2.違和感
この3カ月、抜かりなく準備をしていたケイ。
さて、いよいよ久しぶりの対面となるが、ケイは何か異変に気付く。
(はっ、良く逃げずにここまで来たもんだな)
恐くて逃げることも考えていたが、その度胸もないと見た。
土下座して泣いて謝れば、戦わずに済むから楽なんだが。
(ちょいと調理してやるか。結果は目に見えてんだからよ)
自分から迎えに行くことはしない。
どうせ仲間になれやしない。
だから俺は、この場所で待つことにする。
(どうせまだ甘っちょろい表情でも浮かべているだろうし……)
そう思い、俺はやってきた奴の顔を見て、そして、言葉を無くした。
(……同じ、だよな?)
3カ月前は幼く、線も細く、覚悟もなさそうな顔で、俺に正気とは思えない喧嘩を売ってきていたが、今日は随分と違う。
細身だった身体つきは明らかに筋肉がしっかりついている。
纏う雰囲気も臨戦態勢で、いつ戦いが起こっても対処できるようなたたずまい。
何より表情は覚悟を決めた顔だった。
(いやいや、まさかそんな3カ月で変わるわけないしな……)
そう自分に言い聞かせるようにして、俺は奴が来るのを待つ。と――。
「サヤカ!」
隣で待っていたマックスが、嬉々として向かって行った。
「あっ、マックス! この間は手合わせありがとうね」
(はっ?)
「うううん、こっちも身体がしっかり動かせたから、良かったよ!」
(はぁっ!?)
会話の内容を聞いていると明らかに驚くべき内容だった。
「おい待て」
思わず声をかけてしまう。
「何?」
反応したのはマックスの方だ。
「さ、さっきからお前ら何でそんな仲良さそうに会話してんだ?」
何とか平静を保とうとしたが、少しだけ声が上ずってしまった。
「あっ、ケイには言ってないんだっけ?」
とぼけているのか分からないが、思い出したかのようにマックスは語り出す。
「僕は2カ月前から、たまにサヤカと訓練していたんだよ。二人が戦う間は僕だけ暇じゃん? だから、暇な時だけサヤカの所に行って、一緒に戦ったんだよね」
「じゃあ、マックスって名前はもしかして……?」
「うん! サヤカがつけてくれたんだ!!」
合点がいった。
こいつは俺に内緒でこの女と会っていて、あまつさえ模擬戦もやっていたということだ。
そういえばこの2カ月、度々マックスがどこかへふらっと出かけて、数刻が経った後ふらっと帰ってくることがあった。
「お前、どっちにもつかないんじゃないのか……?」
強さにおいてはマックスの力を認めている。
ただ、どちらにも肩入れしないと思っていたため、裏切られたような気分だった。
「えっ? 別に味方しているわけじゃないよ?」
「サヤカの所に行っているってことは、あの女を強くするってことじゃねぇかよ!」
少しだけすごんで問い詰めたが、マックスはそんなこと言われてもと困惑している。
「僕は暇だったから暇つぶしになればいいなと思って、サヤカの所に行っただけだよ? 勿論、戦う時は遊びじゃなくて真剣にやっていたけど、別にそれだって自分のためだし」
その目からは嘘をついている気配は感じない。紛れもない本心だ。
(いや、だからと言って、この3カ月でここまで変わるか……?)
流石に歴戦を渡り歩いた俺の目は、間違いなく奴の実力不足を見抜いていたはず。見間違えるはずはない。
少し考え事に頭を巡らせていると、いつの間にか目の前にあの女が――サヤカがいた。
割と溜めるかもです。
バトルはもう少々お待ちくださいね。




