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10.湧かない殺意

(2020・01・17)更新

「うぅ……ここは一体……?」

「やっと一人起きたね」

「!?」

 私の問いかけにハッとしたのは、便宜上「青服」と呼んでいた奴だ。

 私達はあの後もう二人も縛り上げ、背中合わせにして彼らを座らせていた。そしてそれぞれの前に一人ずつ見張りのような形で立ち、彼らが起きるのを待っていた。

「何だね君たちは? 一体何のためにこんなことをしているのかね?」

 冷静に青服が問い正してくるが、まるでとぼけているかのような返答にとても腹が立った。しかし、聞き出したいことを聞けなくなるのは困るため、冷静に相手の次の言葉を待つ。

「何をしたのか分かっているのかね? 君たちは私達の正当防衛を止めたのだよ? 犯罪者たちを擁護したのだよ? 完全なる犯行助長罪だ。罪は重いものだよ」

(うわぁ、なんと白々しい……)

 流石に堪忍袋の緒が切れどう。

 いくら冷静にいようとも、ここまで自分たちのしてきたことに何にも責任を感じていない連中を擁護できるはずもない。

 因みに犯行助長罪とは、犯罪を行っている犯罪者の手助けをすることで、犯罪が大きくなってしまったことに対しての罪だ。

 傍から見たらそうかもしれんが、こいつらの方が外道である。

 ということで、あくまでも冷静に。

「あのですねぇ……」


「おっさんたち馬鹿だねぇ」


 と思ったら私の言葉を違う言葉が遮った。

 冷静だが棘が見える言い方をするのはケイである。

「俺たちは今回の連続殺人犯を捕まえたってのに、おっさんたちが追い打ちをかけようとしたから止めたんだよ。無抵抗の相手を殺そうとしたおっさんたちの方が問題だと思うけど」

 そして、私の言おうとしたことをそっくりそのまま言われてしまった。

 しかもご丁寧に、相手の神経を逆なでするように。

「ふざけるんじゃない! 君たちはそいつらを捕まえに来たんじゃないのか! 何で肩入れしているんだね!」

 案の定、青服は冷静さを保てなくなり激昂する。私は呆れてため息をついた。


「まったくもってどいつもこいつも! あの娘もそうだ! 親父を殺しておけば、殺戮者どもをもっと簡単に始末できたのに……!」


(今、あの娘も、って……?)

「…………はっ?」

 そのフレーズが私の耳に届いた瞬間、何のことか理解した。

「あっ! しまった……」

 抱えていた頭を持ち上げ、失態を犯し、顔が青ざめた青服を睨みつける。

「ねぇ、もしかして、そんな理由であそこにいた沢渡さん一家を皆殺しにしたの?」

 私は無意識のうちに右のホルダーから銃を引き抜き、抵抗できない青服の額にゼロ射程で銃口を当てていた。いくらゴム製とはいえ、打てば確実に即死する。それでも私は撃つ気でいた。

「確かにね、あなたの昔の仲間が殺されたことには同情するよ。だけどさぁ……」

 引き金に指をかける。そして、最大の侮蔑を含んだ目で相手を見据えてから、

「自分たちのやったことに罪がないと思っているなら、あんたは心底救いようのないクソ外道だ!」


――タァン!


 私は引き金をためらいもなく、怒りを籠めて引いた。

 ただし、銃口は上に向けて。


 目の前にいた青服は死ぬと思ったのか、目を強くつぶり少し下を向いていた。

「……?」

 自分が死んでいないと気づくと、こっちを向いて何故か瞳に怒りを湛えた。

「おい貴様、何故殺さなかった! ふざけるな!! 情けをかけたつもりか!!!」

(あぁ、やっぱりまだまだ浸透していないみたいだね)

 私は一つ溜息を吐き、話を続ける。

「自己紹介から始めましょうか。私たちは国家公認自警団”我誓不殺(がせいふさつ)”」

 銃をホルダーに戻し、腰に手を当てる。

「私たちはさ、殺すことを目的にやっている訳じゃない。

 人の命を助けるために自警団をやっているんだよ。

 なのに、ここであなたを殺してしまったら、矛盾が生じるでしょ?」

 さも当然のように私は立てた理想をぶつける。そして、私の主張を聞いた青服は……。

「なんだ、そのふざけた思想は! どう考えても絵空事でしかなかろう!!」

 全面否定してきた。

 まぁ、当然の反応だとは思うけど。

「別に信じてほしいとは思ってないよ。だけど、私達の覚悟を絵空事と切って捨てるのだけはやめてほしいかな? それに――」

 言われっぱなしもムカつくので、私は座っている青服に顔を近づけ……。

「そんな生半可な覚悟でこっちも仕事している訳じゃないしね」

 睨みを利かせるようにして相手を脅す。

 相手は理解していないが私の気持ちを汲んだのだろう、大人しくなった。

「さて、聞きたいことを聞いていこうかな」

 そうして私は彼から話を聞き出し始める。

「うぅ……ここは一体……?」

「やっと一人起きたね」

「!?」

 私の問いかけにハッとしたのは、便宜上「青服」と呼んでいた奴だ。

 私達はあの後もう二人も縛り上げ、背中合わせにして彼らを座らせていた。そしてそれぞれの前に一人ずつ見張りのような形で立ち、彼らが起きるのを待っていた。

「何だね君たちは? 一体何のためにこんなことをしているのかね?」

 冷静に青服が問い正してくるが、まるでとぼけているかのような返答にとても腹が立った。しかし、聞き出したいことを聞けなくなるのは困るため、冷静に相手の次の言葉を待つ。

「何をしたのか分かっているのかね? 君たちは私達の正当防衛を止めたのだよ? 犯罪者たちを擁護したのだよ? 完全なる犯行助長罪だ。罪は重いものだよ」

(うわぁ、なんと白々しい……)

 流石に堪忍袋の緒が切れどう。

 いくら冷静にいようとも、ここまで自分たちのしてきたことに何にも責任を感じていない連中を擁護できるはずもない。

 因みに犯行助長罪とは、犯罪を行っている犯罪者の手助けをすることで、犯罪が大きくなってしまったことに対しての罪だ。

 傍から見たらそうかもしれんが、こいつらの方が外道である。

 ということで、あくまでも冷静に。

「あのですねぇ……」


「おっさんたち馬鹿だねぇ」


 と思ったら私の言葉を違う言葉が遮った。

 冷静だが棘が見える言い方をするのはケイである。

「俺たちは今回の連続殺人犯を捕まえたってのに、おっさんたちが追い打ちをかけようとしたから止めたんだよ。無抵抗の相手を殺そうとしたおっさんたちの方が問題だと思うけど」

 そして、私の言おうとしたことをそっくりそのまま言われてしまった。

 しかもご丁寧に、相手の神経を逆なでするように。

「ふざけるんじゃない! 君たちはそいつらを捕まえに来たんじゃないのか! 何で肩入れしているんだね!」

 案の定、青服は冷静さを保てなくなり激昂する。私は呆れてため息をついた。


「まったくもってどいつもこいつも! あの娘もそうだ! 親父を殺しておけば、殺戮者どもをもっと簡単に始末できたのに……!」


(今、あの娘も、って……?)

「…………はっ?」

 そのフレーズが私の耳に届いた瞬間、何のことか理解した。

「あっ! しまった……」

 抱えていた頭を持ち上げ、失態を犯し、顔が青ざめた青服を睨みつける。

「ねぇ、もしかして、そんな理由であそこにいた沢渡さん一家を皆殺しにしたの?」

 私は無意識のうちに右のホルダーから銃を引き抜き、抵抗できない青服の額にゼロ射程で銃口を当てていた。いくらゴム製とはいえ、打てば確実に即死する。それでも私は撃つ気でいた。

「確かにね、あなたの昔の仲間が殺されたことには同情するよ。だけどさぁ……」

 引き金に指をかける。そして、最大の侮蔑を含んだ目で相手を見据えてから、

「自分たちのやったことに罪がないと思っているなら、あんたは心底救いようのないクソ外道だ!」


――タァン!


 私は引き金をためらいもなく、怒りを籠めて引いた。

 ただし、銃口は上に向けて。


 目の前にいた青服は死ぬと思ったのか、目を強くつぶり少し下を向いていた。

「……?」

 自分が死んでいないと気づくと、こっちを向いて何故か瞳に怒りを湛えた。

「おい貴様、何故殺さなかった! ふざけるな!! 情けをかけたつもりか!!!」

(あぁ、やっぱりまだまだ浸透していないみたいだね)

 私は一つ溜息を吐き、話を続ける。

「自己紹介から始めましょうか。私たちは国家公認自警団”我誓不殺(がせいふさつ)”」

 銃をホルダーに戻し、腰に手を当てる。

「私たちはさ、殺すことを目的にやっている訳じゃない。

 人の命を助けるために自警団をやっているんだよ。

 なのに、ここであなたを殺してしまったら、矛盾が生じるでしょ?」

 さも当然のように私は立てた理想をぶつける。そして、私の主張を聞いた青服は……。

「なんだ、そのふざけた思想は! どう考えても絵空事でしかなかろう!!」

 全面否定してきた。

 まぁ、当然の反応だとは思うけど。

「別に信じてほしいとは思ってないよ。だけど、私達の覚悟を絵空事と切って捨てるのだけはやめてほしいかな? それに――」

 言われっぱなしもムカつくので、私は座っている青服に顔を近づけ……。

「そんな生半可な覚悟でこっちも仕事している訳じゃないしね」

 睨みを利かせるようにして相手を脅す。

 相手は理解していないが私の気持ちを汲んだのだろう、口を結び大人しくなった。

「さて、聞きたいことを聞いていこうかな」

 そうして私は彼から話を聞き出すことにした。

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