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4.訪い問い答い

 2週間ぶりの更新です……。

 沙恵の悲鳴がこだました後、3人は集まって話し合います。


 2020/06/05更新+サブタイトル変更で、読みは「といといとい」です。

「酷いよ、湊おばさん……。何もあそこまで力を加えなくたって……」

「沙恵が悪いんじゃないの? 異世界の子をこっちに引き入れて、一体何をしようというの?」

 30分ぐらいの説教が終わってもなお、沙恵は文句を、湊さんは怒りを吐露していた。

 今は沙恵の入れてくれた緑茶を3人ですすりながら、とりあえず腰を落ち着けている状態。

 しかし、湊さんはずっと沙恵に睨みを利かせている。

 一方の沙恵は怒られてしょげてるけど、自分のやったことに対してあまり罪意識はないのかむっすとしていて……。

「まったく、あんたは相変わらず何をやらかすか分かったもんじゃないね」

 それが湊さんの目に余っていた。

「い、一応計画してやったことだし、出来るって分かってたから、良いと思って……」

「二人には相談した?」

「……」

 蛇に睨まれた蛙のように、沙恵は黙りこくってしまった。

 湊さんは大きく溜息をついたかと思うと、視線を私に移し、持っていた湯飲みを置いて姿勢を正す。

「改めて、私達の皇女がとんだ大馬鹿をして、本当に申し訳ない」

 そう述べて頭を下げた。

 私は慌てて手を前に突き出し否定する。

「えっ! いえいえ、前にも言ったと思うんですけど、そんな謝ることじゃあ……」

「そういう問題じゃないの」

 再び顔を上げた湊さんの顔に、厳しい表情が浮かんでいた。

「彩夏ちゃんが良くったって現状大問題なのよ」

「ど、どういうことですか……?」

 固唾を飲んで湊さんを見る。

 湊さんは腕を組み、渋い顔で考えている。

「う~ん、何と言えばいいのかなぁ……。んっ?」

 ふと、きつく結ばれていた口元が緩み、しかめていた眉は筋肉がほぐれたかのように元に戻った。そして再び、沙恵に目線を向ける。

「ねぇ、沙恵? あんた、彩夏ちゃんの帰り道はちゃんと準備してるの?」

「んぁっ。それは大丈夫だよ。行き来できるように整えたから、いつでも使えるし」

 気の抜けた返事で答える沙恵を見て、湊さんは少しだけ視線を左へ向けた。

「じゃあ、大丈夫かな。大問題にはならなさそうだし」

 そしてあっさりと手のひらを返し、この問題を終わらせる。

「えっ!? 良いんですか!!?」

「帰れるようにしているのなら、問題ないね。これで帰れるようにしてなかったら、そこの窓から放り投げるところだったけど」

 その発言に沙恵の方がビクッと跳ねた。

「ねぇ待って、ここ3階だよ……?」

「そ・れ・ぐ・ら・い、やらかした時の代償が大きいと考えなさいな、沙恵皇女様」

 にこりと首をかしげる湊さんの目は全く笑っていない。

 その視線から逃れるようにして顔を背ける沙恵の顔からは色が無くなり、はははと引き攣った笑いしか出ていなかった。

「って湊さん、何で沙恵と普通に会話しているんですか!?」

「あっ!!」

「ん?」

 思わず二人の会話に割り込み、突っ込んでしまう。

「さっき私に『王族なんだから敬意を払って接すること』って言ってたのに、自分は全然そんなことしないじゃないですか!」

「えっ? 今更気にするところなの?」

 過ぎ去る風の様に湊さんは返答した。

 湊さんの瞬間湯沸かし器の如き怒りを目にしてすっかり忘れていたけど、あからさまにおかしい点だ。

 一方の沙恵はさっきから目線を彷徨わせながら何か言葉を探している。

「あぁ、えっとね……。それは……」

「特に理由はないよ。沙恵からお願いされて、私と二人っきりの時は敬語を止めてほしい。堅苦しいのは嫌いだからってね」

 慌てふためく沙恵に変わり、湊さんが澄ました顔で答える。

「ま、彩夏ちゃんも普通にしゃべっているんだし、気にしても仕方ないよ」

「うっ、それは、そうですが……」

 図星を突かれてはぐうの音も出ない。

「そ、そうだよ。私が良いって言っているんだから、大丈夫だよ、ね?」

 乗っかるようにして沙恵も話に混ざって来る。この皇女、こういう胆力だけはあるね……。

「う、うん、分かった」

 胡散臭いけどあまり突っつくのも野暮ということで、ここでこの会話を終えることにした。

「ところで沙恵、」

 と、湊さんが少し声を落として聞く。


「あんた何で彩夏ちゃんを呼んだの?」


 沙恵への問いかけだけど、私が思わず姿勢を正した。

 そう。

 いよいよ核心に迫る時間が来たのだ。

「それなりの理由を持って、ここに呼んだのよね? ただ呼びたかっただけじゃ、こんなことはしないはずなんだから」

 続けざまに湊さんは畳みかける。

「……うん」

 それまで喜怒哀楽と鮮やかな表情の色彩を見せていた沙恵が、口を真一文字に結び、真剣な眼差しになった。

「沙恵……」

 その表情を見て、私は思わず声を漏らしていた。


 何故呼んだのか?

 何故私なのか?


 それが気になったから、ここまで来たんだ。

「私は約束を守ったよ。だから、何で呼んだのか教えてほしい」

 視線をしっかりと沙恵に向け、前のめりになって聞く。

 沙恵は一つ息を大きく吸いゆっくりと吐き出す。

「驚かないで聞いて欲しい……、とは言わないよ。ただ、覚悟だけはして欲しい」

「覚悟……?」

「うん」

 そういえば、沙恵は夢の中で言っていた。


『私はあなたを必要としているんだしね』


 この言葉の意味は、それだけ重い何かを私に提示するということだろう。

「まずは聞かせて。考えるのはそれからにしたいから」

 思わず逃げ腰になってしまったのは、何を要求されるか分からない恐怖からだった。

 何も知らない生娘だったし、一般の反応として当然ではあった。

「分かった」

 それでも沙恵は私の意見を汲んでくれる。

 少しだけ間を置く沙恵の、次の言葉を待つ。

「私からのお願いは一つだけ……」



「サヤカ、私を守ってくれない?」

 話を統合させました。

 とりあえず、一気にこれで読めるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

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