交差5 真希
物語の主人公は真希で終わりです。これからはランダムに主人公を変えて物語を進めます。
「χに4を代入し、yに3を代入する。それによって…」
先生が真剣に授業をしている中、ほとんどの生徒は寝てるか、隠れてケータイをいじっている。
それも仕方がない。授業はまだ2時限目。しかもみんなの最も苦手な数学の時間。
真面目に聞いてる人なんて、ごく少数。
一応その少数の中に私も入ってる。
「小泉、この問題の答えわかるか?」
「ハイ、5です」
「正解だ」
このくらいの問題は簡単だ。先生の話を聞いていれば何の問題もない。
なのに…
「やっぱ真希は頭いいね」とか
「さすが委員長!!」とか必ず言われる。
私はそうゆう風に言われるのは好きじゃない。
別に褒められるのが嫌いな訳じゃない。ただ、特別視されるのがイヤだった。
たかが勉強が出来る。
たかが委員長をやってる。
ただそれだけのことでみんなと私との間に線がある。
何かそんな感じがする。
それに何かと期待されるのも好きじゃない。
テストの成績を友達に見せれば…
『真希は頭いいから絶対良い大学行けるよ!!頑張ってね!!』と、言う。
家に帰り、親と夕食を食べてるときも…
『真希、お前は親の夢だ。私も、母さんも一流の大学に合格出来るよう、応援してるぞ』と、言う。
どうして私の人生を決めつけるの…?
私の人生なのに…
キーンコーンカーンコーン…
「今配ったプリントを明日の数学の時間までやってくるように。以上」
先生はみんなに課題を残し、教室を出ていった。
次の授業は…体育だ。
私は教科書とノートをカバンにしまい、ジャージを持って体育館に行こうとした。
「真希、あのさ…」
その時、私はクラスの女子に声をかけられた。
「明日の朝、数学のプリント見せてくれない?」
「うん、いいよ」
「ありがとう。真希がいて良かった。そしたらまた体育館でね」
「うん、じゃあね」
…一体私の存在価値って何だろう。