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5.沙恵の覚悟と理由

 沙恵の重たいお願い。

 それは、沙恵の盾になるということだった。

 それを聞いてサヤカはどう思うか。

「えっ?」

 思考がフリーズし、時も止まったように感じた。

 たったの12文字の言葉に、私の理解が追い付かない。

「沙恵、まさかとは思うけど……」

 湊さんは早くも合点がいったようで、険しい顔で沙恵を見つめる。

「うん、湊おばさんの考えていることは合ってるよ」

 沙恵ははぐらかすこともなく肯定した。

「サヤカにお願いしたいのは、私の護衛。それも、私専属の護衛として、私のことを守って欲しいの」

 その目におふざけの色は感じられない。

「守るって言ったって、私何もできないよ」

 まだ完全な理解に至っていないけど、何とか言葉を発する。

「それは大丈夫。本格的な護衛任務はまだないからね。今は私の話し相手になってくれるだけでいいの。戦うことはないから、安心して……」

「沙恵!」

 突然、湊さんが置いていた湯飲みを飛び越え、鬼の形相で沙恵の胸倉を掴んだ。

「あんた、彩夏ちゃんをそんな危険な仕事に巻き込む気かい!!」

 ぐっと沙恵の喉が鳴る。

「確かにあと一人揃えば認めてもらえるんだって前に聞いた時言っていたけど、まさか異世界の何も知らない少女を連れてきて、それで人数合わせを行ったって言うの!? いくら何でも、それは無茶無謀というものでしょう!!!」

 今までと違った形相に、私は恐怖で固まってしまった。

 怒鳴りつける気持ちも分かる。

 明らかに行き過ぎた行為なのは間違いない。

 更に言えば、その目的は自身の護衛で、裏を返せば”自分の盾になれ”ということだ。

 身勝手にもほどがあるとは思う。

「そうだね。おばさんの言う通り、私はサヤカにとんでもないことを依頼しているよ」

 的を射た非難は沙恵も承知の上だったのか、湊さんの言葉を否定しない。

「だけど、私はまだ提案してるだけ。それを決めるのは他ならないサヤカの問題だよ」

 全てを背負う覚悟を持った目で、沙恵は湊さんを見る。

「だからまずは、説明させてほしいの。それでサヤカの答えを聞く」

 沙恵の身体は小刻みに震えている。それでも一歩も引かないのは、それだけ決意をして呼んだということだ。

「嫌だったら、私はすんなり身を引く自信はあるよ。だってこれは、強制することじゃないもん。だから、どっちを選んでもらっても構わない」

「……」

 射殺す目線を送り続けながらも、沙恵の話が終わるまで湊さんは終始無言で聞いていた。

「……はぁ、分かったわ」

 沙恵の意志に根負けして、湊さんは脱力感を滲ませながら手を放す。

「その代わり、しっかりとした説明をすること。足りなかったら補足するからね」

「うん大丈夫」

 元の位置に湊さんが戻ったのを確認して、沙恵は大きな息を吐き私を見つめた。

「まず、私の自己紹介を改めてするね。神隼沙恵、歳は14歳、この国を治める王の娘で、神族の力を持っていて……」

「えっ?」

 唐突に始まった情報量の多い自己紹介に、戸惑いを隠せない。

「ごめん、王様の娘ってことは分かったけど、神族って?」

「神族は神族だよ」

「だから、その神族って言うのが分からないんだけど……」

「はぁ、いきなり躓いているじゃない……。仕方ないわね」

 理解できない私に配慮して、湊さんが早速フォローをしてくれた。

 神族とは国の住人の祖にして、国の長とその家族の持つ力を指している。

 神族の力は様々あるけど、今回沙恵が使った力は「異世界探査能力」。

 自分意識を違う世界へと飛ばし、目的の物を探す能力だ。

 あくまでも異世界にしか飛んでいけないようで、沙恵の住んでいるこの国の中では探せないとのこと。

 それに、条件付けも大まかにしかできないから、基本的には異世界で沙恵の国の力と同じ力を持っている人を探しただけだったらしい。

「で、私だったの?」

「というよりも、サヤカ以外は引っかからなかった感じかな? 他にもいたんだろうけど、同じぐらいの歳っぽそうだったから」

「そんな簡単に決めて良いのかなぁ……?」

 色々と疑問点は残るけど、とりあえず私だった理由は分かった。

「でも、護衛ってことは、いつかは戦わなきゃいけないんだよね?」

「そうだね。だけど、それまでには鍛えるから、大丈夫だと思う」

「それっていつ?」

「そこはサヤカ次第」

 え~……、とは思いつつ否定せずに聞く。

「でね、何で護衛を募集してるのかっていうと、私の希望で……」

 かいつまんで話すと、沙恵が駄々こねて自分だけの護衛を探したいと国王であるお父さんに言ったらしい。

 それで、出された条件が5カ月以内に最低4人を集めることだった。

 湊さんが言っていたけど、既に3人は見つかっていて、残り1人を探していたところ、私に白羽の矢が立ったという訳。

 傍から聞けば迷惑な話だよね。

 だからと言って話している間に横やりを出すのもどうかと思ったから、一通りの話を聞いたんだけど……。

「ねぇ沙恵、結構軽くないかなぁ?」

「そ、そんなことないよ! これでも、ちゃんと考えているからね!!」

 うーん、言葉に詰まったってことは、絶対にノリで行動したよねこの皇女……。

 更新が一ヶ月も伸びてしまい、本っ当に申し訳ありません!

 マイペースな更新ですが、なるべく定期で更新できるよう頑張ります!!

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