1.待ち受ける男
対戦の約束をして3カ月。
いよいよ、当日が訪れた。
世間知らずな女から宣戦布告を受けて3ヶ月。
俺・西平境は事前に指定された広場に立ち、女が来るのを仁王立ちで待っていた。
(3ヶ月。それで何も変わらない気がするが)
戦いも知らないような、乳離れすらできていないような女に、俺が負けることはない。だが――。
(手加減する気はさらさらねぇ。圧倒的な力の差ってやつを見せつけてやらねぇとな)
ちょっとした油断が、戦いの行方を大きく左右することは幾度となく経験している。
それこそ、俺のいた世界は油断した瞬間に死ぬだけだからな。
だから、この3ヶ月も訓練に手を抜くことはせず、自分の力に磨きをかけた。
(全く、沙恵の奴は何を考えているのか?)
この現況を作った皇女は、呑気に女を出迎えに行っているようで、今はこの場にいない。
そんなわけで、この場にいるのは俺と康一と……。
「えっと、マックス?」
「うん、何?」
2カ月前、どこかから帰ってきたと思ったら、急に『今日から僕のこと、マックスって呼んでね!』と言い出した。
それから元の名前で呼ぼうとするたびに訂正を要求され、今ではマックスと呼ぶことに抵抗はないが……。
「前から気になっていたけど、急に何でそんな呼び方が生まれたんだ?」
「気になってどうするの?」
「いや、そんな呼び方、この国で聞いたことないからさ」
遠い所から発生したような呼び方にずっと疑問を持ちながら呼んでいたが、この機会に聞いてみることにした。
「うーん、内緒」
「はっ?」
「別に、もうすぐ分かるから良いかなって」
何故はぐらかされるのか分からないが、分かるのならそれでいいと思い、深く突っ込むことはしなかった。
そんな無駄話を進めていると。
「みんなー! サヤカが来たよー!!」
お待ちかねの女、サヤカがやってきた。
ということでここからしばらくはケイ目線になります。




