7.1.衝動と衝撃
7.の次に突っ込みます!
この章だけやたら話が増えている気がしますが、気にしないでください……。
(ここで沢渡さんの名前が出るとは……)
だけど私はあえて何も言わず、表情も押し殺して話を聞き続ける。
「沢渡は加害者共の仲間だったが、基本的に手伝わされていただけで、加担するにも脅されてやったことが分かっていたから、咎められずに残ったそうだ。当時は恐くて何も話せなかったそうだが、今ならと思って話をしてきたんだと」
それでも怒りは燻っているのだろう。夏川は顔をしかめている。
「ちょうど1カ月前ぐらいに、出水が沢渡を連れて真相を語らせてくれた。事件の真相を知った時、俺たちのはらわたは煮えくり返ったよ! だから誓ったんだ。あの場所にいた連中全員に、追い詰めた連中に、必ず復讐してやると……!」
(なるほど、恨みたくなるのも分かる)
自殺として処理されて納得してきた彼らにとって、それは耐え難い屈辱であろう。
「それをもうすぐ果たせそうだったんだ! それなのに、お前たちのせいで……!!」
またこちらを睨みつける。さっきよりも鋭い眼光に、私は少したじろいだ。イチとケイも同じような反応を示す。
ところが、マックスだけが首を傾げて困っていた。
「でもさ、おじさんたちも同じじゃないかな?」
そして、サラッと渾身の一撃を言い放つ。
その言葉は一帯の空気を冷え込ませるのに十分だった。案の定、夏川はマックスに怒りと非難の目をぶつけている。
「あぁ!? どういう意味だ……!」
そりゃそうなるだろう、と私たちが肩をすくめる。しかし、マックスは怯むことなく続けた。
「だってさ、人のことを憎んでやっちゃったんでしょ? 頭が良かったから殺した、っていうこの人たちと、あんまりやってることは変わらないんじゃないかな?」
「なっ……!!?」
それは、彼の主張を粉々に砕く一撃であった。犯人の顔が一気に青白く変わっていく。
「しかも、殺した人数は多すぎるよね? 一人殺すのも大人数殺すのも、僕たちの中ではあまり変わらないけどさ、普通は多く殺した方が悪くなるんじゃないかな?」
死体蹴りにはなっているが、言っていることはしっかりと的を射ている。
そう結局は、自分たちの腹いせで人を殺しているのは変わらないのだから。
犯人は反論しようと口を動かした。しかし、言葉が出てこず、口をつぐんでしまい、言い返す言葉がなくなってしまう。そのうち下唇をきつく噛み締め、下を俯きながら絞り出すように言葉を紡いだ。
「だったら、どうすればよかったんだよ……」
「え? だったら、まずは警察に訴えるべきだったと思うよ。それでも動かなかったら、自分たちで有志を募って、その事件を蒸し返して、次にこういうことがないように動くべきだったんじゃないかな?」
私がさらっと言うと、犯人は苛立ちを見せた。
「それで何かが変わるだけじゃないだろうが!」
「ごめんけど……」
前置きを置いて、私達の主張を投げつける。
「人殺しをした時点で私たちの中でのあなたたちの評価は、今回の被害者の評価と変わらないから。その前段階ぐらいだったら、違ったかもしれないけどね」
私は非難の目で犯人を睨みつけた。
「それから、何かが変わるわけじゃない、って言った? 逆に聞くけど、それは実際にやってみたの?」
苦々しく犯人は首を横に振る。ますます睨みを利かせた。
「やってもいないのに”変わっていない”なんて言わないで欲しい。私たちはそう言った現実を変えるために行動を起こしているんだから」
そう。私たちは変わらないかもしれない未来を変えたくて、この仕事をしているのだ。なのに、こんなことを言われると腹が立つのは当たり前である。
「それに――」
さらに追い打ちをかけたくて、私はこの話題を持ち出した。
「今回の沢渡さんたちを殺したのはあなたたちでしょ?」
その言葉に犯人は、怪訝な顔をする。
「はっ? 俺たちはさっき集まったばかりだ。いい加減なこと言うなよ」
全く身に覚えがないという表情で見てくる。
あれ? と思い、私は今回に至った経緯を話した。
すると、夏川に戸惑いが生まれる。
「あ、あいつ殺されたのか? どおりで見かけないと思ったら……」
(まさか、この人たちじゃないの……?)
左右を見ると、私のケイたちも唖然としていた。
じゃあ、いったい誰が沢渡家族を惨殺したのか? とんでもない謎がここにきて浮かび上がってしまった。
そう思っていたその時――。
私の頬を何かがかすめた!
「ぐあっ!!」
何事かと思い飛んでいった方を向くと、夏川の肩に矢じりが刺さっていた。
今度は射られた方向を向く。
100m先には、弓に矢をつがえている連中が四人。そして、一斉射撃をしてきた。
「あぁもう! 何なの急に!!」
私は夏川を担ぎ、矢の雨を避ける。
「悠長にしゃべってる暇はなくなったな……」
ケイが一人を担ぎながら話しかけてくる。他の二人も後ろから着いてきていたので、とりあえずは被弾を免れたようだ。
急いで建物の陰に隠れて、撃ってきた連中をよく見てみる。
その顔の中には見覚えがあった。
観察していてよかったと思う。
(そうか……。こいつら初めから、返り討ちにする気だったんだ!)
そいつらは、私たちが守ろうとしていた元いじめっ子の連中だった!
色々と名前を変えてしまい申し訳ありません……。
ここまでの名前はこれで決定しようかと思います。




