表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
交差点  作者: ケリッド
6/19

交差6 屋上

若菜編

 私は今日も“楽しいこと”が起こることを期待して学校へ来た。

 でも“楽しいこと”なんてそう起きるわけもない。

 今日もまたいつも通りの日常の半分が終わった。


 今は昼休み。

 教室で弁当を食べてる生徒、学食や購買部へ行ってる生徒、ご飯を食べ終わり遊びに行ってる生徒。

 みんな“昼休みの選択肢”をそれぞれ選んで、行動している。


 私はお弁当を食べ終わり、教室でボーっとしている。

 何かがしたい。でもその何かが分からない。だからボーっとする。

 ケータイを開く。メール、着信なし。ケータイを机の上に置いて、またボーっとする。


 どうしてこの世の中はつまらないんだろう。

 平凡な世の中に私は飽きた。

 私は窓を見ながらため息をつく。


「わーかーなー」

 背後からのほほんとした声が聞こえた。

 優夏(ゆうか)だな。

 私は振り向く。やっぱり優夏だった。

「何してんのー?どこも行かないのー?」

 首を傾げて聞いてくる。

「だってどこ行ったってつまんないもん。優夏は?」

「んー?優夏は暇そうな若菜の相手しようと思ってー」

 そう言って優夏は私の席の隣に座った。


 吉川 優夏。私が入学して1番最初に出来た友達。身長が低くて、顔も子供っぽい。恐らく私服の彼女を見れば、みんなは中学生と思うだろう。いつものほほんとしていて、見てるだけで癒される。

 でもそののほほんとした性格と子供っぽいところが、何か可愛らしく思える。

 実際男子からの結構評判も良い。


「んー、今日も平和だねぇ」

 優夏は伸びをしながら言った。

「平和だね。だから暇だわ」

「あはは、そぉだねー。あたしも暇ぁ」

 優夏は暇と言いながらもニコニコしている。

「優夏って何でそんな可愛いのさ!!」

 私は優夏の頭を乱暴に撫でた。優夏の髪がくしゃくしゃになる。

「ちょっとぉ!!若菜何すんのぉ!!」

 乱れた髪型を整えてる優夏を見て私は笑った。


 優夏はいつでも笑顔でいる。辛いときも、頑張ってるときも。

 この生活を心から楽しんでるように思える。


 私はそんな優夏が羨ましい。


「ねぇねぇ若菜、屋上行かなぁい?」

 髪型を整え終わった優夏は私に言ってきた。

 屋上か、ここにいるよりはいいかな。

「いいよ、行こうか」

「やったぁ。それじゃあレッツゴー」

私達は屋上に行くことになった。


ーーーーーー


「若菜ぁ、早く早くぅ」

 優夏は階段を昇って、屋上の入り口まで来ていた。

「そんな急ぐ必要ないじゃない」

 私は優夏に急かされながらもマイペースで階段を昇っていく。

「いいから早くぅ」

 優夏は笑顔でだだをこねている。

 ホント子供っぽいなと思いながら私は、ようやく屋上の入り口に着いた。

「じゃあ開けるよぉ」

 優夏がドアノブに手をかけた時、ドアが勝手に開いた。

「あ…」

「わっ」

 目の前には女子生徒が立っていた。

 優夏は驚いて前を見た。相手も少し驚いた様子で優夏を見てる。

「ご、ごめんなさい…」

 その女子生徒は一言そう言って階段を下りていった。

「誰だろう?」

「わかんなぁい。若菜早く行こぉ」

 女子生徒に興味が無いのか、優夏は屋上へ行ってしまった。

 私もまぁ、いいかと思いながら優夏を追いかけた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ