3.寒気
サヤカの変わりように戸惑うケイ。
3カ月が経ち、各々の接し方も少しちぐはぐなようで……。
「久しぶり、ケイ」
馴れ馴れしく何とも乾いた挨拶をされたが、こいつの目の奥底は俺を冷ややかに見つめている。
まるで氷の中に入ったようだ。
「あ、あぁ、久しいな……」
半笑いになりながら受け応える。
我ながら何とも情けない。
「声が震えているけどどうしたの?」
「ちょっと朝方寒かったからな。まだ身体が温まってないんだろうよ」
震えを指摘され、少ししり込みした。
身体は確かに温まってないが寒くはない。
だが、得も言われぬ悪寒が止まらない。
「ふーん、じゃあさっさとウォームアップしようか。私もまだ準備できてないし」
「うぉ、うぉーむあっぷ?」
意味の分からない単語が出てきた。沙恵は異世界から連れてきたと言っていたから、分からない言葉を発することがあるのだろう。
ということは、あの時無謀な挑戦をしてきた女で間違いない。
「戦う前とかに身体をあっためるって意味だよ。やらないの?」
まるで挑発的な口調に少し怒りが沸き起こるが、無駄な力の消費はしたくないから素直に返す。
「やるよ。万全に整えて、お前を叩きのめさなきゃいけないからな」
ただし、棘のある言い方をして返すがな。
「いやまぁ、私としても本気できてもらわないと、誰も認めてくれないしね」
だが、俺の言葉をさらりと受け流してくる。
(こいつ……)
自分の置かれている状況が理解できていないのか、反抗的な態度だ。
(今に見てろよ……!)
気持ちで少し後れを取ったがどうってことはない。
身体を少しずつ動かし始めたサヤカを横目に、俺も体を動かすこととした。




