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交差点  作者: ケリッド
11/19

交差11 紙コップ

悠也編

 学校が終わり、俺と公一と恭輔で駅前にいた。

 この時間帯になると、駅前には人が多くなる。

 その大部分が学校帰りの高校生で、ゲーセンに行ったり、デパートで買い物したりして、溜まったストレスを自分なりに解消している。


 ちなみに俺達はマックにいる。

 学校帰りにはよくマックへ寄り、他愛もない話をしながら小腹を満たす。だから夕食はあまり入らないことが多い。


「はぁ…、柚木、何してるかな」

 恭輔はコーラを飲みながらボソッと呟いた。

「お前どんだけ!?」

 公一がハンバーガーにかじりつきながら言った。

 確かにどんだけだ。

 人間とは人を見るだけで恋心が芽生えると聞いたが、まさかこれほどとは。


「悠也、公一、俺マジやばいかも」

 恭輔はもう中身が入ってないのにも関わらず、ストローで吸っている。

「もう告っちまえば?」

「え!?無理無理無理無理!!だって俺柚木と話したことないしさ!!…あ!!」

 公一の言葉に動揺したのか、恭輔は紙コップを落としてしまった。

 あぁ、汚ねぇな。全く…。

 俺はその落ちた紙コップを拾おうとして、手を伸ばした。

 その時、見覚えのある物が目に飛び込んできた。

「キティちゃんのキーホルダー…」

「は?」

 俺は無意識にそう口に出していた。

 俺の目の前に、朝駅のホームで見た女子高生がいた。

 キティちゃんのキーホルダーが少し揺れている。

「あの…」

 その女子高生は、俺が手を伸ばしているせいで道が遮られ、戸惑っている。

「あ!!すいません!!」

 すぐに俺は落ちた紙コップを拾った。

「すいません…」

 俺は申し訳なさそうに謝った。

「いえ、別に…」

 女子高生は少し頭を下げて行こうとした。

「あれぇ?若菜そんなとこでなにやってんの?」

 彼女の友達であろう、後ろにも女子高生がいた。

「あ、なんでもないよ」

 彼女はその友達にそう言った後、俺の方を向いた。

「それじゃあ友達がいますので行きますね」

「あ、はい」

 そう言って彼女と彼女の友達は2階に行った。


 へぇ、あんな娘だったんだな。

 髪は少し茶色がかかったショート、ちょうどいい感じに目がクリッとしていて、スタイルもやや細身。

 公一あたりがタイプの女子だろう。


「おい悠也!!何でもっと話そうとしないの!?もしかしたら仲良くなれたかも知んなかったんだぞ!?勿体ねぇな」

 コーラを飲みながら公一が言った。

「いやいやいや、初対面つうか、知らない人だから。それに俺あんまりそういうナンパみたいなことできねぇんだよ」

 ホントは女なんてどうでも良かったんだが。

「でも同じ高校だよな?制服が同じだったから」

 ようやく柚木のことを考えるのをやめた恭輔が言ってきた。

「あ、そう言えばそうだな」

「ちなみに俺らとタメだよ。学年のバッチが俺らと同じだったから」

「…恭輔、おまえ意外にちゃんと見てるんだな」

 公一が少し驚いた様子で言った。

 その意見には俺も同感だった。

「当たり前だろ?俺だって男なんだから」

 そう言いながら恭輔はケータイを取り出し、1人の世界に入ってしまった。


「そっか、俺らとタメか。今度探してみようかな」

「なに、おまえも一目惚れか?」

 男という生き物はホント愚かだな。俺も男だが。

「一目惚れではないけど、俺のタイプに近かったからちょっと仲良くなりてぇなって」


 それってほとんど一目惚れじゃねぇか。

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