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魔王

弱き者を助け、時には手を取り合う。

冒険とはそういうものだ。

導き、正す。

冒険者のリーダーとはそうでなくてはいけない。


幼い頃に読み聞かされた幾つもの物語が、そう教えてくれた。

だからこそ、そうあるべきだと己の信念に強く在った。

「魔王様」

世界を恐怖で混乱させ、侵略、略奪をする魔族を統べる王を討ち、囚われた仲間を助けるべく命をかけ、時には残酷な現実に足を止め、それを乗り越え成長していく。


「魔王様!!!!!」


「騒がしいぞ、キリヴェイ」

「ハッ!急を要する事でしたが、中々御返事を頂けなかったので」

「何用だ」


俺は、冒険者になりたかった。


「この城に侵入者です!勇者かと思われます!もう時期この広間にやって来ます!」


どうしてこうなった?


「愚かな奴だ。この俺に牙を向けてタダでは済まないことは、勇者が一番わかっているだろうに」

事実、この世界情勢では圧倒的な差が、人と魔族にはあった。

この先数百年埋めれないほどの差だ。

魔族の王である俺を討ち取ることで、この戦いの終止符を打つ一番の近道と考えたのだろう。

この城に戦える者は一人もいない。

その理由は絶対的な自信があるからこそだ。


それ程に差があるのは勇者も知っているはずなのだが、気でも狂ったか?


「魔王!」

勇者は剣を抜かずに広間に入ってきた。

「お前の存在が世界の秩序を乱している!今日は全てを終わらせに来たぞ!」

何て正義に満ち溢れた気迫なんだろうか。


全く、世界は希望に満ちているな。



「剣を抜け、勇者。後悔させてやろう」


臨戦態勢につく、ドス黒い炎が身を覆う。

気分がいい。昔みた物語のクライマックスによく似ている。

60年前の先代の勇者との死闘を思い出し身が震える。

さぁ、楽しませてくれ。


「お前とは剣を交えるつもりはない!私と一緒に永遠にこの世界の理から外れてもらうぞ!!」

勇者が黒い球体を握りつぶしたと同時に、勇者と俺の体が煙に飲み込まれた。





次に見た景色は、世界を統べた魔王の知らない町だった。


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