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ある兵士の戦争  作者: iLL
ある兵士の戦争
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 近くにあった喫茶店に入る。

「それで今は任務中だったりするのか」

「いや違うが、あっ俺カフェオレで」

「そうか、ならサトウは元気か姿が見えないんだが」

「元気だな、今はパイロットだけ休息だ」

「ってことはそこのゴスロリ服もパイロットなのか」

「何よ、ってあなた誰よ」

「彼女はライラで騎士……部隊長を勤めている人です」

「へぇそうなんだ、ありがとうおねえちゃん」

「おねえちゃん、お前さん妹なんかいたのか」

「いえこれは」

「色々ややこしいんだ」

「ややこしくないわよナカイ」

「それで何でライラはここに」

「ああ、それが、その、騎士クビになった」

「クビ」

「いやまあ一応名誉除隊とはなってるけどな、実質上のクビだよ」

「何で、ってあれか」

「ああ、さすがに裏切り者は騎士としてじゃなく軍人としても失格だろう、まあもしシルビア様が言われなくても、自主的に騎士の名を返上するつもりだったから、驚いてはいないがな」

 そんな会話をしていると注文した品が届く。俺の分のカフェオレを貰うとシュガーを多めに入れ、かき混ぜる。

「ナカイそれ甘すぎないか」

「なんか甘いものが欲しくて」

「そうか」

 横目で見るとトワとライラはブラックをソノダは大きなパフェを食べている。

「それでその、ここに何しに」

「騎士の時は金なんか使う暇がなかったんでな、時間もあるわけだし色々見てまわったりしようと思ったんだが、せっかくならナカイたちの顔を見ようと思ってな」

「いいよな、悠々自適の貯蓄生活」

「ナカイもそのうちできるんじゃないか」

「偉くなんないと無理、したっぱには夢のまた夢だよ」

「ああ、だってそりゃあ」

 そこでライラが声を潜める。

「それでお前はどっちはなんだ」

「戦争派」

「ならさっさと雲隠れしろ」

「何でさ」

「この街の噂だが、平和派が優勢らしいし戦争派最大のこの基地に奇襲するために凄腕のパイロットを引き抜いたらしい」

「凄腕」

「何でもたった1人で1個師団を捻り潰したとか、敵の基地を30分で占領したほどの腕前らしい、まあ噂でかなり盛っているだろうが」

「ははははぁ、そうなのか」

「それに平和派には終戦の英雄もいるんだろう」

「いるが」

「もしかしたらそいつらが来るかもしれない」

「見たことあるのか」

「映像資料で少しだけ、だが腕はかなり良さそうだった。1度手合わせしたみたいが、今じゃ無理だな」

「手合わせって」

「ああ、その見た映像資料の中で、終戦間際、錯乱した兵士を止めるために無力化するのを見てな。あれは見事だった、錯乱した兵士の攻撃を簡単に回避して反撃してダメージを蓄積させ、止める、圧巻の一言だよ」

「そうなのか」

「なんだ、ナカイは見てないのか」

「見てないな」

「なんなら見るか、研究のために保存してるのがあるが、と言うか是非見た方がいいもしかしたら来る敵になるかもしれないからな」

 ライラは携帯端末を取りだし、映像を見せてくる。だが自分がなぶられてるのを見たくはなく止めようとしたいのだが、ライラはノリノリであるし、ソノダも興味深そうに見てる。映像はすぐ終わる。音声はカットされていたが元々のままの映像だった。ただ研究用のためかパイルの弾道にラインが引かれてはいたが。

「どうだすごいだろう」

「ねぇこれ」

「ソノダ」

 何かに気づいたソノダをトワが止める。

「ごめんおねえちゃん」

「いえ、その…………私もパフェを食べたのですが食べきれる自信がないので手を貸してくれませんか」

「お安いご用だよおねえちゃん」

「仲のいい姉妹ね」

「そう、だね」

「それで敵の事は分かったか」

「ああ、あの黒いの見たら逃げるよ」

「それがいいだろうな」

「それでライラはどこに行くんだ」

「それが、あっそろそろ時間だ、会計は」

「払っとくよ」

「だがそれは」

「コーヒー1杯分くらいどうってことないよ、もし気になるならまた会ったときに返してくれ」

「ああ、わかった、じゃあな」

 ライラはそう言うと去っていった。

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