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ある兵士の戦争  作者: iLL
ある兵士の戦場
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砂漠

 夜が明けると嵐は去っていた。

「チバ聞こえるかチバ」

『…………ます…………聞こえて』

「そうかなら合流しよう、トワレーダーは」

「正常に作動中です、友軍の存在を確認してます」

「よしじゃあそっちの方に向けていくか、チバ拾いにいくぞ待ってろよ」

 戦車をやっと起動させる、砂嵐のせいでコンディションは悪いが動かせないほどではない。食料やら水やらも十分ある、問題は敵だけだろうが。

「敵とかはレーダーに映ってないか」

 敵も居なさそうだし行動を開始する。


 行動を開始したが敵がすぐに現れた、暑さと暇さだ。ただでさえ砂漠で暑いのに見映えの無い景色しかなく、水をがぶ飲みしたくなる。してもいいのかもしれないが砂漠をすぐに出られる保証も何も問題なく出られる保証もない、だから飲むわけには行かないのだが、することがない。

「ナカイ特務少尉暇なのですか」

「ああ暇だし、暑いし」

「ならば変わりましょうか」

「いや更に暇になりそうだからいいよ、そう言えばトワ」

「何でしょうか」

「何でトワは造られたの」

「ナカイ特務少尉は戦場無人化計画についてご存じでしょうか」

「いやなにそれ」

「戦場で1番経費がかかるのが兵士関連です、だからそれをすべて機械にしてしまうことで経費削減する計画です」

「兵士より戦車の維持費の方がするんじゃ」

「いえ兵士には給料に始め、食費、医療費、危険手当て、保証金などが発生したり、平時では兵士1人が法を犯すと全体の予算が削られる危険性があります」

「なるほどなそれを確実になくすために機械に変えようと、ってならトワみたく人型である必要なくないか」

「私はそれまで使っていた戦車を大規模な改造なしで使えるように人型にしたようです、ですがこれは少数あればいいので数はいませんが」

「そうなのか、ならそのうち俺はお役目ごめんかな」

「いえ私達は教本通りの動きしかできないために一部のエースと呼ばれる方は残ると思いますよ」

「つまり俺は教本以下なのか、まあ分かりきってたが」

「ナカイ特務少尉は指揮能力はあるかと」

「無いよ、だってトワに大体任せきりになってたし」

「ですが」

「慰めなくていいよ、ってなんだよこのでかい反応は」

「ナカイ特務少尉上です」

「分かってる854聞こえているか」

『854聞こえて………ます』

「何なんだこのでかいの」

『わかりませんが…………は出てません』

「呼び掛けてみますか」

「頼む」

 上を見る、でかく黒い艦だ。ただ見たことはない、識別反応も出ていない。それが大分近くに着地しようとしている、それに近づきながら通信を送る

「不明機に告げる、貴艦の所属を明らかにせよ、繰り返す貴艦の所属を明らかにせよ」

 敵なら困るのは確実にこっちだ、戦艦にたった1機で挑むのは不可能かつ無謀だ。ついでに言えば装甲をへこますのが限界だろう。

『友軍の反応です』

『よかった、これで安全だ』

『やっと助かるのか』

「そちらの艦長は」

『こちら、艦長のミスだ中で状況を聞きたい着艦してくれるか』

「なぜ所属不明に」

『新造艦を無理矢理に使用しているために識別信号がわからない』

「ナカイ特務少尉どうします」

「ひとまず乗り込んでみよう、こんな1機の戦車捕らえるために戦艦なんか持ち出さないだろうただ戦車から降りるのは俺だけだ、ヤバそうなら支援してくれ」

 チバにも通信を送る。

〔所属不明機に乗り込む、戦車内にはトワを残す、問題が起こりしだい連絡を〕

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