報告
前線基地は慌ただしく人が行き来している、その中で1番重要である施設、指令所、その中の指令室まで急ぐ。
「ナカイ特務少尉、下ろしてくれた方が動きやすいのでは」
「いやいいや、隻腕の奴が指令室行くよりは傷付いた奴が指令室行く方が止められにくくないか」
「そうですか」
「そんなことはいいから~、早くいこうよ~、もう休みた~い」
「だな」
そんなわけでストレッジャーを押しながら急いだ。
建物の前につく、そこには門番がおり武装して警戒していた。ためらわず近付く。
「なんのようだ」
「特殊任務の報告だ、通してもらいたい」
「わかったいいだろう」
扉が開き、中に入る。中はクーラーが効いておりかなり涼しい。その中で最も奥にあるだろう部屋、指令室に向かう。狭くストレッジャーが動かしにくい。
「降りましょうか」
「だな、むしろ遅くなってるし」
「分かりました」
トワがストレッジャーから降り、ストレッジャーをそこら辺においておき向かう。
「ストレッジャー放っておいて大丈夫ですかね~」
「大丈夫だろ帰り持ってくし、ちょっとの間だけだし」
そして目的地である指令室へとたどり着き、扉をノックする。
「入れ」
「失礼します」
扉を開ける。中には兵士がおりアサルトライフルをこちらに向けている。だから両手をあげる。
「あのこれはいったい」
「理由はある、だがその前に入ってくれ」
中に入り扉を閉める。
「それで理由だが、少し前に報告が入った。特務任務を終えて戻ってきた部隊があると、だから報告を受けるためにここまで呼んだ。ここまではわかるな」
「ええ」
「だがな、その前提となる特務、これが誰も報告を受けていない任務なんだよ。そこでだ君達は誰だ、1から説明してもらおうか」
「そうですか」
「これでも君達には感謝していて、穏便にすませようとはしてるんだ」
出会い頭に逮捕ではなく、話を聞いてくれると言うことだろう。
「分かりました、話します。今回我々に与えられた任務は敵に占領された本部の強行偵察でした」
「そうか、だがその報告は受けてはいない、なぜかな」
「敵を確認し報告をする前に友軍の戦術爆撃機に爆撃を」
「そうか、他の者は」
「ナカイ特務少尉と同じです」
「何もないで~す」
「そうか、なら戦術爆撃機を使用した作戦を立てたものを呼んで話を聞こう」
机においてある電話をとり電話をかける。そして少し待つ。その間も銃口は向けられたままなので休めなかったが。扉がノックされる。
「入れ」
「はっ」
中に青年が入ってくる。だがこちらを見るなり少し表情を変える。
「さて、オオタ大尉聞きたいことがある」
「何でありましょうかハヤシ少将」
「なぜ、友軍を含め爆撃した」
「なんの事でしょうか」
「言い方を変えよう、なぜ友軍を囮として使った」
「ですからなんの事でしょうか」
「話を変えよう。君の提案書は非常に優秀だ、だがその他の策が使われることになったはずだった、だが戦術爆撃機3機と反応弾9発が無断使用され、白紙の命令書が数枚なくなっていた。この件に関しては何か言いたいことは」
「何も、しいていうならなぜそれを私に」
「そうか」
静かになる。だがその沈黙を破るものが1人。
「オオタさん久し振り~」
「おい、静かにしてろよ」
「すいませ~んナカイさん」
「彼女とは知り合いかオオタ大尉」
「いえなんの事でしょうか」
「ならば彼女に聞こう、どうだ」
「知り合いも何もずっと前に同じ部署にいました~、で急に告白してきて~」
「止めろ」
「いきなりだったんでさすがに振って~」
「止めろ」
「その後、オオタさん自主的に部署変更して~」
「止めろって言ってんだろー」
腰のホルスターに入っている拳銃を抜き撃つが、トワが左腕で防いだ。その後オオタ大尉は兵士に取り押さえられる。
「トワ大丈夫か」
「ええ」
「トワさん助かりました~」
シノダは少し涙声だ。
「俺の物にならない女はみんな死ねばいいんだよ」
「それでか」
「ああ、ちょうどよく自主退職を促す為の部隊があって、攻撃する対象もあったんでな、得点稼ぎに使わせてもらったよ。生き残るとは思わなかったけどな」
「こいつをつれていけ」
オオタは連れていかれる。
「すまなかったな」
「いえ」
「そちらのお嬢さんは」
「問題ありません」
「そうか、なら他に何かあるか」
「仲間がまだ取り残されているので救援を」
「いいだろうすぐに差し向けよう、それと彼女の修理も行うよう伝えておこう」
「知っていたのですか」
「報告だけだがな、実際に見るのは初めてだ」
「そうですか」
「ああ、後はゆっくりしてくれ、これから忙しくなる」
その言葉と共に通信が入る。
『こちら戦車隊、格納庫並びに打ち上げ施設の奪還に成功、繰り返す格納庫並びに打ち上げ施設の奪還に成功』




