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2.会いたくて

 名指しで呼ばれ、不安な気持ちになるサヤカ。

 さて、向かう先は希望か、はたまた……。

(漫画で見たことある! 本当に明るいんだ!)

 彩夏ちゃんは浮かれるくらいには余裕があるようで何よりです、はい。

 ということで、湊さんと黒服を着た女性と一緒に扉をくぐると、ランプが行く手を照らす廊下に出た。入ってきた場所が城の端のためか、左側にずっと廊下は伸びている。

 外側は西洋風の城だったけど、中は全然違う。

 木の板でできた床の上に赤い布が乗せられ道ができていた。壁は白く滑々で石か何かで造られているのが分かり、そこにランプが並べられている。

(天井も高いなぁ……。これがお城……)

 圧倒的なスケールの違いに、戸惑うしかない。

「お城は初めて……そうね」

 湊さんがこちらの挙動に気付き、話しかけてくる。

「地元にこんな大きい建物は無いです。羨ましくなっちゃいますね」

 あぁあぁ、浮かれちゃって。しょうがないけどさ。

 さっきまでの心配は何処へ行ったのか、今は「異世界にいる」という状況を楽しんでいる。

「あなたの街ってそんなにちっちゃいの?」

「小さい……かは分からないですけど、大きな街ではないですね」

 ふうん、と湊さんは感想を述べながら、給仕の後ろを着いていく。私もなんだか楽しくなって、湊さんの後に続いた。

 歩いて1分ほど。

(本当に広い……。まだ反対側の壁に着かないなぁ……)

 景色はあまり変わらないので、仕方なく二人の後ろ姿を見つめながら歩いていた。

 給仕は背筋に物差しが入っているかのように伸びている。歩き方もメイドのように手を前に置き、足を静かに地面に置きながら歩いている感じ。

 一方の湊さんは背筋の伸びは変わらないけど、肩をあまり振らず、手も脱力させて体の横につけ、忍ばせるようにして歩いている感じで、周囲を警戒して歩いている気がした。

 その違いを一方的にイメージしながら歩いていると――。

「あっ、いたいた!」

「……!!!」

 その声に、私は飛び跳ねた。急いで前にいる二人の横から覗く。

「すみません、自室で待てなくて来てしまいました」

「あっ!」

 その姿に私は思わず声を上げてしまった。

 夢で見た金の長い髪。

 ピンク色の長襦袢(ながじゅばん)

 顔立ちの整った左目の眦には泣き黒子が一つ。

 そしてすらっとした立ち姿が、本当に現実世界にいるのかと疑ってしまう程だ。

 でも、現実に、目の前に、私の視界に、存在していた。

「給仕頭、ありがとうございます。後はこちらでお連れするので、下がっていただいて大丈夫ですよ」

 かしこまりました、と伝え、給仕は下がる。3人だけになってから、再び口を開いた。

「いらっしゃいませ我が城へ。待っていたよサヤカ」

 朗らかな笑顔を浮かべるその女の子が、私の旅の終着である人物。


 私はようやく、異世界の皇女(こうじょ)・沙恵に会えた。

 千文字程度の短い文ですが、区切りが良かったのでここまでです。

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