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ある兵士の戦争  作者: iLL
ある兵士の戦場
20/115

機内

「い、生きてる」

 戦場から脱出した為か安堵する。

「ナカイさん生きてますよ、生きてるんですよ」

「だな、チバやったぜ」

 あんな確実に死ぬと言うか殺しに来ている戦場から誰一人かけることなく脱出したのだもう勝利したといっても過言じゃないだろ。

『ですねやったっすね』

「でこれどこに向かってるんだ」

『それが敵軍の同時攻撃によって軒並み基地が陥落したみたいのでどこに向かえばいいか分からないっす』

「………チバどこか生き残ってる基地ないか調べてくれ」

「わかった」

 チバが積み込んだ七式偵察車に乗り込む。

「問題だらけかよ、と言うか基地に向かって大丈夫なのか敵前逃亡とかに」

「あのナカイ特務少尉」

「ああトワか、どうした」

「助けていただき感謝します」

「いや仲間だし助けるよそりゃあ、後これから先1人で生き抜けるほど腕よくないし」

「ですが1対5で生き残っていたじゃ」

「あれは半分以上向こうが遊んでたから、本気でやってたら俺は死んでるよ」

 絶対にそうにちがいない、じゃなければ成績最下位な自分が生き残れるわけがない。

「ですが生き残ったことは確かです」

「だな、それはそうと飯にしようぜ」

「私はアンドロイドなので食事は」

「そうかい、サトウ食事はどこにある」

『緊急で出たんで食事は非常用食ってくださいっす』

「………それしかないのか」

『そうっすね』

 機内を漁るとすぐに見つかる、悪名高いレーションだ。

「これか、これしかないのか」

 袋詰めされているので開けると更に袋に分けられている。

「えっと主食は」

 乾パンとありそれを開けると、乾パンが数枚。そしてカレーの袋を開ける。

「これか、水とかないか」

「ナカイ特務少尉これを」

「ありがとう」

 最後に肉と書かれている袋を開けビーフジャーキーを取り出す。

「いただきます」

 カレーを食べる、味は酸味の強い何かでしかないが。

「これの1番嫌な点はあれだ、ギリギリ食える味なんだ」

 そう不味いが本当に空腹ならギリギリで食える味付けがしてある、それを乾パンと水で流し込む。そして食べ終わり、まだ食べれるビーフジャーキーで口をなおす。

「ああ食った食った」

『ナカイさん生きてる基地がありました』

「ならサトウに伝えてくれ」

『もう伝えてます』

「そうかならいいや」

「ナカイ特務少尉戦車の方はどうしますか」

「1人1機じゃないのか」

「それが1機しかなく」

「ならこのままトワが機体に乗っていてくれ、俺のは基地につけば余ってる機体あるだろうからそれ借りるよ」

「分かりました、ならコックピット内を少しいじりたいのですが手伝ってくれませんか」

「ああいいよ、どうせ暇だし」

 トワ機に近づき、コックピットに乗り込む。

「で乗り込んだはいいが、何をすればいい」

「ではカバーを外してくれませんか」

「わかった」

 支給されているナイフを使い適当にカバーを外していく。中は配線ばかりであり何が何やら分からない。

「でこれからどうすれば」

『緊急事態っす』

「サトウどうした」

『脱出した時に被弾したみたいでエンジンが故障したみたいっす』

「ここに来てか」

『パラシュート背負って脱出してほしいっす』

「着陸とかは」

『即席の新兵にそんなことできないっすよ』

「即席かよ、トワは」

「戦車の操縦方法しか」

「そうか、ならパラシュート背負わせろ、チバの方は」

『大丈夫脱出できるよ』

「サトウ自動操縦にして、偵察車に乗り込め」

『わかったっす』

「トワ操縦頼む」

「了解、パラシュート装着完了」

「そういやこの場所どこなんだ」

『ヘケーバ砂漠です』

「そうか、でその生きてる基地までは」

『大丈夫向かえるよ』

「ならハッチ開けろ脱出する」

 ハッチが開き、機体を大空へと投げ出した。

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