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12.決定打

 一瞬にして砕かれた自信。

 サヤカは失意から、起き上がれずにいた。

 マックスが去って、どのくらい経ったか分からなくなった頃。

「湊さん……」

 気持ちの整理はつかないけれど、あまりにも無言でいすぎたため、私の方が何となく声をかけてしまう。

「どうして何も言わないんですか?」

 無礼だとは思ったけど、ずっと同じ姿勢で身じろぐこともなく、ただ私を見つめている湊さんが不思議過ぎた。

「そんなところが気になっていたのかい」

 意外な質問だったのか戸惑っていたけど、その答えはあっさり出てきた。

「私がことを急ぎ過ぎたせいで、彩夏ちゃんには無理をさせてしまったからね。何も言う資格はないし、仮に言えたとしてもどんな言葉も今のあなたには届かないしね。それに――」

「それに?」

「彩夏ちゃん自身が今後どうするか、見極めないといけないから」

「!」

 湊さんは試していたんだ。

(やめるか、進むか)

 私は今、自分の力と対戦する相手との差をはっきりと分からせられた。

(今のままじゃ敵わない……)

 戦わなければ分からない圧倒的な格差。

 ある意味それを知れてよかったかもしれない。

「湊さん」

「うん?」

「後、2カ月しかないんですよね?」

「そうだね。そのぐらいしかないね」

 湊さんの表情からは諦めたかのような顔が見受けられた。

「あっ、言葉を間違えました」

「?」

 私は張りつけられていたような身体を地面から引っぺがして起こし、一つ大きく深呼吸をした。

「2カ月”も”あるんですよね?」

 眉間にしわが寄っているけど、口元には笑みが零れているのが分かる。

 湊さんも目を見張って驚いているけど、私の意図はしっかりと汲み取ってくれたみたい。

「時間がない。叩き込めるだけ叩き込むけど、着いてくるかい?」

 ニヤリと厳しい目つきで私を見下ろしてくる。けど――。

「寧ろ、のぞむところです!」

 初めて、悔しさを味わった。

 初めて、自分の弱さを呪った。

 初めて、努力しようと決意できた。

「そんじゃ、訓練を再開しようか! 厳しくなるけど音を上げるんじゃないよ!!」

「はい!!」

(絶対強くなって、見返してやるんだから!)

 意志は固まった。

 迷う必要なんてない。

(沙恵、絶対にあなたが正しかったと、この私が証明して見せるから!!)

 弱音は全部押し込めちゃえ!


 こうして残りの2カ月、私の地獄の特訓が始まった。

 この章は短いですがこれで終わりです!

 次回から新章&視点が変わります。

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