山岳3
撤退する為のルートを確保する。
『後退なんかしていいの』
「別に問題ないはず」
『私にとってよくない、戦え』
「死ねってか」
『ええそうよ』
「ふざけんな」
敵に牽制をしながら叫ぶ。
「死ぬならもっと有意義に死ぬ、と言うかこんなところで死にたくない、更に言えば死にたくない」
『それが命令よ』
「助ける友軍はいない、ここで戦う意味はない」
『意味はある、私のおねえちゃんの』
「それこそ関係あるかよ」
『退路確保、後退可能です』
「わかった、死んだらそこで終わりだろう、それこそお前の姉に会えなくなっちまう」
『おねえちゃんに、会えない、会えないの』
多脚戦車が動きを止める。
「えっ」
再度動く様子はない。
『会えない、会えない、会えない、会えない、会えない、会えない、会えない、会えない、会えない』
会えないと言う言葉を延々と繰り返してくる、正直に言うと怖い。
「生きて帰れば会えるだろう」
『帰れば、会える。だめ、命令を遂行しないと、会わせてもらえない』
再度動き出す、後退する様子は一切ない。
「っ、全機撤退中止撤退中止、やつらを後退させる」
『572了解』
『571落ち着いてください』
「落ち着いてるよ、落ち着いて考えても輸送機が576に撃墜されるところしか思い浮かばねぇよ」
『ですが』
「それに敵は優秀なんだろ、ならこんなしょうもない戦闘で部下を大勢失うことは避けるはず、そっちの方が安全に後退できる」
『………了解』
「俺だって本音は撤退したいよ、576は盾持ちを、572はそれ以外を撃て、584、595は後退作業中止し支援再開」
『『『了解』』』
『死ね、死ね、死ね』
トワ機が戻って来て戦闘を続行する。敵に背中を向けていた為にトワ機が後ろに下がっている状態だ、だからトワが戻ってくるまで2機で頑張るしかない。
「うっ」
だがその戦闘中一番怖いのは多脚戦車の動きだ。どれだけの運動性能なのか通常の戦車より機敏に動く。しかもこちらを気にする様子もなく動くので押し潰されそうになるためだ。
『邪魔』
「邪魔って」
『邪魔』
「………早く撤退してくれよ」




