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7.約束の確認

 ケイとの対決が3カ月後に決まったサヤカ。

 短い期間にどれほどの成果を出せるのか?

 強烈な啖呵を切って5日が過ぎた。

(うーん……)

 私は首が折れそうなほどに悩んでいた。

(一応、トレーニングっぽい事はしてるけど……)

 約束の日に向けて走り込みや筋トレをしているものの、何だかあんまり続けられる気がしないと思い出したころである。

(これで本当に、あいつに勝てるのかなぁ……?)

 そう思うのも無理はない。

 戦いにおいてトーシロ以前に、私自身はあんまり運動が得意じゃないからね。

 それに身体を動かしてこなかったから、5日目にして既に身体が悲鳴を上げてきている。

(このままだと、自分に負けそうだなぁ……)

 ということで、絶賛壁にぶち当たっております。

 だからといって打開策がある訳でもなく、どうしようか迷っているところ。

(まぁしょうがない。とりあえず、今日はお城へ行く日だからそこで沙恵と話し合おう)

 今日は週に1回の城へ行く日。

 沙恵に自分が生きていることと、私はあなたのことを大事に思っていますよ、と誠意を見せるために私が決めたの。

 軋む身体を叩き起こし、もらった指輪をはめ、異世界へと行くことにした。


 飛ぶ先は相変わらず鎌足夫妻の寝室。

 今日もトラブルなく転移できたことを安堵して、私は寝室の扉を開き、鎌足夫妻に挨拶へと赴く、と――。

「おっ? 来たね」

 お店へと続く廊下で、湊さんと出会えた。

「あっ、おはようございます」

 私は小走りで近寄り、頭を下げて挨拶をする。

「うん、おはよう。……って、どうしたんだい?」

「えっ?」

 頭を上げたところで唐突に体調を聞かれ、すっとんきょな声を出してしまう。

「別に体調は悪くないですけど……」

「体調じゃないよ」

 湊さんの否定に首をかしげる。

「いや、何か悩んでいるんじゃない?」

「!」

 見抜かれてしまったことに図星を突かれ、私は言葉が出せなくなった。

「まぁ察しはつくけど、特訓の成果はどうだい?」

「うっ……。そ、それは……、そのぉ……」

 視線が床を泳いで落ち着かない。

「話を聞いた時は正直『何て無謀なことを……』と思っていたけど、これはまた深刻そうだね。勢いで突っ込むところは、沙恵に似ちゃったのかしら?」

 散々沙恵の無鉄砲さを叱っておいて、これでは本末転倒だ。

 耳が痛くて仕方がない……。

 はぁ、と一つ息を吐いて、湊さんがまた尋ねる。

「で、成果は出てないと?」

「そ、そうですね。はい……」

 降参して湊さんの言葉を肯定し、しゅんっと項垂れてしまう。

「やっぱりね。分かってはいたけど、早くもどん詰まってるみたいだねぇ」

 そう言われてぐうの音も出ない。

 実際、先の見えない自分のトレーニングに嫌気はさしていて、灯りのない道を手探りで進むことに二の足を踏んでいたのは間違いなかったからね。

「まぁ、一人でやっていたって何もできないでしょう。彩夏ちゃんは抱え込みそうだから」

 短期間で私の性格は見抜かれていたようだ。なすすべがない。

「うぅっ……」

「まったく。じゃあ、そうなったらどうする?」

 急に湊さんが質問をしてきた。

「?」

「だから、困ったことがあったら、何をするの?」

 少々語気を強めて、湊さんが更に問うてくる。

「えぇっと……。あっ」

 思い当たることは見つかった。

「で、でも、それじゃあ、湊さんが大変なんじゃ……?」

 だけど私は負い目を感じて、拒む言葉を吐いてしまう。

「言ったはずだよ? 私の条件が飲めなかったら、あなたが護衛をすることに反対するって。彩夏ちゃんは沙恵を護ることができなくていいの?」

「それは嫌です!」

 思ったより強く反論する自分に驚きつつも、これが本心だと自覚しているため撤回はしない。

「そうだよね。じゃあ、言葉に甘えて、私に指南されなさいな。戦いに関して素人なんだし、物操力での戦い方だって分からないんだから、私が鍛えてあげるよ」

「ほ、本当ですか!?」

「店番もとりあえず父ちゃんに任せられるし、必要とあれば彩夏ちゃんにもちょこっと手伝ってもらうけどね」

「分かりました! 手伝いも頑張ります!!」

「あはははは! 手伝いよりも君の対戦相手に勝つことを念頭に頑張ろうね!」

「はい!!」

 さっきまでの恐い雰囲気は何処へやら。いつの間にか湊さんの太陽のような笑顔に、私も釣られてほおが緩む。

 そういうことで、私は戦い方の師匠を湊さんへ頼むことにした。

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