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ある兵士の戦争  作者: iLL
ある兵士の戦争
114/115

処刑

「以下の者を公開銃殺刑とし即時執行するものとする」

 裁判が終わる。シャトルを破壊した後捕まり、牢に放り込まれ一夜を明かし、ついてこいと言われ、入った先で先の言葉を言われる。一瞬何の事だか分からなかったが裁判を受ける人は誰もおらず俺のことだとわかる。要するに形だけの裁判だったらしい。

「ほらついてこい」

 1歩踏み込んだだけで外に出される。ここまで連れていた2人のミリタリーポリスに挟まれたまま再度歩かせられる。

「さっさとしろ」

 両手は紐付きの手錠に繋がれていて逃げられそうにはない。逃げる気もないし逃げられるとの判断もできないからどうでもいいのだが。

「ほらよテロリスト、懺悔ぐらいさせてやるよ」

 案内されたのは礼拝堂だ、信仰はないので知らないが何かの女神を祀っているらしい。宗教は興味はなかったのでわからない。ここにつれてきたミリタリーポリスは出て行き、1人きりになる。不用心なとは思ったが逃げられそうな所はない。

「懺悔って言われても、まあ死後ぐらいはのんびりとしたいから少しくらいはしとくか」

 作法なんかはわからないが目をつぶり頭を下げ、手を合わせる。何となくだが気分が楽になる。

「はぁ、と言うかこんなところあったんだ」

「終わったかならこれを被れ」

 そう言われずだ袋を被せられる。なにも見えない。その状態で無理矢理歩かされる。

「けどよこいつ何したんだ」

「知らないのかよ、戦争派のシャトルを潰したから処刑だ」

「それだけで」

「しかもこいつ、書類上は死んでるらしいから2度目の死らしいな」

「本当かよ」

「本当だよ、って言うかお前何も知らないのかよ」

「悪かったな疎くて」

「しかもここだけの話だがこいつの所属してた部隊は使い捨て部隊らしい、それが反乱してきたんだから怒りも倍増だろうな」

「怖い怖い」

「お前も身の振り方考えておけよ」

「俺はミリタリーポリスの職務に集中してます」

「それがいいだろうな、変に派閥につくと痛い目見るぞ」

 そんな会話が聞こえるが、口を挟まない。

「よしここだ」

 少し明るくなる、そして喧騒も聞こえる。

「ふざけんな、何で処刑なんだよ」

「おかしいだろう」

 それ以外にも聞こえるが理解できないほど多く聞こえている。

「いてっ、あいつら石を」

「黙ってろいやむしろ受けろ、それと銃は持ってきてないな」

「はい先輩に言われて、それと下に私服を来てこいと言うのは」

「こいつを縛ったら逃げろ、その上で誰にも見られていないところで服を脱いで怪我をしたと助けを求めろ、お偉いさんはどれだけ荒れるか気付いてないらしい」

 時々俺にも当たって痛い。

「あの彼にも当たってるんだが」

「変な行動をするな、顔を覚えられたら即死だ」

「即死って」

「民衆にとっては昨日の行動は英雄的だ、それに関わったと大々的に広められている、そいつを処刑してみろ」

「だから銃を」

「ああ、リンチされるならまだしも、処刑されるかもしれないからな、できる限り可能性を落としたい」

「ここですね」

「ああ」

 手錠をはずされ、また手を縛られる。そして袋を外される。そこには大勢の人、そして将校と兵士。

「銃を構えろ」

「英雄を殺させるな」

 石が飛ぶ。

「ちっ、お前ら」

 兵士が囲んでいる大勢に銃を向ける。そして将校が銃を抜く。

「残念だよテロリスト君」

 銃口が頭に合う。

「何か言い残したいことは」

「な」

 パァン。

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