13.青に染まる理由
戦いの幕間。
ケイは次の戦いについて了承し、備えるために身体を休める。
一方のサヤカは。
椅子に座り深く息を吸って、自分の体を休める。
(そういえばサヤカはどうしているんだ?)
ふと気になってサヤカの方を見てみると、久寿……マックスと何か話をしている。
少し遠くにいるためか、話は聞こえてこない。
だが見るからに表情は少し暗かった。
(まぁ、勝どき逃すと辛いわなぁ……)
あの瞬間、俺は負けを覚悟した。
同時に死も意識していた。
結果的に命は助かったが、正直負けを覚悟したというのが気に食わない。
(ちっ、何だか情けねぇ)
弱々しい感じがして、俺は頭を振って心に浮かんだその言葉を打ち消す。
(次は必ず勝たないとな)
この勝負の最初にしてしまった躓きはもうしない。
全力で行かせてもらうとするか。
半刻の休憩が終わり、俺たちはさっき戦っていた場所に戻って来た。
(そして、あれが……)
少し遠くへ目を向けると、布がはためいているのが見える。
(あれが勝敗を決める旗か)
休憩の間に、湊さんと沙恵、イチとマックスが旗を作り、設置していたようだ。
(しかし、ここから見えるぐらいには大きいのを作ったのな……)
恐らく持つことは可能だろうが、よくあれだけの大きさの旗を短時間で作ったと思う。
(と、そんなことは良いとして、集中しないとな)
これで勝負が決まる。
正直、もう条件の事はあんまり頭にはなかった。
ただ、こいつに、サヤカに勝ちたい。
それだけを念頭に置いて、戦うだけだ。
だが――。
「なぁ」
その対戦相手はまだ顔が青いままだ。
「お前、大丈夫か?」
休憩の時もそうだったが、何か大事なものを落としてしまったような表情をしている。
「えっ? う、うん、大丈夫だけど……?」
嘘だな。
目も泳いでるし、声も震えてんのがよく分かるし。
「そんなにさっき、俺を倒せなかったのが悔しいのか?」
少し煽った聞き方で反応を見てみる。
「……違う」
今度は視線を落としてしまった。
「私、無我夢中で、あんたには負けたくないと思って、だから勝ったと思って引き金を引いたの……」
「あぁ、それがどうした?」
「そうしたら、あんたの頭に当たりそうだったって、湊さんが言ってて……」
あぁ、あの時訳も分からず俺の頭を撃とうとしてたんだなぁと、ここで初めて気が付いた。
「だから何だ?」
「私、人を……」
口にしたくないのか言葉が途切れる。
「こ、殺しそうになったんだなって……」
そう言うと、サヤカはうずくまってしまった。




