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ある兵士の戦争  作者: iLL
ある兵士の戦場
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死地4

 逃げろとは叫んだ、だが逃げる先はない為に振りきるしかない。

『751どこへ』

「ひとまず振りきる」

『分かりました』

「天然の罠に掛ければ時間は稼げるはず」

『752了解』

 戦車の踏破能力を生かしつつ森の中を走る、向こうも同じだがこちらは4日もここら辺で待機してたのだ、どこに何があるかわかるだけ有利なはずだ。だから木や岩を盾に使い、戦車の足をとられそうな所は避ける。それなのに。

「射撃が的確すぎる、なんだよこれ」

『回避行動を予測して撃っている模様』

「こんなに視界が悪いのにか」

『ええ』

「くそ、何で見えてるんだよ」

 走っている所は自然のトラップが多数存在している場所だった、そしてその事がこちらの動きを阻害する。回避先に障害物、行く先に段差がありバランスを崩す、振り切りをかけて駆け込んだのにこちらが追い詰められている。

「それにこれは」

 弾着した所を見る。そこには杭が刺さっていた。

「何でパイルが」

『前の戦闘の時に鹵獲されたのでは』

「ここから逃げた際のか」

 最悪だった、向こうはすぐにでもこちらを潰すことができ、こちらには抵抗する手段はない。また向こうは位置もわかっているのに、こちらはわからない。向こうは確保した基地のそばなため援軍はすぐに大勢来るはずだが、こちらはシノダしか来そうにない。

「最悪だ」

『751どうしましたか』

「振りきれるかよこんなの」

『なら抵抗するしか』

「だよなするしかないよな」

 ライフルを構える、状況を復習すると友軍なし、敵援軍ありという最悪な状況だ。そして逃げる先もない。トワ機もライフルを構える。敵機から通信。

『また君達か、投降する気は』

「ないな」

『受け入れる気もないがな』

「じゃあ聞くなよ」

『状況が状況だからな、諦めてるんじゃないかと。ついでに報告しておこう支援も要請した今すぐにでも集まるだろう』

 勝ち目はない、だからと言って諦めるわけには。

『751、752聞こえてますか、戦術爆撃機がこちらに向かってます』

 時間差で上空から何かが降ってくる。そして音が、色が、光が消えた。

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