を引いた。
そして答えを探して辿り着いたのがこの場所だ。
だがサヤカははっきりと「人を殺す立場にはいなかった」と言った。
つまり、この世界での考えとはまた違う考え方を持っているということだ。
(そういう考えを持つ奴が存在するとはな……)
思わず感心してしまう。
しかし今はそんなことを考えている場合じゃない。
始めた勝負を終わらせないといけないところだ。
「はっ! そんなことで悩んでんのかよ!」
俺は自分の思っている気持ちを押し殺して、縮こまっているサヤカへ言葉をぶつける。
「本来はあの程度の攻撃、避けることなんて簡単だったんだよ」
精一杯強がって見せないといけない気がした。
「良いか! お前はあれで殺しそうになったとか言ってっけどな! あそこで止められなくてもお前には負けてねえんだよ!」
実際は頭を撃たれて死んでもおかしくはなかった。
「証明してやるよ! 俺はお前に負けないってことをな! そんな気持ちで沙恵を守れるわけがねえし!!」
ぶつけてみて反応を見るが、何も言ってこない。
「やっぱりお前なんかじゃ無理なんだよ。初戦は子供の遊び程度のことだったって訳だ」
表情は分からない。届くかどうかなんて知らない。
「沙恵の見る目はやっぱりなかったってことを、今証明してるんだよお前は!!」
次の瞬間、俺の頭上を弾がかすめていく。
「その言葉……」
いつの間にか銃を引き抜いていたサヤカが、鬼のような形相で睨みつけていた。
「その言葉、取り消してもらって良い!!」
「おう、取り消しても良いぜ! お前が俺に勝てたならなっ!!」
言い残して、俺は旗へと駆け出す。




