生と死を見つめる少女
"死"とは何だろう? そう疑問に思ったことはない?
色々な死があるけど、私は二つの死があると常々考えている。
一つは勿論、“肉体的な死”だ。心臓が活動を止め、脳が思考を停止し、細胞が代謝を諦めた時、人は入れ物、つまりは身体から魂を解き放ってしまう。
分かっているとは思うけど、どうしようもない確定事項だ。形あるものいつかは崩れる。この世の普遍的な不変の事実。
覆すことは難しい。
不老不死に挑んでいる人達もいるけど、結果はあまり芳しくないみたいだね。
じゃあ、もう一つの死は? というと、それは――。
生きていながらの死。
肉体ではなく、精神が死んでしまい、体だけがそこに「ある」状態を指している。
この死は人間だけが持っている特殊なもの。
考える力や知恵など、他の生物より発達した脳がもたらした副産物と言っても過言ではない。
自らのプライドが、精神が、自分の存在が人から否定され、続いた時、人は精神を病み、心が死んでしまう。
最終的には肉体の死にも繋がる恐ろしい死だ。
本来であればあってはならないことなんだけど、人はどうやら、人の不幸を糧にして、自分の威厳を保って生きようとする生き物らしい。生物の中で一番凶悪なんじゃないかなと思ってしまう。
なんでこんなことを話しだしたかって? それは、これから話すことを書く前置きとして、伝えておかないといけないから。
重要じゃないかもしれない。
私の言わば決意だ。
それでも、話しておきたいと思った。
だって――。
これ以上、不幸になってしまう人を増やさないために。
とりあえず前置きはここまでにしといて、始めていきましょう。
そういえば、私が誰だって話していなかったね……。ごめんなさい。
私の名前は川上彩夏。
歳は14歳で、性別は女。
地球の日本に住んで……、はいる中学生。
ここまで聞くと何が何やら分からないかもしれないけど、それは後々分かるから、今はお預けということで。
ではまず、私達の日常から。