交差12 子供みたい
若菜編
「私はコーラのMサイズで」
「若菜ぁ、コーラだけで良いのぉ?」
「うん、あんまりここで食べると夕食食べれなくなっちゃうから」
「そっかぁ」
私と優夏は今マックにいる。
優夏がマックに寄りたいと言ったので断る理由もなく、マックに来た。
この時間帯は多くの高校生がマックに訪れる。
学校帰りに友達と話をする場所にはもってこいの場所だからだ。
「若菜ぁ、1階は混んでるから2階に行こぉ」
「うん、いいよ」
1階はもう席がない程混んでいた。というより1階は席が少ないので、この時間帯で1階に座るのはかなりの確率で低い。
「お待たせいたしました」
カウンターにのっているお盆にコトっとコーラが置かれた。
「じゃあ私先行ってるね」
私は優夏より先に注文したのでコーラが早く出てきた。
「うん、席ちゃんと取っといてねぇ」
「うん」
優夏にそう言い、私は階段に向かった。
私は階段に向かいながら店内を見渡した。
本当に高校生ばっかりだな。見たことのない制服の人もいるし知ってる高校の人もいる。
あ、あの制服はうちの高校の人たちだな。
私はそう思いながら歩いていると、同じ高校の男子の1人が、ジュースを落とした。しかも思いっきり私が通る通路のど真ん中に。
するとその落とした男子の向かえに座っていた男子が紙コップを取ろうとしていた。
なぜかそこでその男子と目が合ってしまった。
数秒、時が止まる。
私が言葉を発するまでずっと目が合っていた。
「あの…」
その言葉でようやく時計の針が動き出したように、男子は私から紙コップに視線を移した。
「あ!!すいません!!」
男子は慌てて紙コップを拾った。
「すいません…」
男子は申し訳なさそうに謝った。
別にいいのに…。
「いえ、別に…」
私は少し頭を下げていこうとした。
「若菜ぁ、そんなとこでなにやってんのぉ?」
後ろを振り向くと、お盆に山と積まれたハンバーガーを載せた優夏が首を傾げながらいた。
なにそのハンバーガーの量…。
まぁ、それは後でツッコんでおくか。
「あ、何でもないよ」
優夏が来ちゃった。
そろそろ行かないと。
「それでは友達が来たので行きますね」
「あ、はい…」
男子は最後まで罪悪感を感じていた様子だった。
ホントに大したことじゃないのに。
何か変な感じだった。
私と優夏は2階にあがって私はコーラを、優夏はハンバーガーを食べていた。
優夏はハンバーガーを幸せそうに食べている。
優夏を見ていたらさっきの出来事なんて忘れていた。
「あ、ひゅうふぁ、ふぁっふぃふぁふぇふぉ…」
「とりあえず食べるか喋るかどっちかにしようか」
ハンバーガーを頬張りながら喋っているので、優夏はなにを喋ってるのかさっぱりわからない。
「モグモグ…ゴックン!!ふぁあ〜、ハンバーガーはやっぱりやめられませんなぁ」
そんなことを言いながら優夏はコーラをグビグビ飲んでる。
「そんなにいっぱい食べると太るよ?」
「っぷぁあ!!大丈夫だよぉ」
そう言って優夏は笑顔でピース。
…可愛い。
「ところでさっきなんて言ったの?」
「んとね、さっき誰と話してたのぉ?ってぇ」
私もただ同じ高校の男子ってことしか知らなかった。
「わかんない。でも同じ高校だよ。制服がうちの学校のだったから」
「そぉなんだ」
そう言うとまたハンバーガーにかじりつく。
「優夏、あの人たち見たことある?」
「モグモグ…、ゴックン!!ん〜、ないねぇ。でも…」
「でも?」
「かっこ良かったぁ」
…え!?
私は優夏がそんなこと言うとは思ってなかった。
優夏はクラスの男子や、町行く男の人を見ても決してかっこ良いとは言わなかった。
ただ単に基準が高いのかと思ったが、女性から人気のある芸能人を見てもかっこ良いと言ったことは聞いたことがない。
だからかっこ良いって言った優夏に私はすごい驚いた。
「ちょっと…、話してみたいなぁ」
優夏は子供みたいに足をブラブラさせながら笑顔でハンバーガーを食べている。
「もしかして、恋の始まりですか?」
ニヤニヤしながら私は優夏に言った。
「どうでしょお〜」
優夏もニコニコしながら返した。
ホント優夏って子供みたいで可愛いぃ!!!