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5.待ち人如何に

 こちらの更新完了です……。

 それから二時間後。


 私たちはまず警察に聞き込みをし、居場所を聞いた。かなり疑われはしたけど、なんとかあの手この手で濁し切り、四人の居場所を聞くことに成功。

 幸いにも四人ともこの街にはいるようなので一安心。

 そして見張らなければならない四人は、私たちの家からはそう離れていないが、それでもばらけた位置に住んでいたため、別々に行動して見張ることとなった。

 街には緑が比較的多い。この国の人々は緑を大切にする習慣が身についているためか、街のいたるところに木が植わっていて、その下で昼間は住民たちが憩いの場を作っている。

 しかし夜になるとおのずと暗くなり、木陰は尾行をする者や闇の世界で暗躍する者たちの絶好の隠れ場所となってしまう。

(月がきれいなのはいいけど、犯人たちから見つからないよね……)

 私みたいに。

 今現在、私はターゲットの家の道向かいにある木の裏に隠れていた。この状況が警察にばれればお縄にかかるのは必至だが、全力で逃げればいいことだろう。

 ……たぶん。

 それは良いにしても、今日はあまりいい環境じゃない。

 まごうことなき満月が神々しく街を照らしている……。

 よく照らしてくれて戦いやすくはあるけど、逆に言えば、犯人たちにばれやすいのだ。警察以上にまずい。

 そんなわけで、私は身を木の後ろにほとんど隠したまま、片目だけで家の入口を観察していた。今のところは動きがないから、朝の一件で警戒されているのやらなんやら。

 さて、時刻は十一刻半。日本でいえば二十一時くらいになる。事件は今日朝方に起きたもの以外、すべてこの時間以降に発生している。日付をまたぐ可能性はあるが、長丁場はやむを得ないだろう。

(でも、今日は本当に来るのかな?)

 不意にそんな疑問が頭をよぎる。

(いじめ関連の事件かもしれないけど、あんだけの人数がいたら違う人に行きそうな気がするし……)

 考えても仕方ないのは分かっているけど、懸念材料を払拭できない。

 そしてそれ以上に私は、復讐している人たちの素性が気になる。

 誰が自殺した人の代わりに、こんなことをしているのか?

 何故複数人で行っているのか?

 何故一家もろともなのか?

 考えてもキリはないけど、復讐というからには相当の恨みがあるに違いない。何としても怨恨の連鎖は止めないといけないけど……。

(そういえば、他の奴らはどうしているかな?)

 張り込みから一時間ほど経とうとしていたため、私は経過を聞くことに。自分の頭につけているインカムのダイヤルを"全員"に合わせて押す。

 このインカムは特注で作ったものであり、見た目は小さなヘッドフォンだが左耳にはダイヤルが付いており、ダイヤルを回すときの音の違いによって誰が誰の発信先かが判明できる仕組みとなっている。右耳から口元にかけてはマイクロフォンを搭載し、会話も可能な代物だ。便利なもんでしょ。

 機械の話はこのくらいにしといて、私は全員に連絡を取ることにした。

「こちらサヤカ、全員応答できる? 現在の状況の報告を求む。因みにこちらは異常なし」

 こう話して連絡を待つと、順序良く帰ってきた。

『こちらイチ、今のところ異常なし』

『ケイだ。こっちも何もないよ』

『マックス、いじょ~~な~~~~し』

 最後の奴のテンションはある意味異常だけど、まぁ大丈夫なんだろうね……。

 各所反応がないため通信を切っておく。このインカムは電池式。いざという時に役立ってくれないのは困るからね。

 じっとターゲットの家を見ているが、周囲に怪しい人影もなく変化もないため、ちょっとした考えに耽る。


 何故人は、人を殺さなければならないのか?


 今回の犯人たちもそうだが、殺したいほど恨んでいるのだとしても、それでも殺してしまえば今度は自分に報いが来るのは間違いない。

 それがどんな形で返って来るかは分からない。けど、ほぼ確実に言えることは良い未来が来ることはない。それは今までで経験している。


 人を呪わば穴二つ。

 近いのはこの言葉だろうか?


 現に今回の被害者、二十年前は加害者だが大きな報いが来てしまっている。それについてはまぁ、仕方なく今は割り切るしかない。

 しかし、このままだと犯人たちにはいずれ警察の手が及び、重ねてきた罪の重さによって刑が執行されるか、別の連中に殺されてしまう未来が待っている。しかも、ここでは後者の方が確率は圧倒的に高い。被害者も増やしたくないから、何とかしてここらで止めたいところなんだけど……。

(今日はもう来ないんじゃないの!?)

 そんな考えがよぎってしまう。なにせ今日はすでに一回行動を起こしているのだ。明日動く方が危険性は少ない。犯人たちも名門校の出身だろう。絶対に馬鹿じゃない。

(時間を区切るかな……)

 私はもう一度、全員へ向けてのダイヤルを押すことにした。

――ピー、ピー

 と、マックスから全員あての着信が来る。ついに帰ろうとか言い出したかなぁ、と思いダイヤルを押す。


『ねぇねぇ、怪しい人が5人、僕の見張っている家の近くにいるんだけど、どうしたらいい?』

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― 新着の感想 ―
[良い点] まだ途中までしか読んでませんがかなり引き込まれました。 大好きなジャンルなので先が楽しみです!!
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