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12.戦いの隙間

 長引く戦いと命を落としかねない状況に待ったがかかった二人の戦い。

 やり方を変えるという湊の提案に従い、中断を余儀なくされたケイの心境は……。

 休戦状態となり、休憩時間となった今。

 少し離れたところで、沙恵と湊というおばさんが話をしている。

 今後について話し合っているようだが、俺としては勝手に話を進めて欲しくないと思ってもいる。

(俺らの戦いに他人が口出ししてどうするんだよ……)

 沙恵はまだしも、あのおばさんは直接的な関係はない。

 だが、あの目で睨まれたら、俺も流石に文句を言えない。

 とりあえず大人しく従ったまでだ。

(それにしても……)

 先程の戦いを振り返る。

 最初の方は俺の戦い方が雑すぎたからそこは除くとして、その後の普段通りの戦い方をしていた時でさえ、サヤカはついてきて、そして時に俺を超えようとしていた。

 明らかに3カ月前に感じた弱っちい感じは一切ない。

 寧ろ護衛をできるぐらいには強くなっている。

(たまたま火属(かぞく)の俺との相性がいい水属水種だから、俺が押されている……。

 まだ油断があるから互角に戦えているだけだ……。

 そもそも、別人だったりしているんじゃねぇかな……?)

 認めたくない言い訳ばかりが頭を巡るが、心の奥底では分かってはいる。

 強さは本物だってことが――。

「ねぇ、ケイくんだっけ?」

 考え事をしていたら上から声がする。見上げると例のおばさんが俺の目の前に腕組みして立っていた。

「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、良いかな?」

「……なんですか?」

 俺は少し突き放すような態度で、話を聞くことにした。

「うん、ここから先の勝負なんだけどね」

「まさか、もうやめて欲しい、とか言わないですよね?」

 少し挑発するように言ってみる。

「あぁ、そんなことは言わないから安心しなさいな。流石にあなた達で決めたことなんだから、そこは尊重させてもらうよ」

 どうやら一定の理解をしてくれているようで、こっちとしては一安心だ。

「ただ、決着のつけ方は変えようかなと思って。流石にこのままだと長引くばかりだし、さっきも言った通り殺し合いにまで発展してほしくないから、別の案を提案したいのよ」

「あぁ、そういうことですか」

 俺としては長く続いても殺し合いに発展しても構わないんだが、それは沙恵が許してくれないだろうし、何よりこのおばさんが確実に止めに入ると分かる。

「ただ、どうするんですか? 中々実力を見せながら決着をつけるって難しい方法だと思うんですけど」

 単純な決着勝負だけでは運の要素が大きく入ってしまう。

 それは実力を見極めたとは言えないから、上手く取り入れた勝負を望むが。

「そこでね、提案したいのがあって。棒取りはどうかな?」

「棒取り?」

 聞き慣れない言葉だが、何となく想像はつく。

「簡単に説明すると、旗を付けた棒を遠くに設置するから、それを先に取った方が勝ちって話ね」

「まさか、ただ取りに行くだけじゃないですよね?」

「当然邪魔しても大丈夫だから。いかなる方法を用いても良いから先に取ること。どう?」

 なるほど、確かに手っ取り早く、そして実力をある程度見ることができる勝負になりそうだ。

「分かりました。俺は問題ないです」

「了解。とりあえず、まだ少し休んでていいわよ。流石にさっきの戦いでだいぶ疲れているだろうしね」

 俺の疲れは見抜かれているらしく、流石に有り難く休ませてもらうことにした。

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