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1.今日も元気に異世界へ

 異世界へと転移し、異世界の住人と同じ力を持つこととなったサヤカ。

 これからどうなるか分からないものの、約束の日がやってきた。


 この章はそこからスタートします。

 不思議な力――(ぶっ)操力(そうりょく)を手にし、晴れて魔人(まびと)となってから3日。

(とりあえず、手ぶらで良いって言ってたけど……)

 私は再び異世界の街、神都(しんと)へと来ていた。

 因みに今日は火曜日。学校は普通にやってるけど、適当に風邪をひいたと言って休んだ。

 学校よりこっちの方が気になるしね。

 みんなはあんまりやっちゃだめだよ……?

 まぁ、そんなことは置いておいて。

(一体何をするんだろう?)

 気になる、というのも、私は沙恵から来てとしか言われてないのよね……。

 不安はないけど懸念の強い今日の異世界転移である。

(来たのは良いけど、とりあえずどうしようかなぁ……?)

 今私がいるところは、八百屋かまたり、要するに鎌足夫妻の家の寝室。

 昼間は使わないし、誰にも見られないからここからしばらく出入りしても良いよ、という言葉に甘えて使わせてもらっている。

(この前来たときは暗かったから良く分からなかったけど)

 6畳ほどの大きさの部屋が眼前に広がっていて、壁は私が寝かせられていた居間と同じ白色だった。

 私が出てきたのは畳まれた布団の真横。頭上には丸い窓があって、そこから明かりが漏れている。

 そして軽く見渡すと、対面の壁の一番左に障子戸があった。

 極めつけは……。

(棚の本が凄い……)

 向かいには2mほどの高さがある棚があって、紐で綴じられた本で埋め尽くされていた。

(読書家なのかな?)

 背表紙は無いから何が書いてあるかは分からないけど、これだけの本を持っているということは、相当に読んできているということだろう。

 二人が物語好きで、ファンタジー好きなのも頷ける。

「おや? 来ていたのね」

 そんなことをのほほんと考えていたら、湊さんが戸を開けてやってきた。

「こんにちは、湊さん」

「はいよ、こんにちは」

 相変わらずお日様のような笑顔で応えてくれる。

「そういえば、この前はあんなに遅くなったけど、親御さんたちは心配してなかった?」

「えっ……。まぁ、大丈夫でした……」

 物凄い嘘です、はい。

 あの後家に帰ったら捜索願を出すか出さないかの瀬戸際まで来ていて、かなり心配されていたんだよね……。

 しかも、服装も全然違ったから、余計に問い詰められちゃって……。

 一応、道に迷ってちょっと山の方に行ってたら、こけたりあちこちを擦ったりして服がボロボロになって、何とか山を出たら見知らぬ和服の女性に助けられて、服とかを着替えさせていただいたんだけど、元々の服はもう着れなかったから、その人に捨ててもらった。

 というシナリオを何とか編んで、無理矢理家族を納得させて事なきを得た感じ。

 相当に疑われたけど、生きていてよかったと言われて、とりあえずは安心してもらった。

 家族からこんなに心配されたのは、生まれて初めてじゃなかったかな……?

 神都からの帰りはそんな感じだった。

「ま、無事に来れたから大丈夫か」

 ちょっとした私のためらいを感じたみたいだけど、見逃してくれた湊さんは優しい。

 そんな優しさが続くので、私の人生ここが絶頂期なのでは? と思わされたほどだった。

 サヤカのこの言い訳で、信じる人っているんですかね? 良い家族だと思ったりします。

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