5.歯に衣着せぬ物言い
2人は快くサヤカの入隊を受け入れるが、たった1人が難色どころか否定をする。
その理由は……。
「えっ……?」
暖かく迎え入れてくれた二人と違い、私の受け入れを冷たい眼差しで拒否する少年。
「ちょっとケイ、何でそんなことを言うの!?」
沙恵からケイと呼ばれたブロンド髪の少年は、深々とため息をつき、突っぱねた理由を述べ始めた。
「単純な話だよ。こいつ、戦いにおいてはど素人だろ?」
「そ、そうだけど……」
言われて沙恵はたじろぐ。
「だったら戦力外でしかねぇし、数えられねぇ。一緒にやってても足しか引っ張らないし、絶対どこかで死ぬっつうの」
「今はそうかもしれないよ。でも、きちんと訓練をすれば、必ず戦力になると思うよ!」
「それって、いつまで待てばいいんだ?」
「そ、それは……」
沙恵の説得はあっさりと論破されてしまった。
「良いか沙恵。俺たちは遊びでお前の護衛をするわけじゃない。れっきとした戦力としてお前を脅威から護らなきゃいけねぇんだ。ここにいる3人は、それも買われてここにいる。そうだろ?」
そうだよ、と力強くケイの言葉に頷く沙恵。
「なのに、こんな戦いの素人を俺たちの所に寄越すなんて、お前も本当に変わっているな。冷静に考えろ。即戦力になるどころか、下手したら荷物持ちにもならない奴が俺たちの仲間になって、全員殺されるなんてことも大きくあり得るんだぞ」
「ちょ、ちょっとケイ。そこまでは言わなくていいんじゃないかな?」
槇原が擁護の姿勢を見せる。根が良い奴なんだなと思ったがケイはそんなことお構いなしで……。
「久寿。俺たちの命がかかわっているんだぞ? こいつのせいで死んだら、元も子もないんだ。当たり前だろ?」
「それはそうだけどさ……。でも、そこまで言うこと、ないんじゃないかな?」
「現実を教えておいた方が良い時もあるんだよ」
うぅっ、と言葉を詰まらせ、槇原も説得に失敗。
何も言わない康一は動向を見ているようで、何もアクションを起こしてくれない。
(やっぱり、私は必要ないのかなぁ……)
ここまで言われてしまう私は、どんどん肩身が狭くなってきて、顔がどんどん項垂れていく。
折角ここまで頑張ってきたのに、何も変わらないのかなと思ってしまった。
「大体、こいつには無理だ」
気を良くしたのか、ケイは私に畳みかける様な罵声を浴びせだす。
「気も弱そうだし、身体も全然鍛えてないのが分かる。それなのに入れようなんて無茶な話だ」
ぐうの音も出ないとはこのことだ。
徐々に私の精神からやる気が削がれていくのが分かる。
(あぁ、私はどこに居ても、邪魔ものなのか……)
目元が潤み始め、今にもここで泣き出しそうだった。だけど、ここで泣いたらダメだと思って、何とか気力で耐える。
「たく、沙恵さんよ。お前も良くこんな奴を連れてきたな。見損なったぞ」
突然、攻撃の矛先が沙恵に向いた。
(はっ?)
私は思わず顔を上げる。
「最初に2人を見た時は見る目を買ったのに、今回はこんなひ弱そうなやつを見つけてくるなんてな」
その言葉を聞いている沙恵は、反論しようとせず口を噤みっぱなしだ。
「結局お前も遊びでやってたんだなと思ってしまったわ。人数が揃ったから、たるんでたんじゃねえのか?」
(何で……?)
沙恵のことをここまで貶されるなんて思ってもみなかった。
何故か、自分のこと以上に悔しさを感じ、全身に力が入り始める。
「そ、そんなことはないんだけど……」
「いや、そんなことあるね。自覚がないとはなぁ……」
その言葉が私の怒りの着火剤に火を点けた。
「何で……!」
私は無意識に声を出し――。
「何で、沙恵に対して、そこまで言わなきゃいけないのよ……!!」
ケイの言葉を強く否定した。
サヤカの怒りに触れるポイントですが「自分の大事にしている人が貶められた時」となっております。




