9.譲れない
ケイの軽率な考えを全否定し、勝負への炎を焚きつけたサヤカ。
ケイは気持ちを入れ替え、こうして、本当の戦いの火ぶたが切られることとなった。
戦闘を行い早半刻(一時間)。
(本当に三カ月で仕上げた戦い方かよ……)
サヤカの戦い方にはまだ少し荒さが目立つが、人の進路方向に水を撃ちこんだかと思ったら、俺の避けた先に銃弾をしっかり当てようとしてきた。
(得意の接近戦も上手くさばきやがるし……)
更に近接戦闘へと持って行くが、その度に銃を用いて距離を取らされたり、近くまで来たら手甲ではじいたりと意外と隙を見せてはくれない。更に――。
(これだけ二人で仕掛け合っているのに、あいつから疲れた様子はあまり見られねぇのがきつい!)
激しくぶつかっているはずだが、元々短期決戦を望む俺としてはずっと戦わされていることが好きじゃない。
それなりに体力をつけているとはいえ、長丁場に持ち込まれているこの状況を何とかしたいところ。
[炎にその身を包まれ焦がせ”炎檻”!]
俺は炎の小玉をサヤカの周りに球状で張り、それを一気にサヤカに向かって放つ。
普通なら逃げ場はないが、これで恐らく……。
[我が身体を包め”水纏”!]
詠唱したかと思うと、全身に水を纏って炎の檻から出てきた。
だがしかし――!
(予想通りだ!)
これを好機と思い、顔を腕で覆って出てきたサヤカに迫る。
一つ攻撃を加えられれば、一気に畳みかけられるかもしれないからだ。
縮めた距離でまずは一つ短刀を投げつける。
「くっ!」
腕の隙間からしっかり俺の動きを見ていたであろうサヤカは、水の鎧を解き、身を引いて躱した。
(これも想定通り!)
すかさず二本目を投げ、サヤカの行動を鈍らせる。
案の定、これもしっかり体勢を起こして右手に持っていた短銃で弾き飛ばす。
(かかった!)
だが、これが全てじゃねぇ。
その短刀に隠れるが如く、更に小さい小刀を放ったからな。
(反応が遅いと、顔に傷つくがどうする?)
腕は弾いた時に振り切っているから、避けるしかない!
そうなれば、体勢が今より悪くなり、俺が短刀を更に放って終わらせられ……。
「やぁー!!」
と思ったが、サヤカは身体を思いっ切り捻って小刀を地面に叩き付けた。
しかも……。
「なっ!?」
同時に銃弾も飛ばしながら。
全然まだまだ戦います。
寧ろここから二人の見せ場なので、よろしくお願いします。




