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7.新たなる危機

 鎌足夫妻と離れ、いよいよ沙恵に会う最終段階まで来たサヤカ。

 歩き出しは順調な様だが……。

 教えてもらった通りに、黄色と水色の建物の間の道へと入る。

(わぁ! 更に広くなってる!)

 純粋だ。

 とんでもなく純粋だこいつ……。

 そんな感想しか抱けないかぁ……、とは思うけど、子供だし仕方ない……。

 まぁ実際、広い道のおかげで人込みも広くなったせいか落ち着き、間隔が空いたため余裕をもって歩ける。やっとまともな気持ちで歩いている感じだ。

 すいすいと脚が進む感覚を感じつつ、ふとさっきの二人の顔が頭に浮かぶ。

(湊さんに友彦さんかぁ……。また会いたいなぁ……)

 先程助けてもらった人々のことを想った。

(世の中本当に色んな人がいるんだ。私だけ怒ればいいと思っているクソ教師もいれば、ピンチを助けてくれる本当に大人な人もいるんだなぁ……)

 その差は一体何なのか?

 未だに答えは分からないし、無いのかもしれないけど、減ればいいのにとは常に考えている。

 話が逸れて申し訳ない。

 とにかく、沙恵に会わなければという思いで、足を速める。

(ようやく、沙恵に……、沙恵に会えるんだ! 良い人にも会えたし!)

 その気持ちはウキウキとしており、何なら一っ跳びで行けるならそうしたいけど、残念ながらそんな力はあるはずもなく、出来うる限りの素早い脚運びで進んでいった。

(もう少し……。もう少し……!)

 体は前のめり、腕もちぎれんばかりに振って、まだ見えぬ城門を目指す。


 が――。


「んむっ!!」

 突然、全身の動きと口を封じられ、私はいくつもの手に身体を掴まれ、抱えられた!

 そのまま青い空を見上げることしかできず、何もできないままどこかへと運ばれていく!

(何!? 何が起きてるの!!?)

 処理も整理も追いつかない。

 頭は今までで一番パニックだ。

「うっ……!」

 為す術のないまま、私は地べたへ乱暴に放り出された。

「いったぁい……」

 肩と腰のあたりを少し打ったようで、痛みが走る。

「な、何するんですか!」

 身体を起こし反射的に叫んだが、状況が認識できて気が付いた。

 囲まれている。

 男ばかり7人だ。

(逃げなきゃ!)

 座ったまま後ろに後ずさり振り向くが、その目の前にすぐ煉瓦の壁があった。

(そ、そんな……!)

 周囲も見てみるが、同じような壁に囲まれていた。

 完全な袋小路。

 三方からは絶対に逃げられないことは容易に分かる。

 そして――。

(前も出られそうにない……)

 唯一の逃げ道は人の壁を崩す必要があったが、当時の私では無理だ。

 しかも表情は全員がうすら寒い笑みを浮かべ、これからナニをするか分かってしまう。

「駄目だよ~。女の子が独りで歩いていちゃ~」

「悪い人に捕まっちゃうって、お母さんに教わらなかったかな?」

 その内一番私に近い二人が声をかけてきた。声が嘲笑うかのようで、怖気が走る。

「でも、悪いことをしちゃいけないって、それこそお母さんに教わらなかったの!?」

 連中に負けじと同じような言葉で返す。

「えぇ~っとね? 悪いことは別に『やっちゃいけないこと』ではないから、良いんだよ~」

「…………?」

 思わず首が傾いた。


 何その言葉のすり替え理論は……?

 馬鹿なの??

 私より年が明らかに上なのに、馬鹿なのか???


 さっきまでのパニックが嘘の様に引き、呆れが押し寄せてくる。

 どうやら私は面倒な連中に捕まったようだ……。

 連中がアホだと分かったおかげで、状況をしっかりと整理できる。

 確かに四方を囲まれてはいるが、人垣には隙間はある。

 煉瓦のように重なり合っている訳ではなく、ただ簡単に埋め合わせているだけだ。

 ただし、抜けるには隙を作らせなければいけない。

 深く考える時間はないから、その場その場で判断することになりそうだ。

「どうしたの? もう観念した?」

 男たちが距離をじりじりと縮めてくる。

 腕を伸ばせばいつでも届く距離にいる。

「い、いや……。来ないでください……」

 精一杯のか細い声で抵抗する。

 勿論聞いてくれるはずもなく、歩く速度は変えないものの、更に近づいてくる。

「さぁ動かないでねぇ~。動かなかったら、絶対に気持ちよくなるから~……」

 遂に目の前のふわっとした話し方の奴が手を伸ばしてきた。いよいよ、私の下腹部に手が届きそうだ。抵抗しようにも体が震えて上手く動かない……。

「おばさんたち、ごめんなさい……」

 そう一言呟く。

「うん? 何だ許してほしいのか? だったら体で……」

 許してほしい……?

(そんな訳ないでしょ!!) 

「ぶっ!!」

 グシャッ、という音と同時に、一瞬でそいつの顔が真っ赤に染まった。

 ポケットの中にあったトマトを投げつけたのだ。


 投げつけたのは他の誰でもない。


 私だ!


 完熟だったのだろう。当たった瞬間に潰れ、顔全体を覆い、目つぶしと窒息を同時に行ってくれた。

 周りの連中は突然のことにフリーズしてしまったようで、私の動きに注視していない。

(今がチャンス!!)

 そう思って私は脚に一気に力を込めて……。

――ドスッ!

 もがくそいつに金的を喰らわせた!

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!」

 声にならない悲鳴を上げて倒れるそいつを蹴り上げた脚をそのままに踏みつけ、私はその空いた隙間を使い人と壁の囲いから脱出する!

(相手はまだびっくりしている! このままいけば……!)

 一縷の望みをかけて、私はなりふり構わず脚を前に前に、倒れかけながらも走り出す。

(少しで良いの! 少しで良いから……)

 曲がり角はすぐそこにある。その先に行けば何とかなるはず。

 その思いだけで脚を、身体を、思いっ切り動かした。

 ところが――。

「きゃあっ!」

 ごうっと何か熱さを持つものが、目の前を横切る。

 立ち止まるとその正体が分かった。

(嘘……、何この炎……)

 さっきまで通りが見えていたのに、いつの間にか炎が……、いや、炎の壁ができていた。

 そして直後――。

「おらぁっ、この雌餓鬼! ふざけたことをしてんじゃねえ!!」

 その言葉と同時に、私は襟首を強く握られた!

 いつの間にか連中が私に追い付いていたのだ!

「いや! 離して変態!!」

 私は振り返りざまにもう一方のポケットからトマトを取り出し投げつける。

 だが虚しくも、投げたトマトはただ連中の後ろで床を汚すだけだった。

「そんな攻撃が2度も効くわけないだろ!」

 私の攻撃を、嘲笑を含んだ怒声でいなす。

 そして抵抗もできない私の身体は床に押さえつけられた。

 ぐへへ展開ですね。

 サヤカのピンチですが、結構楽しみなところでもあります!

 それは次までに!

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